02 GLOBAL PERSON

グローバル・パーソン メッセージ vol.058

五輪銀メダルへの礎を築いたポジティブ思考と努力、海外での経験

飯塚 翔太さん | ミズノ株式会社

中央大学法学部 2014年卒業
[掲載日:2016年10月25日]

2016年8月19日、リオデジャネイロ五輪。
陸上男子400mリレー・日本代表チームは日本・アジア新記録で
銀メダルを獲得し、日本中を感動の渦へと巻きこんだ。
この国民的ヒーローとなった4選手のうちのひとりが、
飯塚翔太選手だ。
大きな目標を抱き、努力を楽しむという意識。
自分に何が必要かを把握して実行する力。
世界の大舞台で実力を見せつけるために着実に培ってきた姿勢を、
今、ここで垣間見る。

毎年1回のアメリカ留学。海外を知り、余裕を持って試合に挑めた

↑2016年9月の全日本インカレで優勝し、
4連覇を達成した後輩メンバーと一緒に

 大学で所属していた学部は法学部。興味があったので面白かったです。陸上大会などで講義に出席できない時は先生にご相談して、なんとか学業とスポーツを両立していました。生活が充実していましたね。
 毎年1回くらいは知人を頼ってアメリカでホームステイをし、語学勉強を兼ねて現地の練習会に参加していました。滞在期間は長くて1か月ほど。現地のコーチと1日一緒に過ごして、アメリカの文化に触ながらトレーニングをしていました。コーチと言っても、日本とアメリカではアプローチの仕方に違いがあります。アメリカでは、自分の希望を言わないと気が付いてくれません。僕に気を使って何かをしてくれることがないので、自分の意思をしっかりと発言することを心がけるようになりました。例えば、練習でこんな感覚だったとかを伝えないと、相手は分かってくれない。いつも「お前はどうしたいんだ、俺は言ってくれないとわからないよ」と言われ、自分の意思を発する機会もたくさんあったので、自己主張をするという面で特に成長できました。
 実際、海外の協議会ではゼッケンのナンバーカードは自分で受け取りに行かなければいけないし、配布場所が分からなければ周囲に訪ねなければいけません。送迎などもなく、日本と違って自分でやることが凄く多いので、留学をしてよかったと思いました。試合の場合でも、海外の選手と仲良くなることで気持ちが楽になります。ウォームアップの時に海外の知り合いがいるのは、メンタル面で影響が大きいです。国内と同じような感覚で国外の試合に挑めるのは、実力を発揮するためにも大事だと思います。

学生時代に初の五輪。この経験を糧に挑んだ、2016年の五輪

 大学3年生の時に出場した2012年ロンドン五輪では、走る直前なのに観客の多さに見入っていました。選手としてではなく、観客みたいな気持ちが出てきてしまったんですよね。「それではいけない」と終わった後になって反省しました。
 それからは、「この舞台で走るんだ」という強い気持ちを持ち、あまり出場してこなかった海外大会にも積極的に出て、格上選手と競技を続けてきました。意識したのは、横にトップ選手がいても動じずに自分の力を発揮し、その試合で走れることに胸を張ること。これを続けたおかげで、今回のリオでは隣で憧れでもあるボルト選手がウォームアップしていても、「自分が戦わなきゃいけないライバルである」という気持ちで試合に挑めました。試合後はボルト選手から話しかけてもらえて、いい経験になりました。このほか、メダルを獲ったカナダチームの2走、3走の選手とは学生時代から戦ってきた仲なので、お互いに祝福し合い、東京五輪などの話ができました。



←リオ五輪で日本代表チームが
入場時に行ったパフォーマンス“サムライポーズ”を再現

イメージトレーニングで呼び込む、勝ちパターン。志を実現させる方法とは

 子どもの頃から「絶対に五輪に出るんだ」と思い続けていました。周囲から言われていたこともあって、より意識していたと思います。だからこそ、成長期などで体に無理ができなかった時には、思い切って休息ができた。自分はどこまで行きたいかを考え、ブレーキするタイミングを失わずにいられました。
 不調の先にあるのは好調です。タイムが伸び悩んでも、それを破る時が来る。困難を乗り越えるために、いつもプラスに考えています。去年で言えば、肉離れを起こして世界選手権の日本代表に残れませんでしたが、「この後、来年のリオ五輪に出られたら“復活!”という形で、味のあるストーリーができるじゃないか」と前向きに捉えました。仲間に「最高!」と言ってもらって鼓舞し合ったり、ベストパフォーマンスが出せたレースの映像を見て気持を切り替えたり、ガッツポーズをとって勝った気分を作ることもあります。前向きになるためにやります。楽しくなってきますよ。
 世界の舞台で最高のパフォーマンスを発揮するには、気持が9割。会場でもまずは胸を張って、強そうな選手がいても臆さないこと。これには場数を踏むしかなく、そうした選手と戦う経験を積むしかないと思っています。選手によっては自分のレーンに集中するために、視野を広げず試合を待ち、集中力を高める人もいますよ。
 いずれにしても、自分が大学を卒業してからも競技を続けられたのは、五輪に出たいという気持ちが強かったから。学生の皆さんはそれぞれ目標、夢は違うと思いますが、できるだけ大きな夢を持ち自信を持って、そして自分の努力を楽しんでください。「自分は今、成長している」と実感できると思います。是非、それを楽しんでもらえたらと思います。
↑ 母校・中央大学に凱旋し、総長・学長 酒井正三郎ほか教職員らが出迎えた

■プロフィール■

ミズノ株式会社
飯塚 翔太(いいづか しょうた)さん
種目:陸上短距離

1991年生まれ、静岡県出身。小学3年生の頃に陸上競技と出会い、中学生時代には全国大会で優勝。高校3年の2009年、全国高等学校総合体育大会(インターハイ)200m、国民体育大会100mで優勝。2010年に中央大学に進学し、日本人男子として初の世界ジュニア選手権200m 1位獲得。2012年ロンドン五輪には出場し、陸上男子400mリレー4位の成績を残した。2013年に東アジア大会400mリレーにて日本学生記録を樹立。卒業後はミズノに所属し、2014年アジア大会400mリレー準優勝、1600mリレー優勝。2016年の日本選手権200mで20秒11の自己ベストを記録(日本歴代2位)。8月のリオデジャネイロ五輪では陸上男子200mリレーで日本・アジア新記録にて銀メダルを獲得。9月の第64回全日本実業団対抗陸上競技選手権大会では、男子200m、男子400mリレーともに優勝。
 

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