02 GLOBAL PERSON

グローバル・パーソンを目指す中大生 vol.26

学問への向き合い方を教えてくれたミャンマーでの国際インターンシップ

久保田明希さん | 【法学部】国際インターンシップ(ミャンマー)
[全学] FLPプログラム&[法学部] 専門演習北井ゼミ

法学部 法律学科 3年
[掲載日:2018年12月06日]

アクティブに、好奇心旺盛に、
国や人種など関係なく興味を持って接してきた。しかし、
2年次に行ったカナダやアメリカ、FLPボストン合宿では、
心の奥底でずっと何かがぼんやりとしていた。
 
3年の夏に参加したミャンマーでの国際インターンシップ。
ハードスケジュールの2週間に
引率のない「ソロミーティング」や現地学生との創作劇など、
今までとは一味も二味も違う経験ができた。
そして、これまでぼんやりとしていたもの、
自分の興味と関心が何なのかがはっきり見えてきた気がする。
 
広く浅くではなく、絞り込んで深く探求することが大切。
そして、あきらめずに挑戦することを学びました
 

カナダ、アメリカへ~友だちに会いたい! TEDxを生で見たい!

 自宅の近くは多くの外国人観光客が訪れる地域で、彼らを支援するボランティアをしたり、大学では国際交流サークルにも所属していることもあり、以前から外国人は身近な存在でした。街の中で困っている海外観光客の方への道案内などがきっかけで交流が始まり、友達になったこともありました。今でもその友人たちとは連絡を取り合い、ビデオ通話で話が盛り上がったり、毎週のように電話で話しています。気が付けばグローバルな環境と感覚は違和感のないものになりました。

 それと同時に、夢中になったのがTED(※)です。TEDは、自分の興味あるテーマを講演する動画を見て、いろいろな人たちの考えを聞けるので、すごく面白いんです。そのうち動画ではなく現地に行って、生でTEDを見てみたいと思うようになり、国際交流サークルで知り合ったアメリカ・サンディエゴの友だちを訪ねてTEDxサロンに参加しました。
 サンディエゴのTEDxでは、ゲストスピーカーの話に感銘を受けました。その方は、いじめなどの深刻で困難な問題で悩む若者や子どもを支援し、彼らの成長を手助けをしていました。活動のきっかけは彼の妹でした。彼女は不登校になり、そして心の病気になり……、彼はそれを助けたい一心で、さらに妹さんと同じような子どもたちも助けたいと支援団体を立ち上げました。音楽好きの彼は家のスタジオに交流の場を作り、活動していました。

 彼の話は、これまでスクリーンで見聞きしてきたどのスピーカーの主張よりも心に響きました。「現地で、その場所で、人から直接話を聞くこと」は、自分にとって意味のあることかもしれないと気が付いた旅となりました。
 
TED(※)=TED(テド)はアメリカに本部を置き、様々なジャンルの著名人や人物が行う講演会(カンファレンス)を      
運営している。講演会は世界各地で開催され、その模様を収めた動画はオンラインで無料配信されている。
           TEDxは、TEDの精神を受け継いだカンファレンス団体のひとつ。

現地に行き、自分で聞く・見る・考えることを実行できる国際インターンシップ 

▲ヤンゴン大学では、プレゼンテーションや同大学法学部の学生と研究テーマについてのディスカッションを行いました

 国際インターンシップは、現地に行って、さまざまな団体や国際機関等を訪問して話を聞いたりインタビューができるプログラムです。自分の好奇心を追及できるプログラムだなと、履修を決めました。前期の授業では、多様な国際問題、社会問題などに取り組みながら、ミャンマーの課題についての資料を読んだり、事前の準備を整えていきました。

 私は「多言語主義と教育」をテーマに選びました。イタリア語、中国語、ドイツ語を学習した経験があり、言語に関心がありました。また、ミャンマーの言語について調べるうちに、ミャンマーは多数の少数民族が存在する多言語世界で、それによる社会や人々への影響、中でも少数民族の子どもたちの教育問題について関心が高まっていきました。サンディエゴで「現地で聞く・見る・考える」ということのおもしろさを経験し、ミャンマーでのインタビューがとても楽しみになりました。

過密スケジュールと興味関心を追求する日々

▲ヤンゴン大学法学部の皆さんと

 8月中旬に、ミャンマーでの活動がスタートしました。ミャンマーでは毎日、さまざまな場所を訪問してインタビューや調査を行いました。滞在中に行ったミーティングは25回ほど、平均すると1日2回は行ったことになります。そのほかにヤンゴン大学でプレゼンや学生交流をする機会も2回ありました。
 私は隙間時間を利用してプレゼンテーションの準備をし、インタビュー後は、学んだことをすべてを書き上げ、まとめていました。とても忙しかったですが、自分の研究テーマと向き合う毎日は、楽しかったです。また、仲間の研究テーマについても、インタビューを通して学ぶことができました

 担当教員のアンドリュー・バーフィールド先生は、訪問先のアポイント手配のみならず、プレゼンテーションの資料作成やミーティングもサポートしてくださり、とても心強かったです。先生や現地でのミーティング、食事中の会話はすべてが英語でしたが、2週間そのような環境で過ごしていると一緒に行った学生との会話も英語になっていきました。日本では、仲間と英語で話す機会はあまりありませんが、自然とそうなっていけたことも良かったと思います。
 

地方都市の英語塾で、現地の学生たちと創作劇に挑戦

 スケジュール前には、ミャンマー北西部の北シャン州の町・ラシオに行きました。公民館のような場所で開かれている英語塾を訪問し、そこに通う中学生~大学生や若手の先生と交流しました。

 そこでは、10人程度のグループになってプレゼンしたのちに、5人位のグループごとで劇を創作しました。ラシオの皆さんはとてもクリエイティブです。「みんな何やる?、あ~しよう、こうしようか」と相談しているうちに劇が出来上がりました。言語の壁はありましたが、英語からビルマ語に通訳してもらったり、ゼスチャーなどでそのような難しさも乗り越えられました。和気あいあいな雰囲気になれて、楽しく劇を作り発表することができました。そこで知り合った子とはとても仲良くなり、今でもメールで連絡を取り合っています。

▲ラシオにて。グループで研究テーマ(多言語主義と教育)を基にしたドラマのシナリオを相談中

▲ワークショップが始まる前から、温かい雰囲気で交流することができました

▲ラシオの英語学校・校長先生(中央)、アンディ先生(右)と共に

▲ラシオの皆さんに「多言語主義と教育」に関係する言葉を書いてもらいました。新しい発想やアイディアのほか、彼らの抱える問題を知るきっかけになりました

ミャンマー最後の大きな舞台!

▲ラシオでのプレゼンテーションとディスカッションの様子

 数々のミーティングをこなし、滞在中の後半には、1人でインタビューを経験できる機会をいただきました。いつものようになんでもトライしていこうという気持ちで挑戦しました。

 困ったときに備えて、質問事項、これだけは聞いてみたいと思うことをリストアップし、ラシオで使用したプレゼンテーション資料なども持参していきました。

 インタビューでは、「これはどうですか? これはどう思いますか? これは本当ですか?」など、疑問に思ったことは何でも聞きました。
会話が途切れることだけは避けたかったので、どんどん質問しました。緊張が続いた2時間でしたが、やり切れたことがとても良い経験になり、自信がつきました。
 

ミャンマーの経験で成長したこと、学んだこと

どこでもドアの一か月間

 ミャンマーから帰国したその日のうちに、バッグの資料と着替えを入れ替えて、FLP武石ゼミ合宿のためにオーストラリア(メルボルンとシドニー)へ出発しました。 FLP国際協力ゼミには2年次から所属していて、今年のゼミのテーマは「移民と多文化主義」でした。ミャンマーでの研究テーマと直接の関わりはありませんが、「日本の将来」を考える上で外せない大事なテーマだと考えています。

 オーストラリアでは、メルボルン大学やシドニー工科大学でプレゼンテーションやディスカッションを行ったほか、労働問題や家庭内暴力などで被害を受けているオーストラリアの移民を支援している機関を訪問してインタビューをさせていただきました。ミャンマーでのインタビュー経験をオーストラリアでも生かせられてとても嬉しかったです。いつも緊張していましたが、「知りたい、もっと学びたい」という気持ちが自分の自信や向上心を成長させてくれました。

 そして、オーストラリアから帰国した2日後にはインドへ。武石先生の商学部ゼミのインド合宿に参加させていただきました。インドでは、現地で働く日本人にインタビューをしました。また、インドの「教育」を知りたいと思った私は、Tagore International Schoolを訪問し、インドの最先端教育を見せてもらい、校長先生と教員の方、学生にも話しを聞きました。インドの学校の様子を見て、日本の一学生である私は、「日本の教育や子供たちのために何ができるのか」ということを考えていかなければならないと実感したのです。同じようなことはミャンマー、オーストラリアでも、いつも考えていました。

 ひと夏に3か国も巡り、多くの方から無茶だと心配された旅は、実際に体力的にも、精神的にもきつい1か月間でしたが、収穫は大きく、想像していた以上に素晴らしい経験ができました。

 オーストラリアに着いたとき、それまでミャンマーで感じた空気感が一変し、飛行機で寝て起きたら欧米文化の街にいる、そして欧米の国からアジアの中でも独特なインドの国へ。まるで、「どこでもドア」を何度も開けたような気分でした。
 そんな「どこでもドア」で廻ったような旅でしたが、思ったよりもスムーズに気持ちを切り替えることができました。これはミャンマー、オーストラリアでもインドでも欠かさず書いていたリフレクション(反省・振り返り)作業のおかげだと思います。リフレクションを書くことで気持ちが一度リセットされます。でも、日にちが経ってもページを読めば、その時間に自分の気持ちがいつでも舞い戻れるのです。

自分のテーマにとことん向き合う

▲ヤンゴンのShwe Dagon Pagoda (シュエダゴン・パゴダ)にて。アンディ先生、ミャンマーグループの仲間と共に

 ミャンマーでのさまざまな経験を通して、より積極的になり、興味関心の追求の楽しさも知り、研究テーマにとことん向き合うということがとても好きになりました。「自分がなぜそれを興味深いと思っているのか」と考えるだけで楽しくなります。
 以前は、新聞から記事を選んでノートを作ったりしていましたが、それらの作業は読んだり見た知識を蓄えていくだけ、ということに気が付いたのです。今は、必要な情報がなぜ必要なのか、大切なのかを見極めてからリサーチし始めるようになりました。また、自分の研究テーマについて、批判的な思考(Critical thinking)を持って調べるようになりました。このことは他の授業でも役立っていると思います。

 国際インターンシップの授業では、先生方が研究するための学び方や調査方法をわかりやすく説明してくださり、手厚くサポートもしてくれます。これは国際インターンシップの最大の魅力であると考えます。ミャンマーでは、私たち学生はバーフィールド先生の指導を受けながら、集中して学問に向き合って取り組むことができました。この機会がなかったら、私は学問にきちんと向き合うことや手法を学ぶことができなかったかもしれません。先生や仲間と一緒の時間を過ごしたからこそ、見つけられたテーマにじっくり向き合えるようになりました。そしてバーフィールド先生をはじめ、国際インターンシップを担当する酒井由美子先生や齋藤百合子先生のサポートがなかったら、自分は絶対に成長できていなかっただろうと思っています。
 

これから自分で、
知らないから学んでみたい~もっと学びたい

▲ラシオの子どもたちと交流し、彼らの独創性、創造力に驚かされました

 法学部にはいろんな友達がいて、目指す先も法曹だったり、公務員、国際関係等、人それぞれで、興味がある分野などさまざまですが、彼らにはいつも励まされています。

 これまでの学びや経験を経て、ミャンマーでは「多言語主義と教育」というテーマで研究を行いました。そして、教育の問題だけでなく、政治や法律などいろいろな分野が絡み合い、社会問題の複雑さを改めて痛感しました。

 現在は国際インターンシップ後期の研究として、カナダと日本のミャンマーコミュニティやそこに暮らす人々について調べています。資料をただ読むのではなく、「一つ一つの問題に向き合う、自分の頭で考える」という学びを最大限に生かし、授業や夏の経験も活用しながら、より深く研究していきたいと思っています。

 そして、専門演習の北井先生のゼミでは英米法を学び、授業でイギリスとアメリカの判例を読んだり、意見を交換したりしています。ゼミでも先生方から、より多くのことを学べるので、この時間をとても大切にしています。国際インターンシップだけに限らず、北井ゼミとFLP武石ゼミでの時間で学んだことも早く習得できるよう、これからも頑張っていきます。
 

法学部の授業科目<国際インターンシップのここが良い!~ミャンマー編>

・企業や団体、国際機関等を訪問して話を聞き、文献や資料では分からない体験や実態を見て聞いて体感できる。
・身に付けた語学力を生かすことができる。
・自分のテーマとしている事象について、とことん掘り下げることができる。
・先生方のサポートが手厚く、より積極的になれる。
・自分次第でいくらでも成長できる。

<久保田さんの活動経歴>

●大学中の海外渡航歴
・2017年8月カナダ・カルガリー(1か月)
・2017年10~11月(10日間)FLP武石ゼミ合宿:アメリカ・ボストン、ニューヨーク
・2018年2月~4月アメリカ・オクラホマ→サンディエゴ(約1か月半程度)
・2018年8月(2週間)国際インターンシップ:ミャンマー・ヤンゴン、ラシオ
・2018年9月(1週間)FLPプログラムの武石ゼミ合宿(1週間)=オーストラリア・メルボルン、シドニー
・2018年9月(1週間)商学部武石ゼミ合宿 =インド・デリー

■利用した奨学金や支援制度
●法学部やる気応援奨学金(ミャンマー)
●FLP演習教育活動補助費2017年度(ボストン、ニューヨーク)、2018年度(メルボルン、シドニー)

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