05 REPORT

「JICAボランティアセミナー」を開催

2017年01月25日

 2017年1月13日(金)、多摩キャンパス3号館にて「JICAボランティアセミナー」を開催しました。このセミナーは青年海外協力隊(JOCV)経験者から体験談や事業の仕組みについて説明を聞き、国際協力について考えるきっかけにすることを目的にしています。当日はJOCVとしてケニアに派遣された経験を持つ岸 卓巨氏(2008年度法学部卒)を招き、現地での活動を紹介しました。会場には国際協力等に関心のある学生たち約200名が集まったほか、経済学部教授 林 光洋ゼミ「国際開発論」を受講する学生がセミナー運営をサポートしました。
 体験談の前には、青年海外協力協会 立脇慧一氏より国際協力機構(JICA)ボランティア事業について、青年海外協力隊や日系社会青年ボランティア、短期ボランティア制度といった種類や目的のほか、ボランティア参加者への支援体制について説明がありました。
 続いて岸氏より、実際にどういった活動をしてきたのかケニアでの体験談が語られました。岸氏は、最初にスワヒリ語で自己紹介をした後、学生たちと対話しながらケニアの状況を説明。学生の中には海外ボランティアの経験がある学生もおり、セミナー後の質疑応答では青年海外協力隊参加後の進路やボランティアで大切にしていたことなど質問が活発に飛び交い、盛大な拍手とともにセミナーを終えました。
 
「帰国後を心配する人のためにサポートもあります」と立脇氏。
2017年度 春募集の体験談&説明会は3月25日~5月1日まで。

 

青年海外協力隊(ケニア派遣)


【プロフィール】
岸 卓巨 氏

青年海外協力隊/平成23(2011)年度ケニア2次隊/職種:青少年活動

2008年度 中央大学 法学部国際企業関係法学科 卒業
日本公文教育研究会に就職し、
KUMONのエリアマネージャーに就任
2011年度 青年海外協力隊 ケニアに派遣される
2014年度 中央大学大学院 総合政策学研究科博士前期課程 修了

現在は独立行政法人 日本スポーツ振興センターで、スポーツを通した国際貢献事業 『Sports for Tomorrow』のプロジェクトマネジャーとして活躍。NPO法人サロン2002事務局長。



経済発展とその裏側。現場はないものだらけ
 ケニアは国立公園やマサイ族などが有名ですね。ビーチリゾート地としても海外観光客で賑わっています。その反面、スラムは増加していて、近年では大学生やサラリーマンも生活しています。しかし、政府はビルや観光地を建設するために強制的な取り壊しを進めていて、何万人もの住民が住処を追われています。こうしたなか、罪を犯したり保護されたりした子どもは家庭裁判所の判決が下るまで「リマインドホーム(児童保護拘置所)」と呼ばれる施設に収容されます。この子どもたちに、学習・スポーツ指導を通じた生活面のケアを行うため、ケニアに派遣されました。しかし、現地へ行ってみると学習するための文房具や本、スポーツするための道具、場所がない。なにより、ケニア人の同僚のやる気がありません。現場レベルでは、支援を求められていなかったんです。

まず、スタッフと関係を構築してから課題に取り組む
 同僚と、どう関係を構築したか。コミュニケーションを取るために、仕事以外でも積極的に関わりを持つようにしました。ケニアでも東日本大震災のことは知られていたので日本とSkypeを繋ぎ、合同で追悼式を実施。この取り組みは日本の新聞で紹介され、現地スタッフのやる気アップにも繋がりました。次第に私の提案を聞いてくれるようになり、施設の外にあった畑をグラウンドとして整備して、みんなでスポーツに取り組めるようになりました。現地スタッフが懸念していたことは、子どもたちが逃亡してしまわないかということ。しかし、施設内で監視していても、逃亡する時はするんです。スポーツを始めてから、かえって逃走は減りましたし、病気や争いも減るというメリットがありました。学習面では、日本でKUMONに就職していたことが役に立ちました。

自分で考える自由があるのが、青年海外協力隊!
 家庭裁判所から帰宅指示が下りても、何度も施設に戻ってきてしまう子どももいました。家庭で抱えている問題が、解決していないことが理由です。そんな子たちのためにサッカークラブを結成し、地域での居場所を作りました。このほか、イベントを開いて地域住民が集まる場を設け、イベントとHIV検査など啓発活動を同時に行いました。
 JICAボランティア事業は、海外政府からJICAが要請を受け、青年海外協力隊が地域とコミュニケーションを取りながらボランティアを行います。そのため、海外政府と民間、両面の姿勢を見ることができました。
 専門家や開発コンサルタントに比べ、目の前の人には何が必要か自分たちで考える自由度があるのが青年海外協力隊。隊員経験者の中には、活動を通じてできたネットワークを活かし、その後の活動やビジネスに繋げている人もいます。日本と異なる環境のなか、自分は何を大切にしているか、自分自身を見つめ直す機会にもなりました。
 
岸氏の本学での発表は、昨年に続き2回目。
JOCVでの出会いが現在の仕事に繋がったという。

 

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