05 REPORT

日本に高い関心をもつトルコの人たち。
~留学から見えてきた真の国際交流の姿とは

2020年07月10日

▲眠気も吹き飛ぶ絶景!!(カッパドキアの気球)

 髙山  桜笑 さん    
 中央大学  総合政策学部国際政策文化学科3年 
 [学部] 専門演習:櫻井秀子ゼミ(総合政策学部教授)
 [FLP] 国際協力プログラム:中川康弘ゼミ(経済学部准教授)

 ■中東工科大学(トルコ)へ1セメスター留学
 (留学時期:2019年9月~2019年12月)

憧れだった海外留学の夢を実現! イスラームの社会の中で暮らして学んでみたい

▲アンカラ城は市街地を見渡すことができるランドマーク

 小・中学生の頃に海外ドラマを見て、海外に対して漠然とした憧れを抱き、高校時代には、出身地の青森県教育委員会主催で韓国と台湾を訪問するチャンスを得ました。その機会に英語を勉強したり、日本の魅力を紹介するプログラムに参加したりしたことによって、海外がより身近になりました。大学生になったら留学して、いつかは海外に住む経験がしたいという気持ちが芽生えたのです。
 中央大学総合政策学部に入学後は、社会文化論を中心に学ぶとともに、櫻井秀子教授のゼミでイスラームや新自由主義批判を、2年次からはFLP国際協力プログラムにも所属し、中川康弘准教授のゼミで日本語教育を学び、国際協力のあるべき姿に関する学びを深めています。

 そして、高校時代からの目標だった留学。2020年9月から4か月間、トルコ共和国の首都アンカラにある中東工科大学へ留学しました。イスラームの社会や文化に興味があり、ゼミでも学んできました。トルコ国民の多くがムスリムということから、実際に生活してみたいと思い、留学先として選びました。トルコは、地理的にアジアとヨーロッパを結ぶ場所で、非英語圏ならではの留学ができるのではないか、また物価が安く、留学費用が他国と比べて安価であることも決め手となりました。
 留学が決まってからは、学部内の英語で行われる授業を受講して、英語の講義に慣れるようにしたり、TEDの動画を視聴したりして備えました。トルコ語に関しては、実は一つもわからないまま日本を発ちましたが、英語さえ話せれば問題はないと考えていました。実際に行ってみると最初は不便なこともありましたが、最終的には現地で覚えたトルコ語で生活に困らない程度に成長しました。
 

トルコの学生や留学生たちと過ごして学んだこととは

▲中東工科大学の中で一番新しい建物には、大講義室と普通の講義室が集まっています

 中東工科大学では社会学を専攻し、中東地域の社会について学びました。特に、女性の地位について興味を持っていたこともあり、期末レポートはこのトピックを扱いました。イスラームの社会では、女性を抑圧していると考えられがちですが、実際に社会階層が形成されていて、なかでも貧困層においては教育に対する理解が得られないのです。そのために貧困層の女性たちの多くは学校に通うことができず、早婚に繋がっているという実態を知ることができました。この現象は中東地域だけに限らず、世界中で問題になっているように思います。このテーマは引き続き勉強していきたいです。
 
 この大学で学ぶ留学生は、交換留学生のほか、入学して4年間学ぶ正規留学生など約1,700名が在籍しており、アゼルバイジャンや中央アジアからの留学生が多いように感じました。留学中は大学の敷地内にある寮で過ごしました。留学生は4タイプの寮から選択できて、私は4人部屋を選びました。韓国、台湾、アゼルバイジャンからの留学生と共に生活しました。朝晩の食事は共用のキッチンで自炊することがほとんどでしたが、ときには寮の食堂やキャンパス外のレストランに行くこともありました。昼はカフェテリアで食べたり、各学部棟の食堂で食べたりしていました。

 日本では初対面の人と遊びに行くことはあまりしませんでしたが、留学中は積極的に過ごそうと思っていたので、知り合ったばかりでも現地学生から誘われたら出かけるようにしていました。すると、授業で仲良くなったトルコ人学生が友人とのランチに誘ってくれたり、誕生日パーティの仲間に入れてくれるなど、とても親切にしてもらえて、とても嬉しかったです。
 また、異なる国・地域からの来たルームメイトとは、自分の国の政治や文化等について深く聞ける良い機会だと思い、部屋での会話を大切に過ごしました。彼女たちは自分の国の政治や社会問題に関心を持っていて、慰安婦に関する施設でインターンをしたり、選挙に合わせて帰国日を決めるなど、実際にさまざま行動しているようでした。しかし私は、日本の政治や社会問題について聞かれたり意見を求められても、うまく答えられませんでした。今まで自国の政治や社会問題に無関心で生きてきたことを痛感させられました。もっと日本の社会問題について当事者意識をもって向き合おう、日本国内の格差といった社会問題等にも、もっと目を向けようと思いました。

親日で、日本に高い関心をもつトルコの人たち

▲ルームメイトの誕生日をお祝いしました(右から2人目が筆者)

 トルコ人学生と会話をしていると、日本の〇〇〇というアニメが好きだとか、日本の〇〇に行ってみたい、というようなことをたびたび言われたりしました。また、大学の日本文化クラブのミーティングに参加したときや、アンカラにある土日基金文化センター(土=トルコ、日=日本)※を訪問した際には、日本についてたくさんの質問をされました。具体的な話題が出てくることも多く、彼らが日本に高い関心を持っていることを実感しました。
 
 また買い物等で街に出ると、私が日本人だと分かるとおまけしてくれる店主や日本に関する話題を話してくれたり、タクシーに乗った際にも運転手さんから日本のサッカー選手の名前が出てきたりしました。日本人というだけで、得したり気持ちが和むような出来事がたくさんありました。トルコ国内には多くの日本車が走り、日本の工業製品も使われています。メディアを通じて日本のアニメ、マンガ、スポーツ、日本食、日本語、建築などを知ることもできるなど、トルコの人々は日本の文化とサブカルチャーに触れる機会が多いのだと思いました。
 
 一方でトルコに来る前、私のトルコに対してのイメージは漠然とし、特別な感情は抱いていませんでした。たぶん多くの日本人も私と同じようだと思います。日本人のトルコに対しての関心度の低さは、身近にトルコ製品がないことやトルコ出身の有名人がいない、報道されるトルコのニュースもあまりないために、トルコの文化や出来事に触れる機会が少ないからなのでしょう。
 
※土日交流文化センター=日本の友人を増やし、世界との絆をはぐくむため、「文化」と「言語」と「対話」を通じて日本と世界をつなぐ場をつくることを目的に活動している日本の独立行政法人国際交流基金が運営するセンター。1998年に開館し、2000年から日本語講座を実施し、年間100人以上のトルコ人が日本語を学んでいる

 

留学ダイアリーから、日本とトルコのつながり・国際交流促進の課題を考察する

▲537年に完成したというイスタンブールのアヤソフィアは世界遺産に登録されている

 帰国後、「トルコ人と日本人の知識量の差に関するー考察」というテーマで、日本語と英語の留学レポートを執筆しました。このレポートは独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)のウェブマガジン『留学交流』に掲載していただきました。
 日本とトルコ間のつながりや国際交流の側面から気が付いたこと、交流の促進に向けた課題を、留学中に書き留めていたダイアリーの中から紐解くことで明らかにできるのではないかと思いながら書き上げました。
 このレポートを書いていた時は、期末テストも終わって日本へ帰国する直前だったため、留学期間を客観的に振り返る良い機会にもなりました。4か月間という短い期間ではありましたが、日々の生活や人との関わりの中に学びがあったことを改めて感じました。またこのようなレポートを作成するのは初めてでしたが、中川先生に助言をいただきながら完成させることができました。JASSOのホームページに掲載されたときには、達成感を味わうとともに、トルコに興味を持つ人がこれから増えたらいいなと思いました。

 トルコに限らず、日本に憧れを抱き、日本語を学んでいる人々がアジア諸国にもたくさんいます。本当の意味で国際交流をするためには、一方から知識や技術、話題を提供するだけではなく、国民同士が対話したり交流することが大切なことだと思います。それが真の国際交流につながるはずです。

 私は海外に憧れを抱き、高校時代に初めて研修で海外に行ったことが今回の留学経験につながりました。そして現地に行ったからこそ肌で感じ取り学ぶことができました。私と同じように、中学や高校のうちに海外経験のできる学生を増やすための活動もしてみたいと思っています。また、留学中には多くの現地学生に助けてもらいました。中央大学に来た留学生が何か困っていることがあれば力になりたいです。
 この留学で新たに学びたいことを見つけられました。さらに学びを深めながら、将来の夢を具現化していきたいです。

▲世界三大図書館の一つといわれるエフェソス遺跡のケルスス図書館


                 ▶アンカラの南に位置するコンヤは
                  メヴレヴィー教団で有名な都市。
                  高速鉄道が通り、アクセスしやすい

前へ