05 REPORT

企業訪問プログラム@上海 ー中国ビジネスの生の声を聴き、考えたことー

2016年12月22日

 企業訪問プログラム@上海は、2016年9月4日から11日まで、1週間の日程で行われた。本プログラムを通して、中国ビジネスの生の声を聴き、今後のキャリアプランについて考えることができた。現地で何を学び、今後どのように経験を生かしていくのか。訪問させていただいた企業毎に、振り返ってみたい。

事前学習 「社会人の見方 就活に生かしたい」
 上海で企業訪問を実施する前、3回にわたりメンバーが集まり事前勉強会を行った。各勉強会では、中央大学のOBOGや上海プログラムの先輩方にお越しいただき、中国経済の現状や私たちの企業研究についてアドバイスをいただいた。
 私たちは最初、有名か有名ではないか、時代の潮流にあっているか否かなどの判断軸で企業を評価していた。「他社との差別化を図るため、各企業はどのような手法をとっているのか、どのように発展してきたのか、調べてみてはどうか」。先輩方のアドバイスは、業界研究、企業研究のやり方に大きな示唆をもたらした。
 企業や業界がどのようにビジネス展開をしているのか、そこでの働き方が果たして真の自分に合っているのか。事前学習でいただいた新たな視点を持って、自分が就活に臨むときに、納得した仕事を見つけたい。

上海理工大学の毛沢東像の前で、上海理工大学学生と共に

9月4日
上海理工大学 「日本好きな学生との交流 勉強せねば」

 上海理工大学と中央大学の学生との交流会が開かれた。同大学の日本文化センターに集まった学生は、流暢に日本語を話す学生が多かった。日本語を学び始めた理由として「日本のアニメ、漫画が好きだから」。このような声をよく聞いた。昨今、注目されつつある、アニメ、漫画といった日本の「サブカルチャー」が、中国の若者にとても大きな影響を与えていた。これらに関する会話は基本的に日本語で行われており、中国の大学生の優秀さを実感し刺激的になった。我々も、勉強せねば。

9月5日
帝人株式会社中国代表 宮脇氏の講演 「世界の市場 先輩の期待に応えねば」

 長年、駐在されてこられた方にとって中国ビジネスはどのようなものなのだろうか。ワクワクして聞き始めた私たちの先輩である宮脇氏の講演。
 中国経済に対する企業の見方に関して、「世界の工場から世界の市場に移行している。規模が大きくて無視はできない」と宮脇氏は言う。私の中国人留学生の友達は、みんなアイフォーンをもっている。一つ消費者に当たれば、何個売れるのだろうか。日本と中国では、販売数の桁がもう一つ増えるのだ。冒険心溢れる魅力的な市場で仕事をしたいと思った。
 最後に私たちにメッセージをくださった。「世界のイノベーションとコミュニケーションを図り、新しいグローバル化の時代を築いてほしい」。大きく速い波で時代が動いている中、我々は期待されている。先輩の期待に応えられる人材になりたい。

ハウス食品中国事業の羽子田社長と記念写真

ハウス食品 「カレーの普及に全心全力」
 「カレーを広めることに全力を注いできたんだ!!!!」。中国にはカレーを食べるという文化がもともとなかった。私たちの先輩である、羽子田社長。1996年から上海での駐在が始まった。その時代は、ケータイもネットもなく苦しい毎日だったそうだ。さらに、中国と日本の制度の違いにも戸惑ったそうだ。
 「中国のスーパーは不動産である」。その言葉が印象に残っている。店舗に製品を置くだけにもかかわらず、お金がかかるのだ。そんな過酷な状況を切り抜け、現在、ハウス食品は黒字となっている。上海で社長を務めている羽子田さんは、自分の力が3割、妻の力が3割、部下の力が3割、運が1割と仰っていた。

9月6日
帝人(南通帝人工場) 「高品質な商品 国際交流に生かす示唆」

 繊維ができ上がるまでの工程を一通り、拝見させていただいた。たくさんのはた織り機が並べられており、ここでメイドインチャイナが生まれていたのかと印象に残った。その工場が掲げているキーワード、それが“安定した品質管理”だ。
 「完成品は、現地の日系企業から仕入れた糸で作られたもの。糸が途中でぷちっと切れるような材料では商売にならないだろ?」と宮脇氏は言う。安定した品質管理こそが差別化につながり評価されているからこそ、生き残っているのだと感じた。
 日本の誇りとは何か。高品質な商品を自らのプライドをかけて売ることではないか。国際交流をする機会が多いが、今後は日本の誇りを大切にし、中身のある異文化交流をしていこうと思った。

積極的に質問するプログラム参加者(左)と葉さん(右)

蘇州工業園区 「最先端技術開発の官民連携 日本も向上心を」
 バイオ、AI(人工知能)、ビックデータ。次世代の最先端技術である。これらの先端技術の研究開発拠点を同園区に置く場合、「税制面上の優遇措置が得られる仕組みになっている」と案内役の葉さんは言う。国が全面的にバックアップする園区では官民が連携して、外国資本に飲みこまれない中国を作ろうとしていると感じた。
 中国は本気で最先端技術を伴った製造大国になろうとしている。これまでは日本は高い技術や豊富な資金力が世界で評価されてきた。一方で、中国は資金力を使い、技術力を着々とつけてきている。日本も向上心を忘れてはいけない。

9月7日
三菱東京UFJ銀行 「我が社の強みは人」

 我が社の一番の強みは、「人」です。自信を持ってそう答える姚さん。中央大学に留学、卒業した私たちの先輩である。中国には、中国国内の4大メガバンクや、アメリカや韓国系の銀行もある。だからこそ、“いかにお客様のニーズに応えられるか”ということが大切になってくる。「弊行は日系企業であるため、サービスが他の企業に負けない」とおっしゃっていた。そう自信を持って自分の会社について話す姚さんがとても眩しく見えた。
 上海はほとんどの家庭が共働きである。そのことも関係し、銀行には、女性職員が多く、女性が活躍している職場がとても羨ましく感じた。

KOMATSUの建機ショーにて

KOMATSU 「圧倒的な技術力」
 建機ショーを拝見させていただいた。ブルドーザーが360度グルグル回る技術力や、静かに爽快に走る技術力の高い建設機械に驚いた。
 一方、工場見学では工場稼働状況に関して、「経済状況により、稼働率は大きく変わる」という説明を受けた。建機業界は景気の変動、政府の政策動向に大きく左右される業界だと感じた。
 浮き沈みが激しい建機業界で、競合他社との圧倒的な技術力の差を持っていることが、KOMATSUの強みだと現地で感じた。就活が始まるまでに、今たらぬと思っていることを補いたい。
 

KPMGにて斎藤さん(左)と天野さん(右)

9月8日
KPMG 「努力 その上にある今」

 笑顔で自分の経歴について話す天野さん。しかし、私たち学生は困惑を隠せない。「僕、実は5年で大学を卒業しているんです」。あれ? どういうことだろう……。天野さんは4年で大学卒業できないとわかった時点で、アメリカの公認会計士の勉強を始めて合格し、上海のKPMGで大活躍されている。公認会計士の勉強を始めた時点で英語が得意だったわけではなかったそうだ。しかし、その中でも、日本ではない、米国の会計士の勉強を始めて合格したという天野さんの努力する才能を私たちは目の当たりにしたのである。
 会計事務所は、普段大学生には関わりが少なく想像することが難しかった。しかし、天野さんや職員の方の説明によって、会計事務所のみならず中国事情についても深い理解をすることができた。どの企業にも監査というものはついてくるものであるということがわかり、意外にも自分たちの身近であるということが分かった。

上海漢和立業 「人に利用される人間に 自分磨きを」

上海漢和立業の袁総経理と記念写真


 日系企業でサラリーマン生活を送った袁さんは30歳になってから当会社を築き上げた。現在は、売り上げ20億円の商社関係の会社経営者である。何故、20年近く会社が生き残ってきたのだろうか。「損得を考えないで人付き合いをすることが信頼関係に繋がる。その前提として、自らが人に利用される価値のある人間になれ」と袁さんは言う。
自らが人に利用される価値のある人間に。自分磨きを日々怠ってはいけないと感じた。

 

日本旅行の太田さんと記念写真

9月9日
日本旅行 「外国人との仕事の仕方」

 日本人と中国人の理解の仕方。日本旅行を訪問した際、一番痛感したことだ。「中国人は日本人に対して、真面目できちんとしているとポジティブに評価してくれる。しかし日本人は中国人に対して、大雑把で約束を守らないとネガティブに評価しがちではないだろうか?」。私は、ハッとした。確かに、相手を正しく理解せず、ネガティブに相手のことを見る傾向があると思った。
 旅行業界は商品で他社との違いをつけることが難しいそうだ。だからこそ、大切なのは「人」である。相手の企業の内情までよく考え、最適な提案をすることを目指す。考え尽くしきめ細かいサービスによって、上海での旅行事業を行っているのである。旅行業界は華やかなイメージが多いと思われるが、その裏の細い気遣いを知り、驚いた。

9月9日
上海白門会 「中大OBOGの生の声 刺激を受ける」

 上海企業訪問プログラム最終日。一週間の企業訪問を手配してくださった上海白門会OBOGの皆さんとの交流があった。中大の大先輩方との交流に最初は緊張していたが、‘中大’という共通の話題を始めると話が弾んでいった。
 業界や会社内部、中国事情など様々なことを教えていただいた。「うちの会社には来ていけない」など、生の声をお聞きすることもできた。私は数十年後、教えを乞いに学生が訪ねてきたとき、真面な返事ができる社会人になりたいと感じた。お世話になった先輩方の期待に応えられるよう、様々な経験を積んでいきたい。

上海白門会の皆さんと記念写真

むすび
 まず、今回のプログラムを通じてお世話になった関係機関、中大OBOGの方々に心から感謝したい。たくさんの業界、社員の方々にお会いすることができ各業界、各企業の社風を感じた。そして、上海白門会の方々との交流では、海外で働くことのやりがいや苦労していることなど実際に働いている社会人、OBOGであるからこその“生の声”を聞くことができた。
 また、このプログラムの14名のメンバーは皆、今までの経歴も性格もすべて異なり、交流し仲を深めるのがとても有意義であった。企業業界について勉強できただけでなく、この先も続く素晴らしい仲間たちと出会うことができたのである。私たちは今回の経験を生かし、今後のキャリアプランを有効なものにしていきたい。
 

前へ

次へ