• HOME >
  • ニュース >
  • 世界遺産都市・都江堰市代表団が後楽園キャンパスを来訪。研究開発機構教授 石川幹子が、国際シンポジウムで都江堰市「公園都市構想」アドバイザー就任

NEWS

世界遺産都市・都江堰市代表団が後楽園キャンパスを来訪。研究開発機構教授 石川幹子が、国際シンポジウムで都江堰市「公園都市構想」アドバイザー就任

2019年06月27日

▲シンポジウムに出席した皆さん。都江堰市代表団、石川幹子教授、
山田正教授、聴講した中央大学の学生も共に写真におさまりました

 2019年5月22日(水)、中国四川省都江堰市(とこうえんし)代表団の皆さんが後楽園キャンパスを表敬訪問されました。
 また、同日夕刻には、京王プラザホテルにて同市の主催する国際シンポジウム「 悠久の時を超える都江堰~2300年の水・人間環境と震災復興・都市農村政策の展開」が開催され、中央大学研究開発機構教授 石川幹子と理工学部教授 山田正が出席したほか、理工学部  人間総合理工学科、都市環境学科の学生らが聴講しました。
 
■シンポジウム共催:中央大学研究開発機構「水大循環をベースとした持続的な水・人間環境の構築」ユニット
(責任者:理工学部教授  山田正)

都江堰市代表団ご一行が後楽園キャンパスを来訪されました

 中国、四川省都江堰市代表団の皆さんの後楽園キャンパス来訪は、2008年に中国・四川省で発生した「「四川汶川(ぶんせん)大地震」の被災直後から、研究開発機構教授 石川幹子が世界遺産都市である都江堰市の復興グランドデザインに携わり、さまざまな提言と支援活動を継続的に行っていることを契機に実現しました。

 当日は石川教授の案内で、都江堰市委員会書記  盧勝氏をはじめとする代表団の皆さん6名が、理工学部長 樫山和男と研究開発機構長 築山修治を表敬訪問されました。
 新緑が美しく爽やかな後楽園キャンパスに到着されたご一行を樫山と築山が出迎えました。その後、所要のために離席した樫山理工学部長に代わり、築山研究開発機構長が中央大学や理工学部、研究開発機構の取組みを紹介しました。
 都江堰市の盧勝書記は、「石川先生の研究するキャンパスを訪問できたことはとてもうれしいです。これまで10年に渡り石川先生をはじめとする中央大学の研究グループの皆さんにはお世話になってきました。今日の訪問を通じて、この友情をさらに深めていきたい」と、今後の交流について抱負を述べられました。

▲石川教授研究グループが作成した都江堰市の扇状地ジオラマ(地形模型)を前に、都江堰市の復興について熱く語り合いました
◀(写真左から)理工学部長 樫山、都江堰市書記 盧勝氏、同市副主席 周俊氏、研究開発機構長 築山

世界遺産「都江堰」について ~中央大学との関わり

▲世界遺産「都江堰」の雄大な風景

 中国四川省は中国西南部に位置し、北は青海省、甘粛省、東は重慶、南は雲南省、西はチベット高原へ続き、人口8000万人を擁し、古くから、さまざまな民族が交流する文化の拠点として栄えてきました。
 都江堰市には、2300年前に李冰(りひょう)※によって築かれた水利施設「都江堰」があり、2000年に道教の聖地といわれる青城山と共に「青城山と都江堰水利(灌漑)施設」として世界遺産の文化遺産に登録されました。また、青城山麓にはパンダ保護研究センターがあり、一帯は世界自然遺産「四川ジャイアントパンダ保護区群」の一つでもあります。

 2008年5月12日、龍門山脈を震源とする「四川汶川大地震」が発生し、6万5千人の方々が亡くなられ、世界遺産都市「都江堰市」を始め、多くの都市が壊滅しました。
 被災直後に、復興計画の国際公募を知った石川教授は、被災地の一つである都江堰市の復興計画をまとめ、その提案が「復興グランドデザイン栄誉賞」に選ばれました。翌年には現地で大規模な農村調査も行いましたが、農村部における復興計画はなかなか実現に至りませんでした。しかし近年、中国政府・習近平国家主席が環境や生態維持の大方針を発表し、復興計画が再スタートしました。さらに中国政府より、都江堰市の復興案が「農村地域における自然と農村が共存する街づくり」のモデルケースに選ばれました。中国の多くの農村地域が都江堰市案を参考にした街づくりを始めることとなります。

 中央大学理工学部は、古代水利工に起源を有する水利用の文化的基盤を掘り起こし、農村文化(林盤)の保全と再生について、さまざまな提言と支援活動を行ってきました。都江堰市は、諸葛孔明が‟沃野千里、天府の地“と称えた、2300年の歴史を有する世界遺産都市であり、旧市街地の復興のみならず四川平野に広がる農村地域の保全と再生は、極めて重要な課題です。2019年4月に成都市(四川省の中核都市)で開催された「世界公園都市会議」において、四川平野における「公園都市構想」が大きく動いていくこととなりました。これにより、都江堰市と中央大学は研究提携を強化していくこととしています。

※李冰(りひょう)=中国・秦の政治家。生没年不詳。昭王(在位、前306ー前251)に蜀(四川省)の太守となり、岷江(みんこう)の治水事業に携わった。成都の民を発して、灌県の北西の江中に「都江堰(とこうえん)」と呼ばれる堰堤を築いて流れを二分し、さらに水門を設けて水量の調節をはかった。この水利施設により付近一帯は洪水の害をまぬがれたばかりでなく、灌漑や航運に便利となり、蜀の地に計り知れぬ利益をもたらしたと伝えられる。(出典元:世界大百科事典 第2版) 
 

農村文化(林盤)に着目した復興デザイン

  都江堰市は、世界遺産である古代の水利施設の名を冠し、四川盆地が作り出す扇状地にあります。ここには、扇状地特有の網の目状の水路を生かした「林盤」と呼ばれる伝統的集落が1000以上点在し、林の中に家屋、田畑、家畜が共存する集合体を形成しています。一つの「林盤」には50~100人が住んでいます。
 

 石川教授は、この「林盤」に着目し、10年前に大規模な農村調査を実施しました。「林盤」は、諸葛孔明が讃えた『天府之地』と呼ばれる農耕文明を支えるコミュニティの基盤で、国際記念物遺跡会議(ICOMOS=イコモス)の定義する「文化的景観」です。この文化的景観を、どのように維持しながら活力ある農村を再生していくのか、「林盤」をコアとする復興デザインを考案しました。
▲地道な調査を反映した林盤のジオラマ 

都江堰市主催の国際シンポジウムが開催され、石川教授が「公園都市構想」のアドバイザーに
就任しました



 同日夕刻には、国際シンポジウム「悠久の時を超える都江堰~2300年の水・人間環境と震災復興・都市農村政策の展開」が開催されました。

 会場には、都江堰市代表団、石川教授、山田教授をはじめとする、都江堰市の復興計画と公園都市構想にかかわる、建築、公園整備、河川、伝統文化(茶道)、観光プロモーション等、さまざまな分野の日本人専門家や関係者らが集まりました。また、本年9月に現地への訪問を予定している中央大学理工学部の学生が聴講に訪れました。


 都江堰市代表団の方々の挨拶、都江堰市の紹介映像の披露に続き、日本人専門家の皆さんがそれぞれの都江堰に対しての思いやスペシャリストならではの意見、今後の抱負等を述べました。途中、聴講する中央大学の学生を石川教授が紹介するといった一幕もありました。続いて、「公園都市構想」計画のアドバイザーの就任調印式が行われ、石川教授が任命されました。
 このシンポジウムは、出席した皆さんが日中友好に思いを寄せ、震災復興と新しい世界遺産都市の実現に向けて、心ひとつに新たなスタートを切る良いきっかけとなりました。

専門家としての意見を述べる石川教授と山田教授

石川幹子教授  
 都江堰市を初めて訪問したのは、2008年5月12日の大震災から約1か月後のことでした。世界から10チームのプロジェクトが招集され、日本からは私のチームがまいりました。壊滅した市役所に行き、テントの前で最初のミーティングを行ったことをよく覚えています。

 あれから10年、本当に素晴らしい復興を遂げられました。こちらにいる都江堰市代表団の皆様はその先頭に立ってお仕事してこられました。あれだけ壊滅した街がここまで復興しているのを見るたびに、いつ訪れても胸を突かれます。

 今日、倉庫から出して持ってきた模型は、地震後に、当時の学生と一緒に作ったものです。都江堰の命、財産、一番大切なものが何なのかを考えようと学生と共に表現しました。山があり川が流れ、李冰(りひょう)が作った2300年前の水路が網の目のように四川盆地を潤し、諸葛孔明が『沃野千里、天府の地』と称えました。私はこれこそが、世界に誇る都江堰の財産だと思います。旧市街地・青城山と、大地と人間と互いに助け合いながら育ててきたシステムを磨き、新しい時代にふさわしいものにしていき、次の世代に手渡していくことを、私たちが考えていかなければならないと思っています。
  今日は中央大学の若い学生を連れてきました。この9月に学生と共に訪問しますので、どうぞよろしくお願いします。
 
山田正教授
 石川幹子教授と同じ、中央大学理工学部都市環境学科の教授をしております。今日のフォーラムに招待いただき感謝しています。
 四川省や都江堰、成都には、いくつかの思い入れがあります。成都市の都市計画のひとつに、沙河(さへい)という川の周りを整備して住宅街にするという国際コンペがあり、私の案が採用されました。4年前に成都市を訪れた際に、私のデザインしたものが立派な高級住宅街になったのを見て非常にうれしかった思い出があります。

 私は現在、日本河川協会の副会長をしているのですが、都江堰という地域に対して、河川工学的に非常に興味を持っています。というのも、日本には京都という街があり、昔は日本の首都は東京ではなくて、1000年ほど京都にありました。京都の西には桂川という川があるのですが、そこの水利施設が都江堰の施設と非常にそっくりなのです。日本の有名な小説家の司馬遼太郎さんや京都大学の歴史学者は、おそらく今から1300年前に、都江堰のものをそっくりそのまま真似をしたのだろうと言っています。京都の規模はだいぶ小さいものですが、本当に李冰さんの作った都江堰のものとそっくりです。それを日本の河川関係者に周知したり、比較研究できないかと考えています。都江堰の2300年前に作られた場所に、日本の河川工学者を連れて行き、学術的研究として、研究してみたいと思っています。そのときに、皆さんにお会いできることを楽しみにしています。
 

石川教授が都江堰市「公園都市構想」のアドバイザーに就任

 都江堰市の「公園構想計画」の実現に向けて、日本から各専門家の方々がアドバイザーとして就任しました。これまでの研究、提言、支援活動の実績が認められ、石川教授もそのひとりに選ばれました。アドバイザーとなる皆さんは、引き続き、都江堰市の取組みをバックアップする要として期待されています。

▲アドバイザー就任のサインをする石川教授

▲都江堰市書記盧勝氏より石川教授に贈呈

▲石川教授が理工学部の学生を紹介。学生たちは、夏休み期間に石川教授と共に都江堰市を訪問する予定です

▲石川教授と共にアドバイザーに就任された専門家の皆さん

▲都江堰市代表団の方、石川教授と中央大学の学生

前へ

次へ