02 GLOBAL PERSON

グローバル・パーソン メッセージ vol.037

国際見本市を通じて世界と日本の架け橋になりたい

河野 暁さん | リード エグジビジョン ジャパン株式会社
海外事業本部 部長

中央大学文学部 英米文学科 1999年卒業
[掲載日:2014年1月21日]

1年間の留学が進路を変更するきっかけに

リード社河野氏

元々は高校の英語教師を目指す教員志望でした。そこで、教職課程が充実している文学部英米文学科に入学ました。また、大学に入ったら絶対に留学したいと思っていたので、交換留学システムが充実していることも入学の動機になりました。 

大学3~4年次にかけては、1年間、交換留学でベネディクティン大学(アメリカ・イリノイ州)に留学しました。そこには世界中から留学生が集まっており、彼らとの交流を通じて、20歳を過ぎて初めて世界は広く、そして様々な価値観を持った人がたくさんいるのだということに気づかされました。また、そうした異文化に自分自身をさらすことで、自分の強みや、やりたいことを発見することができました。 

この留学の経験が、「教師として子どもに英語を教える前に、もっと自分がこうしたダイバーシティーの中に身をおいて様々な経験をしてみたい。それも、仕事という厳しい場で、もっと真剣勝負をしてみたい」と思ったのが、教員志望を変更し、民間企業に就職したきっかけとなりました。今まさに、欧州、北米、アジアなど、様々な国の、生活環境、価値観の全く違う人達を相手に仕事をしています。当時望んでいたことが実現しており、とても嬉しく思っています。

リード社との出合い

大学卒業後、外資系の電子部品メーカーに入社。約4年間、国内営業に従事しました。しかし、外資系とはいえ仕事はローカル(日本国内)で、このままでは学生時代に望んでいたことが実現できないという現実に気がつきました。そこで転職を決意。事業を本当の意味でグローバルに展開し、海外企業と直接真剣勝負をさせてくれるリード社と出合い、入社しました。 

リード社を選んだもう一つのポイントは、国際見本市を通じて、業界や世の中ともっと大きな視点で関われること。見本市を通じて日本経済の発展、日本と世界を繋ぐことで世の中をより良くしていこう、という企業理念に惹かれたことも入社のポイントとなりました。

国際見本市

リード社は年間100本以上の国際見本市を主催

後輩と

中央大学出身の後輩社員と。自身の担当外の国際見本市にもヘルプで入ることが多い。社員全員体制で臨んでいる

VIPレセプションパーティー

展示会に加えて講演会、セミナー、VIPを招いてのレセプションパーティーなども企画。仕事内容は多岐にわたる

主に消費財の分野の国際見本市を担当

現在は、ファッション、メガネ、雑貨、文房具など、主に消費財の分野の国際見本市を担当。欧州、北米、アジアなど、年間12~13回、のべ約15都市に出張し、海外企業の誘致、国際見本市を通じて日本マーケット参入の成功へ導く仕事をしています。 

例えば、現在も担当しているメガネの見本市で、フランスのメガネ協会、フランス政府の方々を説得し、フランスのメガネメーカー約20社の団体での見本市参加を成功させ、その後日本全国のメガネ店にフランス製のメガネがずらりと並ぶきっかけ作りをさせていただきました。また、雑貨の見本市においては、フィリピンの離島に単身乗り込み説明会を開催、個別企業を訪問するなどして、日本マーケットの魅力を伝え、多くの企業に見本市に参加していただき、日本マーケット参入のお手伝いをさせていただきました。現在も様々な産業分野で、世界各国の政府、業界団体、企業を相手に、日本マーケット参入を促す説得活動を行っています。

1年のうち、3カ月近く海外出張しているため、飛行機移動、時差ボケなど、常に自身の体調管理に気を使うだけでなく、オフィスを空けることが多いので、各プロジェクトチームのメンバーとのコミュニケーションをしっかり取ることを心がけています。

この仕事は、具体的に手に取ってみることのできる商品がなく、目に見えないビジネスチャンスを売ることが仕事です。従って、自身の「人間力」が問われる局面が非常に多いという特徴があります。例えば、フィリピンのような国では、各企業の背後に必ず貧困という問題があります。この企業が日本マーケットで成功し、多くのお金を稼いでフィリピンに持ち帰ってくれることがその貧困問題の一助となる。そこまで考えて提案、説得します。

また、東日本大震災後、いくつかの企業がこのタイミングでの日本進出をためらいました。しかし、そうした企業にも「今、世界中から日本へ慰めの言葉、同情の気持ちが寄せられています。でも、本当の助けはあなたが日本に来て経済的活動を行ってくれることです。それが、東北地方、そして日本への助けとなるのです!」と誠心誠意心を込めて説得することで、多くの企業がそのためらいを振り解いてくれました。このように、自分自身の「人間力」が試される局面が多いこともこの仕事の面白さの一つだと思います。

ドイツ大手企業と

ドイツ大手企業と

フィリピンセブでの説明会

フィリピンセブでの説明会

日本の国際見本市をもっと国際的にするために

「国際見本市を通じて、もっともっと世界と日本の架け橋になりたい」というのが現在の私の抱負です。欧米に比べ、日本はまだ国際見本市後進国です。例えばドイツなどでは、日本で一番大きい東京ビッグサイトの4~5倍のサイズの見本市会場が各都市にあり、毎週のように見本市が開催されています。また、中国、韓国などのアジア各国もこの重要性に気付き、国策として見本市の誘致、見本市会場の建設に取り組んでいます。国際見本市の開催期間は、世界中から業界関係者が何万人も集まり、各業界の発展、開催都市の経済に貢献しています。ゆえに見本市オーガナイザーという職業が、社会的貢献度の高い職業として尊敬の対象になっています。私は、日本で開催されている国際見本市をもっともっと国際的にすることで、日本経済、ひいては世界経済の発展に貢献できる人間になることを自身のモットーとしています。 

世界で通用する「自分」作りを

グローバルな人間であるということは、様々な価値観、文化などダイバーシティーの中でも光輝く「自分」があるということです。そのしっかりした「自分」作りに学生時代から取り組むことが大事なのではないかと思います。ヨーロッパ人、アメリカ人、アジア人から、あなたは誰なのか、何ができるのか、どういう価値観を大事にしているのか、そうしたものにしっかり答えられる「自分」をつくることがグローバルパーソンになる第一歩なのではないかと思います。そのために、まずは自分の目の前に置かれている自身の課題と真剣に取り組むことが大事なのではないでしょうか。勉強なら勉強に、留学したいなら留学に、就職活動なら就職活動に、今、目の前にあることに真剣に取り組み、その課題を解決すること。目の前にある課題としっかり向き合うことが自分自身との対話であり、その積み重ねが世界で通用する「自分」作りにつながるのだと思います。 

内向きの若者が多いと言われている中、我々のような民間企業ではグローバルにものを見ることのできる人材、世界を舞台に活躍したいという意欲を持った人材が圧倒的に不足しています。ぜひ、学生の皆さんにそうした舞台に思い切って飛び込んでいただければ、OBの一人としてとても嬉しく思います。

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