しかしながら、この大会を機に英語力のなさも痛感したので、アカデミックな場面で戦えるような英語力を身につけようと、3年生の夏から1年間、イギリスのマンチェスター大学へ長期留学をしました。
留学生活は楽しかったと言いたいところですが、実際は苦労のほうが多かったです。イギリスにはいろいろな国から人が集まって仲良く暮らしているイメージでしたが、人種や国文化ごとの壁は思った以上に厚く、最初のうちは友だちを作るのも大変でした。
また、ゼミもかなり厳しかったです。ネイティブに囲まれた中で議論がどんどん進んでいくと、英語を聞きとるだけで精一杯で、自分の意見が言えなくなります。話さないでいると、だんだん誰も自分と目を合わせてくれなくなって孤立状態に…。日本では意見を言わない人に対して「ディスカッションに参加しないなら、いる価値はない」くらいに思っていましたが、自分が今、その“いる価値のない人間”になっていることに愕然としました。
幾度となく心が折れそうになりましたが、いろいろな人に相談し助けてもらったことで、頑張り続けることができました。苦しくても何だかんだもがいていると、だんだん目の前がクリアになってきます。最終的にはレポートで最高評価をいただくことができました。自分なりに目に見える成果が出せると、辛いことがあっても乗り切れると思います。
留学中には、国際海洋法裁判所長の柳井俊二先生(元中央大学法学部教授)ともお会いでき、ドイツ・ハンブルクの国際海洋法裁判所を見学させていただくことができました。また、ロンドン白門会にも訪問して、パワフルなOB・OGの方々から叱咤激励をいただきました。中でも防衛省にお勤めの方から言われた言葉にははっとさせられました。公務員試験を受けるべきかどうかの相談をしたところ、「自分の気持ちに素直になるべき」と―。確かに挑戦してもいないのに自分で自分の限界を決めるのはおかしい。ならば、本気で国家公務員を目指そうと決心しました。