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【国際教育寮】車いすの寮生による企画 ~ 留学生とパラスポーツで交流イベントを実施

2023年01月30日

       20の国・地域から留学中の外国籍寮生たちとボッチャを楽しみました

 2022年11月16日(水)、多摩キャンパスFOREST GATEWAY CHUO 3Fホールにおいて、国際教育寮の寮生交流イベント「IRC ボッチャ フェスティバル」が開催されました。(IRC=Internatinal Residence Chuo)
 中央大学国際教育寮は2022年春に設立3年目を迎えました。開設から2年間はコロナ禍の影響を大きく受け、留学生の多くが入国できなかったため、寮には留学生がわずかにしかいませんでした。しかし、3年目の2022年には多くの国や地域から入国が可能になり多数の留学生が来日。9月には、20の国や地域からの外国籍寮生118人が入寮し、日本人学生と共同生活を送っています。
 国際寮では寮生同士の交流を深めるために、RA(レジデンス・アシスタント)学生が中心となり企画したイベントをたびたび実施しており、このボッチャ大会はその一環で行われました。当初は7月に開催する予定でしたが、コロナ感染の拡大のために延期となり、11月の実施となりました。

大会の様子~言葉・文化・国籍の壁も関係なく楽しめました

 大会当日は会場となるFOREST GATEWAY CHUO 3Fホールには続々と寮生が集合しました。まず開催挨拶・企画説明・ルール説明が行われました。寮生は寮のユニットをベースにした12チームが編成されました。また、このボッチャ大会のために、寮生の有志がボッチャチームが結成し大会に出場するなどして経験を積んできたそうです。持田さんと有志メンバー、RAの皆さんがまとめ役・審判等になり、各チームで未経験の寮生にアドバイスしながら試合が進められていきました。
 試合は、リーグ戦を行い各リーグの1位がトーナメント戦に勝ち上がる形式です。試合が進むにつれ、競技に慣れてきた頃には皆の眼差しが真剣になっていきました。チームのメンバー同志は日頃からユニットで共同生活をしていることもあり、仲間の息もぴったりです。最終的に勝ち残ったのは女子2チーム。皆に応援されながら決勝戦が行われ、優勝・準優勝・3位が決まりました。表彰式では主催した持田さんから上位3チームに賞状と記念品が授与されました。さらにオンラインで大会の様子を見守っていた副学長 白井 宏(国際センター所長/理工学部 教授)が閉会挨拶として英語で寮生へメッセージを述べました。この大会を通じて、仲間のつながりも深まり、寮生活がよりスムーズで楽しいものになることが期待されます。

▲決勝戦の様子。優勝チームの1投

▲表彰式の様子。写真は準優勝チーム

▲ボッチャを楽しんだ寮生の皆さん。前列中央左が持田さん。参加賞として全員にエナジードリンクが配られました。↑写真クリックで拡大

大会開催についての想い、大会を終えて

▲ボールを投げて競技の実演をする持田さん

 「IRC ボッチャ フェスティバル」を企画したのは、持田温紀さん(法3)です。持田さんは車いすで寮生活をしています。今回のイベントは、寮生たちに障がいや国籍というようなさまざまな壁を取り払って交流し、多様性を楽しめるようになってほしいという願いをもって企画したそうです。
 「国際教育寮が設立して3年目、コロナ禍を経てようやく多くの留学生が入寮してきました。しかし、言語や文化の壁によって寮生全員が打ち解け合えるような関係になっていないのが現状でした。一方で、私は車いすで生活していますが、これまでの大学や寮での生活を寮生の仲間たちが支えてくれるからこそ、楽しい毎日を過ごすことができていると日々感じています。
 そこで、留学生と一緒に何かを楽しむことが私たちの交流を深める手助けになると考えました。ボッチャは、2021年東京開催のパラリンピックで、日本人選手が金メダルを獲得し注目を集めたパラスポーツですが、障がいや性別を問わずに誰もが楽しめるスポーツです。さらに競技を通じて障がいやパラスポーツに興味をもらうことにより、ダイバーシティへの関心も深まると期待しました。当日は日本人学生も含め100人超規模の参加という、寮設立以来、最大規模のイベントになります。ボッチャが私たちの間にある、障害や国籍などさまざまな壁を取り払ってくれることを期待しています」と、持田さんは企画への想いを語りました。

▲持田温紀さん (法学部3年)

 さらに、大会終了後には、以下のコメントを寄せてくれました。
「「共生社会」が盛んに言われるようになっている昨今。僕はその前にまず、国籍や障害といった違いを超えて一緒になって出来事に取り組むことを「共有する時間、体験」が大切だと思っています。そうしたなかで、今回、みんなで一緒になってパラスポーツを楽しめたことが本当にうれしく、まだまだなところも多いですが、「想いを形に」できた時間になりました。
 またこのイベントの後、日本に来たばかりの留学生の子から「本当にありがとう。I love boccia!何かあったら気軽に言うんだよ!」と言ってもらえたことは、大変幸せなことでした。
 寮のみんなは熱心で個性に溢れていて、国籍や年齢を問わずたくさんのことを学ばせてもらえています。そんなみんなに、車いす、パラスポーツのことを知ってもらえたら、またさらに広がっていくように思えます。今回みんなでできた経験は大きな誇りです。このイベントで創ることができた「共有社会」としての一歩を、未来につなげていきたいと感じます」

■「IRC ボッチャ フェスティバル」概要 ■

車椅子寮生による企画「留学生とパラスポーツでの寮生交流イベント」
〇日   時:2022年11月16日(水)19:00~20:30
〇会   場:中央大学多摩キャンパス FOREST GATEWAY CHUO 3F ホール
〇テーマ:国際寮から発信するダイバーシティ
〇内   容:パラスポーツ「ボッチャ」を留学生日本人学生混合チームで対戦
     計12チーム
<タイムスケジュール>
18:45-開場 19:00-開始、冒頭挨拶、企画説明
19:10-ルール説明
19:20-1試合目、2試合目(1試合あたりの試合時間は8分予定)
19:45-3試合目、4試合目
20:10-結果発表/表彰式
20:20-副学長 白井 宏(国際センター所長/理工学部 教授)の挨拶
    全員で記念撮影
20:30-終了
〇主 催:持田温紀(中央大学法学部3年、国際教育寮寮生)

ボッチャとは? 

 ボッチャはヨーロッパで誕生した、重度脳性麻痺者や四肢重度機能障がい者のために考案されたスポーツです。ジャックボール(目標球)と呼ばれる白いボールに、青・赤のボールを6球ずつ投げたり、転がしたり、他のボールに当てたりして、いかに近づけるかを競います。障害によりボールを投げることができなくても、勾配具(ランプ)で自分の意思を介助者に伝えることができれば参加できるスポーツです。1988年に韓国で開催されたソウルパラリンピックから正式種目に採用され、現在では40以上の国や地域で普及し、ワールドカップ等の国際大会も開催されています。障がいのある人のために誕生したスポーツですが、障がいの有無に関係なく誰でも楽しめる魅力的なスポーツです。

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