05 REPORT

【 第11回IW実施報告 】FLP国際協力プログラム「期末成果報告会」「JICA平和構築シニア・アドバイザーによる講演会」を実施しました

2020年03月31日

インターナショナル・ウィーク   第11回 アフリカ・アジア諸国
 2019年12月14日(土)、多摩キャンパス3号館にて、FLP国際協力プログラム期末成果報告会・講演会が開催されました。
 当日は午前10時から午後4時過ぎまで、中央大学FLP国際協力プログラムを履修するほぼすべての学生らが、3つの教室にて、途上国を中心に実施された現地調査を含む、1年間の調査研究の成果を報告しました。
 午後4時30分からは、国際協力機構(JICA)の平和構築シニア・アドバイザー 花谷  厚(はなたに あつし)氏をお迎えし、「アフリカの難民問題と開発援助に期待される役割」をテーマに、花谷氏がこれまでアフリカ地域のケニア、ウガンダ、スーダン等で実施してきた活動を交えながら、世界の難民問題の課題や解決策、JICAの取組み等について講演いただきました。

 この講演会は、本学の2019年度インターナショナル・ウィークを締めくくるイベントとしても実施され、FLP国際協力プログラム期末成果報告会で発表を終えた学生のほか、途上国開発や国際協力に興味を持つ学生が多数出席しました。

 JICA平和構築シニア・アドバイザー講演会
「アフリカの難民問題と開発援助に期待される役割」

▲「答えてくれる人はいますか!」
学生に挙手を求める花谷厚氏

 現在、世界中で難民・国内避難民といった強制的移動を強いられた人たちは、7,000万人を超えています。その60%以上は、トルコ、パキスタン、ウガンダ、スーダン、ドイツなど約10か国の難民受入国で暮らし、そのうちの半数以上はアフリカ諸国に集中しています。しかし、その難民を受け入れている国の多くは貧困率が高く、開発途上にあるという問題を抱えています。
 これまでの難民支援は、国連難民高等弁務官事務所(以下;UNHCR)を中心に行われてきましたが、難民の長期化や資金や支援の限界、受入国の負担増といった課題も多いのが現状です。難民問題への取り組みは、受入国の多いアフリカやUNHCRだけの問題ではなく、全世界のこととして捉えていく必要があります。2018年には、国連総会で「難民グローバル・コンパクト」(The Global Compact on Refugees)が採択されました。これは、難民受入国の負担軽減、難民の自立促進、第三国定住の拡大や安全な帰還のための環境準備に、国際社会全体として取り組んでいこうという取り決めです。
 
 JICAでは、1990年代から難民支援をスタートし、難民受け入れ地域に対する支援、紛争予防・平和構築を通して難民を生まない環境づくりや難民の自立支援に力を入れてきました。「難民グローバル・コンパクト」の取り組みにも期待を寄せています。
 2019年8月に横浜で開催された第7回アフリカ開発会議(TICAD7)では、サイドイベントの1つとして、JICA、UNHCR、アフリカ連合委員会(AUC)、国連アフリカ担当事務総長特別顧問室(UNOSAA)、難民代表の女性、ウガンダ政府難民担当副大臣、難民キャンプ地区に支店を出したケニアの民間銀行を集め、講演会とパネルディスカッションを行いました。JICAからは花谷氏が登壇し、アフリカにおける難民、国内避難民支援の好事例や進展の紹介、企業や難民自身を含む多様なアクターの取り組み(社会全体としての取り組み)、各機関の連帯やパートナーシップの枠組みの拡大などについてのディスカッションが行われたそうです。
 
 JICAは、130万人の難民を隣国のコンゴ民主共和国や南スーダンから受け入れているウガンダにおいて、難民支援策として、受け入れ地域の農家や難民に対して稲作技術の指導や職業訓練を実施しているほか、地方自治体の開発計画に難民のニーズを取り込むことができれるような協力を目指し、道路や学校、保健所など、難民受け入れ地域で優先度の高いインフラ整備も進めてきました。ウガンダ政府は、自らが貧困国でありながら、難民に対して土地を提供したり、職業の自由を認めたり、市民と同等の社会サービスを与えています。TICAD7のサイドイベントに登壇したウガンダ政府の難民担当副大臣も「難民を受け入れることは世界全体が求められている倫理的役割であり、国際社会が分かち合うべき責務である。ウガンダ政府は革新的な政策を実施し、その責務を果たしている。難民は、受け入れる社会にとって負担になる存在ではなく、彼らはさまざまな貢献を果たしている」と、自国の難民受入の政策や状況について語ったそうです。JICAがウガンダのような難民受入国を支援していることは、難民の支援にもつながっているのです。
 
 講演の最後に花谷氏は、「難民問題は、資金面、難民の長期化・帰還の見通し、受入国の負担、人道支援の限界という多くの課題を抱えているが、JICAをはじめとする開発援助機関は、難民の尊厳ある生の確保と、受け入れ社会との共生を目指している。難民支援や災害復興などの人道支援と、地域開発や国づくりなどの開発支援を、難民受入国との連携強化をしながら進めてゆくことが平和構築への貢献にもつながります」と締めくくりました。 

▲花谷氏は、長年の国内外の業務等により頚椎を痛め、手術直後であったにもかかわらずご講演いただきました

▲経済学部教授 林光洋が、2020年4月よりFLP国際協力プログラムを担当する(写真左から)花谷 氏と小澤 勝彦 氏を紹介しました

「FLP国際協力プログラム」新教員のご紹介

 2020年4月より、FLP国際協力プログラムでは、新しく2名の教員をお迎えします。
 本講演会に登壇いただいた花谷 厚 氏(JICA平和構築アドバイザー)と小澤 勝彦 氏(元JICAエジプト事務所長)です。
 
 花谷 氏は「国際協力における開発と社会」を演習のテーマに設定し、国際協力および社会開発(コミュニティ開発)の場を事例として、外部からの介入とその社会的影響およびそれら介入の利害関係者の行為に着目し、社会的に持続可能な開発の在り方とはどのようなものかについて、学生と一緒になって研究していきたいと述べました。
 小澤 氏からは、国際協力の歴史やSDGsの各分野の学習を通じて、多くの課題は発展途上国に限るものだけではなく、現在の日本や世界全体が取り組まなければならない問題群である、ということに注目して演習の授業をすすめていきたいという説明がありました。

 2019年度 FLP国際協力プログラム期末成果報告会

 FLP( ファカルティリンケージ・プログラム :Faculty-Linkage Program )は、幅広い学問領域をもつ総合大学のメリットを生かした教育プログラムです。所属学部で主専攻を学びながら、学部の枠を越えて設けられた学際的分野のプログラムから体系的に学ぶことができます。「環境・社会・ガバナンス」、「ジャーナリズム」、「国際協力」、「スポーツ・健康科学」、「地域・公共マネジメント」の5プログラムを開設しています。このうちの「国際協力プログラム」は、開発途上国の諸問題を、社会開発と教育・環境、経済開発戦略などの多角的な視点から総合的に研究し、貧困問題の解決に貢献できる能力を養うことのできるプログラムで、多くの学生が履修しています。

 学生たちは、担当教員の下、国内・海外で現地調査を実施したり、文献研究などを行ったりしてきました。学部や専攻が違う仲間と協力し合って行う研究活動は、ときには大変なことも多かったようです。12月14日(土)は、4月からの学びと調査研究の集大成となる成果報告会が実施され、FLP国際協力プログラムを履修するほぼすべての学生がその成果を発表しました。この発表会では、グループまたは個人が約20分の持ち時間の間で発表を行いました。さらに、プレゼンテーション終了後には、フロアーの学生や教員からの質問にも答える時間もあり、学生たちは緊張しながら、一生懸命に回答していました。 途中、機器の不具合でプロジェクターを映し出すことができないといったアクシデントもありましたが、臨機応変に対応して、全員が発表を終えることができました。

前へ

次へ