中央大学で学ぶ留学生 vol.８ [ Le Thi Van Anh ]

　留学は、国際的な視野を広げると共に、人脈を築く良い機会であり、自分自身のキャリアにおいてプラスになると考えます。東南アジアの学生の中には、将来は母国で働きたいという人が多いですが、日本に留学して日本で就職することは将来のキャリアアップにつながると考えて、日本への留学を決めました。

　来日する前は、日本での生活や学業を円滑に進めるために日本語の基礎学習に力を入れました。特に、日本語能力試験 （JLPT） などの試験対策の勉強を通じて、基本的な日本語のコミュニケーションや日常会話ができるようになりました。また、異なる文化・環境での生活に備えてカルチャーショックや異文化適応に関する情報を調べたりしながら、日本の習慣や慣習、礼儀などを理解して、留学生としての振る舞いについても学びました。
　私の場合は姉と共に来日し、一緒に日本語学校に入学しました。姉は日本語学校を卒業してから日本の金融系企業に就職して、現在は働きながら私の大学費用をサポートしてくれています。とてもありがたく思っています。ベトナムには年の離れた妹と弟がいますが、いつか私も姉のように妹たちをサポートできたらよいと思っています。

　中央大学は日本国内でも歴史と伝統を誇り、広く知られている大学の一つです。有名な大学は国際的にも一定の評価を受けているので、そのような大学で学ぶことは、卒業後のキャリア選択で一定の信頼を築く助けとなります。国際経営学部を選んだのは、学部の提供するカリキュラムが高く評価されていて、ビジネスに関して幅広く実践的な知識を学ぶことができますし、英語で学ぶ機会も多いと考えたからです。日本ではこのような優れたカリキュラムを英語で受けられる大学はあまり多くないと思います。ここで学んだことは、将来のキャリアの強力な基盤になると思います。

　入学してからは、マクロ経済学とミクロ経済学の勉強に力を入れています。経済学の基本的な分野であるマクロ経済学で国家や地域全体の経済を学び、ミクロ経済学では企業や市場など小規模な単位に焦点を当てています。これらの分野を通じて経済の仕組みや動向を理解しています。さらに、「投資評価」の授業で株式や債券などの金融商品に対する投資評価手法を学んでいます。これにはキャッシュフローの割引現在価値法やリスク評価なども含まれます。

　国際経営学部には、さまざまな国からの留学生が多いですし、日本の学生との交流もあるため、新しい友達を作ることができました。日本人の友達と話をしていると、日本人ははっきりと物事を言わないこともあって最初は戸惑ったこともありましたが、多様なバックグラウンドや文化に触れ、異なる視点や経験の共有により、人間関係が豊かになりました。また、日常のコミュニケーションや授業での議論、異なる状況で話す機会が増えて、語学力が飛躍的に向上しているのを感じています。
　そして、教職員の皆さんがとても親切にしてくれるので安心して学ぶことができています。先生方の中には留学の経験があったり日本国外の事情に詳しい方もいます。特に、ドゥマヤス アリャン デラロサ先生（国際経営学部准教授）は、学生時代に留学生として来日して中央大学で学んだ先輩です。私とは国が違いますが、同じ東南アジアの出身ということもあって、気にかけてくれて声をかけてくれるので、とても心強いです。

 　日本に来てから日本の料理が好きになって、最近は居酒屋メニューが気に入っています。特に、たこ焼きやお好み焼きはベトナムにはない料理でとても美味しいです。インターネットでレシピを探して、唐揚げ、牛丼、オムライスなどを自分で作ることもあります。授業がある日は、国際経営学部の教室からは少し遠いですが、ヒルトップの学食に行ってランチをしています。カレーライスやラーメンが安くて美味しいし、パン屋さんも大好きです。
 
　大学以外の活動としては、レストランでアルバイトをしています。ここでは、スリランカやネパール等、大学の留学生仲間とは違う国出身の友達ができました。アルバイトの収入で生活費や学費をまかなえるので、留学生活も安定したものになります。また、都市や周辺地域に出かけることも好きで、日本の観光地やローカルなスポットを発見しています。新しい環境での冒険や旅行は、留学生活をよりエキサイティングなものにしてくれます。学生のうちに沖縄や北海道に行ってみたいと思っています。

　留学は大変なこともあります。友達や家族から離れて、初めての土地での生活に孤独感を感じたり、親や親戚のようなサポートが得られない不安もあります。コミュニケーションがうまく取れなかったり、文化の違いによる誤解でストレスが生じることもあります。さらに、家事や日常的な問題への対処が必要です。自分自身で買い物、料理、洗濯・清掃などしなければならないし、授業やアルバイトを含めるとスケジュールの管理もしなければなりません。これまでに経験したことのないさまざまな面での自己独立が求められます。

　しかし、異なる文化や言語に自分自身が適応することは挑戦です。新しい環境では生活に慣れるまでに時間がかかることがありますが、日常生活のスキルや自己管理能力が向上し、自分で自分の生活を切り盛りする力が身につくと感じました。この春から姉と離れて、ひとり暮らしが始まりましたが、困難に対処する経験を通じて、問題解決力や柔軟性が向上すると思って頑張ります。また、困難に立ち向かう強さや効果的なストレス管理のスキルも養われるでしょう。
 
　卒業後は大手の外資系会計ファームへの就職を目指しています。これらの企業は国際的な影響力を持っていて、社員には高度なプロフェッショナリズムが求められるため、専門的なスキルをさらに発展させるチャンスになると思っています。そのためにも、在学中にプロフェッショナルな先生方の元でさまざまな専門知識を身に付けられるように頑張っていきたいです。