02 GLOBAL PERSON

グローバル・パーソン メッセージ vol.021

総合商社ならではの強みを生かした仕事をしたい

山田 晃一さん | 三井物産株式会社

中央大学経済学部 国際経済学科 2009年卒業
[掲載日:2013年4月1日]

世界200の関係会社との連携で決算を開示

私は現在、三井物産経理部の決算統括室に所属しています。業務は投資家が適切な投資判断を形成するために会社の経営状況・事業活動の状況を適時適正に開示することです。入社以来、基本財務諸表と言われるバランスシート(B/S:貸借対照表)、キャッシュ・フロー計算書(C/S)を担当しています。また、経理スタッフが、米州、欧州、中国、シンガポール、中南米各国に赴いて関係各社に向けたプレゼンテーションをする機会もあります。私も入社2年目には中国を訪れました。商社の世間的なイメージは巨額案件や資源開発といったものかと思いますが、それは社員それぞれが自らの分野で役割を果たしているから成り立っているもの。私も会計という分野の役割で、その大きな仕事の一部を担っているという誇りを持って取り組んでいます。

NYやインドでの出会いが、総合商社へ導いた

そもそも総合商社に就職したいと思ったのは、大学1年の冬の体験がきっかけです。初めての海外旅行で、ニューヨークへ一人旅をしました。その時に多くの社会人の方々とお話しをする機会があり将来的には世界中でいろいろな人と関わって物事を作り上げていける仕事をしたいと思ったのがきっかけです。好奇心旺盛な私は、その後もいろいろな国へ旅を続けましたが、インドを訪れた時、途上国の現状を目の当たりにしました。そして、過去の歴史を知るうちに先進国の行動によって彼らの現状があるということを実感し、彼らの生活を変えなければいけないと強く思ったのです。就職活動に際し、数ある国際機関の中でも、より持続的で、私の強みが活きる業界はどこだろうと考えた結果、やはりビジネスを通じて途上国を変えたいと思い、総合商社という業界にたどり着きました。中でも三井物産は、社内の人の交流が活発で、部門同士も人を通してきちんと繋がっている。そこから新たなビジネスを生み出そうとしている印象を受け、魅力を感じて志望しました。

学生時代にした、さまざまな貴重な経験

私にとって、学生時代の経験はすべて非常に重要なものです。まずは、大学1年から1年間ほど所属した経理研究所での勉強です。のちに簿記1級の取得にも繋がり、自信もつきましたし、今の仕事にも直結していると感じています。次に、林光洋ゼミです。開発経済学のゼミで、途上国発展の過程を学ぶのですが、そこで行った現地研修の経験が大きかったです。その年の現地調査の行き先はフィリピンでした。私は、雇用がその国の発展を支えると考えていましたので、「途上国における現地人の人材育成」をテーマに掲げ、自ら約束を取り付けて8社をまわり、調査・分析をして論文を書きました。フィリピン大学の学生に向けて研究内容についてプレゼンテーションをするという機会もあり、その後の交流会も含め素晴らしい経験となりました。また、自分が学んでいた会計というツールを使ってできることを求め、「Share-Project」という学生団体にも2年間所属していました。企業から協賛金をいただき、さまざまな金融の勉強会を企画・運営するのですが、2年目は代表をやらせていただき、貴重な経験となりました。

旅で得た一番大きなものは“人との出会い”

1年の冬のニューヨークを皮切りに、大好きな三国志の古戦場めぐりに中国へ、ほかにもインドや台湾などへ一人旅をしました。また、中国語を専攻していたこともあり、オリンピックを控えた北京の発展を見たくて、大学2年の冬には北京大学に約2カ月間留学。そんな数々の旅で得たいちばん大きなものが“人との出会い”です。それが学生時代の私の大部分を占めていたと言っても過言ではありません。現地の人はもちろん、現地で働く日本人、同じ志を持った友人との出会い、仕事をはじめ将来のことなど、いろいろな話をすることがとにかく楽しく、刺激になりました。言葉に関しては、最初は英語もほとんどできませんでした。でも、たとえ単語数が少なくても、大事なのは伝えること。その気持ちがあれば、コミュニケーションを取ることができるものです。自分の体をまるごと海外に置くと一気に視点が変わりますし、自分がストレッチされるのがよくわかります。ですから、海外旅行はぜひ一度経験してみることを推奨したいですね。

カイロに赴任。アラビア語を学びより深い地域と人の理解へ

さまざまな海外での経験を経て、私は“現場主義”と言いますか、とにかく現地に行って自分の目で見る、ということを心がけるようになりました。会議室で議論することも重要ですが、やはり現地で、もっと根本を見なければいけないのではないか、と思うことが多くなりました。実際に見ずにいると真逆の方向に進んでいる危険性もあります。だから私はとにかく現地に行き、そこから見て、感じたことを発信したい。そうしないと、世界は良くならないと思うのです。就職活動の時から「海外で働きたい」と訴えてきたのですが、今年の6月から、エジプトのカイロへ赴任する予定です。三井物産で1891年から連綿と継続している、地域スペシャリストの養成を主目的とした2年間の海外修業生制度を利用するのですが、1年間は現地の語学学校に通ってアラビア語を学び、1年間は現地で仕事をするというプログラムです。中東地域には行ったことがないので興味深いですし、文化や歴史を、身をもって体験して学んでいきたいと思っています。

世界を知る素養を持った上で世の中に語りかける人になりたい

将来は、やはり途上国、特にアフリカでのプロジェクトに関われたらと考えています。社会人になってもよく海外旅行をしており、その中で初めてアフリカを訪れました。趣味が登山なのでキリマンジャロに登り、各地を少し回ったのですが、すごく惹かれるものを感じました。それをきっかけに勉強をしてアフリカの現状を知り、現地をサポートしたい、現地の人たちが何か作るための技術などをこちらから提供していきたい、と思ったのです。グローバル人材の定義は非常に難しいと思います。でも私は、語学力だけではなく、日本のことはもちろん、世界の国の歴史や物ごとの起源、文化を常に勉強し続け、背景を知り、そういった素養を持った上で世の中に語りかけることができる人は、グローバル人材と言えるのではないかと思うのです。私も含めて、そんな人になれるように、多くの地域で人に会い、現場を見ながら、先憂後楽を頭に置いて、一期一会の精神で生きることが重要だと思います。

プロフィール

山田 晃一
三井物産株式会社
経理部 決算統括室

2009年、中央大学経済学部国際経済学科卒業。在学中は経済学部・林光洋ゼミナール所属。経理研究所所属。学生団体Share-Project 2008年度代表。北京大学へ2カ月間留学し、インドや中国、アメリカなどへの一人旅も多数。2009年、三井物産株式会社へ入社。経理部決算統括室配属。2013年6月より、海外修業生制度にて2年間中東地域で研修予定。

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