05 REPORT

2016年度『グローバルスタディーズ』ハワイ大学マノア校

2016年10月11日

2016年度
グローバルスタディーズ
ハワイ大学マノア校における研修報告書

文学部 人文社会学科 英語文学文化専攻 3年
榛原 柚香 苅部 祥大 鈴木 信也 園部 宏樹

1. ハワイ大学で参加した授業(SLS 302 Second Language Learning) について        

担当:榛原 柚香
 

発表をしているハワイ大学の学生

 ハワイ時間9月14日(水)と9月16日(金)の9時30分~10時20分に、Huynh Ahn先生の授業に参加した。この授業は、15人程度で構成されている授業で、日本の大学より短い50分授業であった。授業の形式は、1人の学生が論文についてパワーポイントを用い、プレゼンテーションをするというものだった。授業時間のほとんど全てを発表担当者の学生がコントロールしていて、発表者が考えた質問をみんなで考えたり、質疑応答が活発に行われていたりした。
 9月14日(水)の授業では、”Predicting the birth of a spoken word”という論文について学習した。論文の内容は、子供の言語習得について書かれたものであった。論文の中で行われていた実験は、英語母語話者の子供を1日中ビデオカメラで観察して、どのような言葉をどこでどのような時に発するのか調べたものであった。発表者は映像を交えながら説明していて、非常にわかりやすかった。
 9月16日の授業では、”Can bilingual children turn one language off? Evidence from perceptual switching”という論文について学習した。論文の内容は、中国語と英語のBilingualの子供が2つの言葉をどのように使い分けているかというものだった。3~4歳よりも、4~5歳になると、なぜ聞き分けにくくなるかなどを、少人数のグループに分かれて話し合って、意見を交換した。
 事前に授業で扱う論文を読み、予習をして授業に参加したものの、英語での授業ということで、話についていくだけで精一杯だった。発表者の学生の発表が非常にわかりやすく、理解が深まったことは良い点であった。しかし、質問をしたり、ディスカッションに参加できなかったりしたことが残念であった。また、SLS302の授業では、授業に参加している学生と交流することができなかったことも残念だった。日本の学生に比べて、ハワイ大学の学生は、積極的に授業に参加していると感じ、刺激を受けた。

2. Fukuda Shin先生によるトークについて

担当:2.1,2.3 園部 宏樹
2.2 鈴木 信也

 研修3日目にあたるハワイ時間9月15日(木)に、ハワイ大学のFukuda Shin先生から、 “Split Intransitivity is Syntactic: Evidence for the Unaccusative Hypothesis from Sentence Acceptability and Truth Value Judgment Studies” というテーマでトークをして頂いた。トークには私たちやハワイ大学の学生、William O’Grady先生を始め、ハワイ大学の先生方もいらっしゃった。 

2.1 トークの概要と所感
 トークに参加するに当たり、私たちはハワイ研修前に2回の勉強会を行った。また、文献 (Antonella Sorace and Yoko Shomura (2001) Lexical constraints on the acquisition of split intransitivity: Evidence from L2 Japanese)を読むことにより、Fukuda先生のトークと関連する「分裂自動詞性」や「非対格・非能格動詞」に関して積極的に学習した。
 Fukuda先生のトークの概要としては、分裂自動詞性 (Split Intransitivity) の説明から入りたい。自動詞は非対格動詞(unaccusative verb)と非能格動詞(unergative verb)の2種類に分類することができる。非対格動詞は基底構造において、主語が他動詞の直接目的語(内項)のような振る舞い(例:The accident happened.)をし、一方で非能格動詞では、非対格動詞のように主語が直接目的語から移動してきた内項ではなく、一般的に他動詞の主語(例:I broke a window.を例に挙げると、Iがそうである)にあたる外項である(例:Tom danced.)。この分裂自動詞性を統語構造の違いで説明する非対格仮説(the Unaccusative Hypothesis) と、完結性(telicity)等の意味の観点からの要因であると主張する説が存在している。Fukuda先生は、日本語における分裂自動詞性に関する実験に関して調査したデータに基づきながら、

Fukuda先生によるトークの様子

非対格仮説が事実であると裏付け、日本語の自動詞は統語構造の違いにより、2種類に分類されるとお話しして下さった。
  トークに向けてハワイ研修前に勉強会を行い、予備知識を蓄えたものの、やはりすべて英語によるトークというのは新鮮であった。最前列に座っていた私たちの間にハワイ大学のWilliam O’Grady先生もお掛けになり、「君たちが中央大学の学生たちかな?」と気さくに話しかけてくださったこともあり、リラックスしながらも、少しでも多くのことを学ぼうという思いでこのトークに参加した。Fukuda先生のトーク終了後の質疑応答にて、ハワイ大学の授業に参加させて頂いた時と同様に、積極的に発言するハワイ大学の学生の姿に刺激を受けつつも、英語を理解できていなかったり、発言をすることができなかったりと自分たちの力不足を身に染みて感じた。

2.2 トーク終了後のレセプション
    Fukuda先生のトークの後、現地の学生や先生、中央大学の学生、大学院生、引率の平川眞規子先生の間でレセプション(交流会)が行われた。レセプションでは、内容は自由に、フリートークが行われた。ハワイ大学で言語習得及びに言語発達に関して研究をされているWilliam O’Grady先生、Kenton Harsch先生、言語学の分野で研究をされているFukuda先生、日本語の授業を受け持っている畑先生が参加し、現地学生はハワイ大学の4年生が2人参加した。
 先生方からは研究分野についてのお話や、ハワイ大学での学生たちの雰囲気について、学生たちからは各々の大学生活やハワイでの暮らしについて聞きつつ、自分たちは日本の事情や大学生活について意見した。交流の機会であるのと同時に情報交換の場にもなり、貴重な体験をすることができた。
 参加した現地の学生の1人は、大学の授業で日本語を勉強している学生で、日本の文化に関心があり、日本食やアニメ(anime)、漫画(manga)、テレビゲームなど日本のメディアについて特に関心があり、実際に日本で発売されたテレビゲームを利用していることも聞けた。このことから日本のメディアが海外でも評価されていることを再確認することもできた。また、ハワイの大学には日本の大学のように部活動やサークルがなく、それぞれが自由に仲間を集めて活動したり、自由に生活をしたりしていることも聞き、距離は近いとはいえ国を出てみると全く意外の事実を知ることになるということを改めて実感した。また日本のアコースティックギタリストの押尾コータローを知っていて彼の演奏をインターネットで見て感動し、ギターを始めたということも教えてくれた。国内で著名な日本人がハワイでも認知されていることも実際に確認することができた。またハワイではあまりスポーツがメジャーではないことも聞き、自分たちからスポーツのおもしろさなどを伝えることができた。
 全体的にレセプションを通してハワイがのんびりとした国民性である一方、学生が勉強熱心なところを知った。ハワイの主な職業が観光業であることもあり、日本からの観光客のために日本語の授業が必修となっていたり、日本語の教育に特に力を入れていることも伺えた。

レセプションにてハワイ大学の学生と交流する鈴木・園部

レセプションに参加して下さったO'Grady先生とHarsch先生


2.3 Fukuda先生との夕食会
 

Fukuda先生との夕食会にて

 レセプションの後、Fukuda先生をお招きし、ハワイ大学近くの中華料理店にて夕食会を開いた。夕食会では、Fukuda先生に私たちが中央大学で学んでいることや大学生活についてお話しさせて頂いたり、Fukuda先生からハワイのことやハワイ大学の学生について教えて頂いたりした。具体的には、私たちそれぞれのゼミの研究テーマや私たちがハワイ大学にて参加させて頂いた授業で、堂々と積極的に発言をするハワイ大学の学生の姿に刺激を受けたことについてお話しさせて頂いた。ハワイには人口のうちの過半数を超えている民族がいないという背景があり、そのような様々な民族や文化が入り混じったハワイの特色に関する話題では、ハワイと日本の相違点を発見し、研修前に行った移民の歴史やハワイ文化の事前調査にて蓄えた知識と絡めて、ハワイに対する理解を深めることができた。また、ハワイの学生の就職に関することも話題に上がり、主に観光業で栄えているハワイでは就職口が限られてしまい、職を求め本土に渡る学生もいるということがわかった。観光業で栄え、一見華やかに見えるハワイという地ならではの難しさもまた存在しているということを知ることができたのは、とても貴重な経験だと感じられた。Fukuda先生のお時間を頂戴し、貴重なお話やご意見を頂けたことは、今後の学生生活を送る上で財産になると確信した。

3.ハワイ大学日本語の授業への参加

担当:鈴木 信也

 レセプションの際、ハワイ大学の畑先生から翌日の畑先生の日本語の授業の参加のお誘いをいただき、研修4日目に当たるハワイ時間9月16日(金)の8時30分~9時20分にゲストとして本学学部生全員で授業に参加した。授業は大きな窓の日当たりの良い、開放的な小教室で、学生が16人、先生を囲むように椅子が円状に配置されており、日本ではあまりない教室の雰囲気だった。
 授業が始まると、本学学生から日本語での簡単な自己紹介の後、まず初めに、漢字クイズが行われた。クイズはA4用紙に10問、解答時間10分で行われ、「読者」、「経済」、「影響」などの画数的にも難しい漢字が出題された。解答後には本学学生がそれぞれ2問ずつ正解をホワイトボードに書き、一つひとつの漢字を類語や反意語、例文とあわせて確認をしていった。その際、先生から学生に積極的に発言を促し、多くの学生が手を挙げて発言していた。日本の学生は少し恥ずかしがってあまり授業中に発言しない傾向があるため新鮮でもあった。
 漢字クイズが終わるとハワイ大学の学生3~4人に対して本学学生1人で1グループとなるように5グループをつくり、日本語で「日本のポップカルチャー」についてディスカッションを行った。

日本語の授業にて、日本語でハワイ大学の学生と交流

日本のポップカルチャーとして代表的なものに漫画(manga)やアニメ(anime)があるが、特に日本の漫画(manga)のNARUTOとONE PIECEが人気があり、ハワイ大学の学生のほとんどが知っていた。日本で漫画などのポップカルチャーが多くの人に楽しまれているようにハワイでも日本の漫画(manga)などが多くの人から楽しまれていることがディスカッションを通して知ることができ、貴重な情報交換の場となった。 授業全体を通して、ハワイ大学が日本語の教育に力を入れており、想像以上に高いレベルの教育がなされており、さらに学生もそれについてきていること、漫画(manga)などのメディアを主として日本のポップカルチャーがハワイにも浸透していることを実感した。特に学生の授業への積極的な参加や授業への関心、意欲が印象に残っており、本学の授業でも真似したいと思った。 

4. 課外活動 真珠湾見学

担当:苅部 祥大

 現地時間9月16日(金)の午後に真珠湾へ向かった。真珠湾では、劇場で日本軍の奇襲についての映画を見た後に実際に当時の戦艦が沈んでいる場所や、奇襲攻撃で戦死したアメリカ軍兵士の名前が記されている石碑などを見学できた。真珠湾はワイキキからそこまで離れた所ではなく、車で30~40分程で行けるような所にあった。
 事前学習では、奇襲攻撃の詳細や奇襲攻撃が行われる前の真珠湾の状況等について学習した。実際に真珠湾へ行き、日本軍の奇襲やその攻撃によるアメリカへの影響を描いた映画を見た時、本などから得た情報と変わらないと感じられた。しかし、実際に戦艦が沈んでいる場所や戦死したアメリカ軍兵士の名前が記された石碑や真珠湾攻撃を生き残った戦艦等を見た時は、事前学習で得られた情報とは全く違うようなものを目の当たりにしたように思えた。日本では第二次世界大戦に関しての報道やテレビ番組の特集とは沖縄戦や空襲、広島長崎の原爆等についてが大半だが、アメリカの人達にとって真珠湾攻撃とは日本人のそれらと同じくらい忘れられない出来事だったということが映画や戦艦等を見て感じ取ることができた。真珠湾では当時のアメリカ軍の兵器や奇襲攻撃で破壊された戦艦の名前や詳細、日本軍の奇襲攻撃が行われた方法やどんな兵器で行われたかなども細かく展示されていた。また、訪れる人の多さにも驚かされた。やはりどんな人にとっても真珠湾の光景というものは何か心を打たれるようなものがあるらしく、自分たち以外の人達も真剣な表情をしており、そこからも真珠湾の重要さというものを感じられることができた。事前学習では、アメリカ軍は日本の奇襲攻撃を察知する機会が何度かあったにも関わらず、それを逃してしまい結果的に攻撃を受けてしまったということを学んだ。映画では当時の真珠湾を統括していた大将や当時の大統領などが出ており、攻撃を受けた後の大統領の演説や攻撃の様子などが描かれていた。特にその大統領の演説が効果的で、その後のアメリカ軍の士気に影響をもたらしたことも描かれていた。真珠湾攻撃の後、日本軍は連戦連敗を喫し敗戦した。日本では戦争に関しての報道というものは原爆や沖縄戦関連のものが多いが、そもそも全ての元凶はこの真珠湾攻撃であり、日本からアメリカに戦争を仕掛けた結果が広島等に繋がっている訳で、日本だけが敗戦したからといって被害者のように振る舞ってはならないのだと、真珠湾を訪れて感じたことだった。また、ハワイを訪れた日本人は真珠湾を訪れて、歴史に関してしっかり勉強すべきだとも思った。

5. グローバルスタディーズ・ハワイ大学研修を振り返って

榛原 柚香
 私は、今回のグローバルスタディーズのプログラムで、初めて海外に行ったのだが、何もかもが初めてのことで刺激をたくさん受けた。授業に関しては、事前にみんなで論文を読んで勉強したことの理解がさらに深まってよかった。しかし、正直なところ、授業を聞くだけで精一杯だった。自分の英語のreading, listeningの力不足を痛感し、悔しい思いをした。また、日本語の授業、レセプションに参加し、ハワイ大学の学生と交流することができ、とても良い経験となった。ハワイ大学の学生が日本のどのようなことに興味を持っているのか知ることもできた。日本語を話すことが上手な学生が多く、それにも刺激を受けた。今回のグローバルスタディーズで感じた悔しさを生かして、今後も英語の勉強と、第二言語習得の学習に力を入れていきたいと思う。
 

トークをして下さったFukuda先生

苅部 祥大
 今回のハワイ研修ではハワイ大学の授業に参加させてもらったことはもちろん、課外活動やFukuda先生のトークなど、多くの活動に参加することができ、どれもこれからの自分の勉強に活かせるような内容で、とても貴重な体験をすることができた。授業に参加した時、現地の学生のプレゼンを聞くことができたのだが、自分と同年代くらいの学生なのにそのプレゼンのレベルの高さに圧倒されてしまった。また、事前に論文を幾つか読んだのだが、内容を半分も理解することができず、自分の英語力の低さを痛感すると共により一層勉学に励まなければと思った。Fukuda先生のトークでも内容をしっかり理解することができず、自分の勉強が足りていないことをよく思い知った。ただ、その後のレセプションで現地の先生方と話すことができ、これからの勉強に向けてアドバイスをして貰い、とても有意義な時間を過ごすことができた。研修ではわからないことが多かったが、それでもこれからに向けて参考になるような内容であったり、課外活動ではハワイの歴史や文化、自然を知ることができたりした。今回の研修で理解できなかった内容についてこれから勉強することはもちろん、現地の学生の授業に対する姿勢を参考に、これからの自分の勉強に対する姿勢を改めていきたいと思った。

鈴木 信也
 研修に参加する以前の自分は少したるんだ生活をしており勉学にもやる気があまりなかった。研修で現地学生の積極性に刺激を受け、日本に帰国してから本学での授業への姿勢が変わったように思う。また、難しいことをわかりやすく、面白く発表・発言しているところに研究、勉強の面白さも見出すことができた。自分は以前、少し内向的な性格だったが現地学生や現地の人との会話をするうちに、その気さくで明るい性格のおかげで少し外向的になれたようにも思う。またネイティブの生きた英語と触れ合うことで、言語運用能力の向上と併せて今後の大学での研究に参考にできるものがあるように思った。そもそも外国に行くということ自体、なかなか機会がないものであるが、観光で行く外国と違い、現地の大学の授業に参加させてもらうという貴重な体験ができ、今回参加してよかったと思う。

園部 宏樹
 少しハワイ研修とは関係のない話題になってしまうが、今回のハワイ研修への参加が決まり、私はこの研修前に研修への準備の意味も含めて、2週間ほどフィリピンで留学を行った。この研修を通して、その時に得た知識が生かされたということが私にとって非常に有意義であった。特に、Fukuda先生のトーク後のレセプションで、英語を話すことを恐れず、積極的にハワイ大学の学生とコミュニケーションを図れたことや、外出先で英語を使う必要のある場面で自然に英語を話すことができたという経験が大きな自信に繋がった。しかし、ハワイ大学の授業やFukuda先生によるトークの内容を聞き取れなかったり、ハワイ大学の学生は積極的に発言をしているのにも関わらず、自分は発言ができなかったりしたという経験からは、自らの力不足を感じ、また大きな刺激にもなった。今後学生生活を送る上で、この経験が自分をさらに成長させてくれると確信している。海外に行くということは例え目的が観光だとしても、様々な刺激を与えてくれる貴重な経験だと思うが、グローバルスタディーズを通して、ハワイの学生や先生との交流の中で今の自分に足りないものを発見した。また、ハワイという自分の日常と離れた環境に身を置き、日本とは異なるハワイの素晴らしさ、ハワイとは異なる日本の素晴らしさをそれぞれ発見でき、観光では決して得ることのできない貴重な機会を与えてくれたこのグローバルスタディーズに心から感謝したいと思う。機会があるならば、このような経験を重ね、自分の血肉にしていきたいと強く思う。

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