02 GLOBAL PERSON

中央大学で学ぶ留学生vol.2[王天一]

大学院へ進学し、日本文学への造詣をさらに深めたい

王天一さん
文学部国文学専攻(2013年4月~9月まで交換留学)

中学生の時、家族旅行で日本を訪れた際に、日本の美しさや人の温かさに触れ、日本への憧れを抱いて、趣味で日本語を学ぶようになりました。上海理工大学には日本語学科があったため入学を決意。2年次には日本文化交流センターができ、積極的にイベントなどにも参加するようになりました。

昨年には、岡山大学へ2週間の短期留学をしたほか、上海の5大学に向けてキッコーマン株式会社が実施したエッセイコンテストで優勝したことがきっかけで日本に招待され、千葉県の野田本社の見学や新入社員の方との交流会なども行いました。

こうした経験を積み重ねていくうちに、日本でじっくりと勉強してみたいという気持ちが強くなり、今年の4月から中央大学に交換留学をしています。なぜ留学先を中央大学に決めたのかというと、日本文化交流センターの何偉銘先生から、「中央大学は国際交流を重視していて、海外からの留学生も多く、環境がよい」と勧められたからです。

所属は文学部国文学専攻。母と姉が文学関係の仕事をしていて、私も小さい頃から作文が得意だったので、自分の長所を活かした勉強がしたいと思い、志望しました。上海理工大学では日本語学科だったので、文学の専門知識があまりなく、日本文学史などを基礎から学んでいます。授業を通して志賀直哉の作品をはじめとした近代日本文学には私小説と呼ばれるジャンルがあることを知りました。西洋の自然主義文学に影響を受けて発展したものだといいますが、中国にはこうしたものがありません。青山七恵の「ひとり日和」も読みましたが、若い世代の現状や心境がよく描写されていると思います。

中央大学では、スプートニクという留学生との交流を目的としたサークルにも入っています。みんなで日本料理を作ったりと、楽しいイベントが満載で、友だちもたくさんできました。

留学は9月で終わりますが、このまま日本に残って、中央大学の大学院に進学する予定です。関礼子先生のゼミに所属し、時代小説の研究をしたいと思っています。特に上海理工大学の2年次に日本語の先生から紹介された藤沢周平の作品に興味をもっているので、研究を深めて、いずれは中国語で翻訳本を出したいというのが私の夢です。

通訳

8月に上海理工大生が多摩キャンパスを訪問した際には、日本語・中国語の通訳を務めた

100年以上の歴史を持つ上海理工大学。工学をベースに、経営科学、経済学、文学などの学部を擁する総合大学として発展