05 REPORT

科学を学ぶ者が国際会議に参加する意義

2015年07月14日

科学を学ぶ者が国際会議に参加する意義
 
大学院理工学研究科土木工学専攻博士課程後期課程五年 佐々木 翔太
 
 
American Geophysical Union 2013 Fall Meeting(アメリカ地球物理学連合2013年秋季総会)、Asia Oceania Geosciences Society 11th Annual Meeting(アジア・オセアニア地球物理学会第11回年次総会)
2013年12月9日-13日、2014年7月28日-8月1日
サンフランシスコ(アメリカ合衆国)、札幌(日本)
 
 
2013年12月にアメリカ・サンフランシスコで開催されたアメリカ地球物理学連合総会と、2014年7月に札幌で開催されたアジア・オセアニア地球物理学会に参加した時経験したことを通じて僕が考えた「科学を学ぶ者が国際会議に参加する意義」について
書く。
アメリカ地球物理学連合総会で自分の発表を終えた後、宿泊先からスタンフォード大まで電車で片道二時間で行けると知り、ふと足を運んでみようと思った。サンフランシスコ市内を走る地下鉄から特急電車に乗り換えをする駅で、僕は道に迷ってしまった。道に不慣れで迷っている様子の東洋人に、気の良さそうな黒人の青年が声を掛けてくれた。
「空港に行きたいのか?」。僕が「特急電車に乗りたいんだ」と答えると、彼は特急電車の乗り場への行き先を教えてくれた。彼のおかげで僕は(予定の電車に乗り遅れ駅のホームで一時間待つことになったものの)、無事にスタンフォード大まで行くことが出来た。キャンパス内を歩く以上のことはしなかったが、それでも世界トップの大学の一つで学生に交じって思索にふけったり、学食で食事をしたことは気分の良いことであった。
アジア・オセアニア地球物理学会で発表した時、僕がポスターを貼るのに手間取っていると中華系の五〇代くらいの男性が「手伝おう」と声を掛けピンを刺すのを手伝ってくれた。ポスターを貼り終えた後お礼を言うと、彼はさわやかに笑いながら去っていった。異国の地で一人でいる時、人から親切にされることはとても気持ちの良いことだ。例えばアメリカで現地人に親切にされると、アメリカという国そのものに対する印象も良くなる。ならば逆に日本人が海外に行った時や、日本にいる外国人に親切にすることも大事だ。この場合、我々個々人が日本という国を代表していると自覚しなければならない。それ以来、国際会議では自分は日本人の代表だと思って振る舞うよう心掛けている。
人から受けた恩は何らかの形でまた別の人に返すのが道義であろう。アジア・オセアニア地球物理学会で自分の発表を終えた後日、数日前の自分と同じように一人でポスターを貼るのに苦労している様子の自分と同世代の東南アジア系の男性を見掛けた。そこで、僕は数日前に自分が掛けられた言葉と同じ言葉を彼に掛けた。「手伝いますか?」と。彼は快く僕の申し出を受け入れてくれ、ポスターを貼り終えた後に感謝の言葉と共に握手をしてくれた。この学会はこの経験をするために行ったと言っても良いくらいだ。
また、学会から東京への帰路の途中、実家のある青森に立ち寄った。新青森駅で降車すると、白人男性が駅員と話をしているのを見掛けた。駅員さんがどうも要領を得ない様子であったので、僕は、「事情を説明してくれませんか、僕が彼にそのことを英語で伝えます」と声を掛けた。駅員さんから、この電車は回送なので次の電車までこのホームで待っててほしい、と言われたので、その旨を白人男性に伝えた。サンフランシスコの恩を青森で返すことが出来た。
僕がここで紹介した経験は日常のさ末なことだが、科学を学ぶ者が国際会議に参加する意義として、科学という普遍的な真理を通じて世界中の人と意思疎通をし、世界平和に貢献することを目標としたい。胸が痛む国際ニュースを多く耳にする昨今、強くそう考える。
 

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