05 REPORT

留学支援制度『トビタテ!留学JAPAN』の『不』合格者から学ぶ会

2017年10月23日

 学生団体主催によるイベント「トビタテ!『不』合格者報告会 ~翼の折れたエンジェルたち~」が、2017年10月11日(水)に多摩キャンパス ヒルトップ2階Gスクエアにて開催されました。
 グローバル化を推進する本学では、学生たちの留学を支援するために本学独自の奨学金制度の設置や語学講座の開催等、さまざまな取り組みを行っています。
 この一環として、国際センターでは文部科学省が主催する留学支援制度『トビタテ!留学JAPAN 日本代表プログラム』への合格をバックアップしており、随時、合格者による報告会を開催しています。
 今回の報告会では、「失敗談からこそ学ぶことが多いのでは?」と裏側の視点に立った学生団体「中央大学変人学部」が、『トビタテ!留学JAPAN 日本代表プログラム』に合格できなかった学生3名を登壇者として招き、留学計画や不合格のその後、留学の意義についてディスカッションしました。また、ゲストとしてトビタテ!に合格した学生が登壇し、双方向の意見が飛び交う有意義なイベントとなりました。
「中央大学変人学部」
国際、政治、文化など様々な分野で活動する学生たちが自ら講師となり、“授業”という形でイベントを企画して情報を発信。交流を行っている。

 登壇した4名の学生は総括として、トビタテに合格できなかった原因を「将来性・専門性・実績・想い」の欠如だと判断。会場に集まった学生たちに対し、これらの要素が自分の留学計画に足りているか見直し、実りある留学にして欲しいとエールを送りました。

登壇者コメント

↑左より加藤さん(総5)、庄司さん(法4)

加藤英樹さん
(総合政策学部5年/トビタテ第3期不合格)

2015年8月~2016年5月にアメリカ、ノースカロライナ大学アシュビル校に交換留学。中央大学英字新聞学会「白門ヘラルド」部長。外資系通信社インターンシップ生。

 交換留学は決定していたため、トビタテ用に留学動機を別途考えて計画書を書きました。そのため、動機がまとまりのないものになってしまった。不合格通知を受け取り、留学する必要が本当にあったのか悩み始めました。

 アメリカに着いて考え抜いた結果、興味があることにアクションを起こしていきましたが、やっては辞め、やっては辞め、すぐにスタートに戻っていつまでもゴールに辿り着かないことに不安を覚え、また落ち込みました。ここで初めて、自分は誰かに相談しないとやっていけない弱い人間なんだと気が付きます。

 留学を通じてビジネスに目を向けるようになり、帰国後は英字新聞の部長に立候補。就職活動では留学経験についてはほぼ触れず、部長として身に付けたリーダーシップをアピールし第一志望のコンサルティング会社に内定しました。留学は僕にとって人生の岐路。自分の弱さと向き合える体験でした。

石井孝侑さん(法学部4年/トビタテ第5期不合格)
2016年8月~2017年1月まで、スウェーデン、リンネ大学に留学。
就職活動支援団体エンカレッジ・中央大学支部の広報。平日はベンチャー企業にて人事を担当。


 トビタテに応募したのは、ブランド力が欲しかったから。トビタテ参加で自分にブランドが付くように感じる学生は、多かれ少なかれいると思います。留学計画は日本のスマートシティ化でした。この計画なら合格できると周囲から言われていましたし、トビタテに受かった友人が多かったこともあり、不合格だった時はショックでした。

 しかし振り返ってみると、文系学部なのに理系のコースで応募していて実績が伴っていませんでした。トビタテには「なんでこんなことができるんだ!?」と思えるような“凄い人”が多くいますが、彼らの話を聞いていると、これまで積み重ねてきたものがあります。

 私は不合格によりキャリア像の変化が生まれました。「人の評価やブランドを気にするのではなく、自分がやりたいことをやる」という考えに変わり、来年からは金融マンとして働きます。

↑左より石井さん(法4)、谷村さん(法4)

谷村一成さん
(法学部4年/トビタテ第7期不合格)

「中央大学変人学部」部長。NPO法人greenbirdで多摩地域のまちづくりを行う一方、アイヌ民族の伝統文化継承活動のため国内外を飛び回っている。

 トビタテは、大学を休学して留学することを親に認めてもらう要素でした。「やりたいプランがある」と国際センターに相談したところ、トビタテを紹介されたんです。親にも「文部科学省の事業であるなら」と納得してもらえました。

 しかし、トビタテに留学計画書を提出してから1次審査の結果を受け取るまでに、「時間を費やしてまでやりたいことではなかった」と思い始めました。そのため、不合格通知を受け取ってもすっきりした気持ちでしたね。7か国を巡る留学計画でしたが、計画自体も無謀でした。

 不合格後はすぐに就職活動を始め、早々に内定を頂きました。過去の留学経験も踏まえて感じることは、留学は選択肢の1つにしかすぎないということ。
 自分がやりたいと思うことが留学することによってできるのであれば、留学という選択をすればいいと思います。

庄司清太さん(法学部4年/トビタテ第5期合格)
中央大学政治学会所属。トビタテの世界トップレベル大学等コースに合格し、
2016年9月~2017年5月までイギリス・スコットランド、エディンバラ大学に認定留学。


 トビタテに合格できた時には、自分がやってきたことが認められたのだと自己肯定感が高まりました。それと同時に本当に実行できるかという不安がありました。

 留学中には自分で立てた留学計画に追いつかず、理想と現実のギャップに悩まされて自分のレベル不足を実感。しかし、勉強するに従い成績が上がっていったので、頑張れば自分の力で進んでいけるのだと手応えを感じました。

 今回の留学は、目標と自分の距離を再確認することができました。トビタテ合格には最低限、将来像がなければいけないと思います。留学は将来の目的を達成するための手段。
 自分に将来性があると言うことは難しいですが、トビタテの申請書や面接では、「これまでの自分がこれをしてきて、今の自分がこれをしているから、その先にはこれがある」と、今の自分と計画した未来がかけ離れたものではないことを説明しました。

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