02 GLOBAL PERSON

グローバル・パーソンを目指す中大生 vol.009

自身の言葉と行動で人の心を動かせるような人間になりたい

影山 凡子さん

法学部 国際企業関係法学科 5年

カナダへの短期留学、インドでの国際インターンシップを体験

実は大学に入るまで、飛行機にすら乗ったことがなかった私。当然、面と向かって外国人と話したこともありませんでした。だから、まずはとにかく海外に行って勉強してみたいと思い、1年生の春休みに法学部の「やる気応援奨学金」を利用してカナダのビクトリアへ短期留学をしました。なぜカナダかというと、あまり他の学生が希望していないところへ行ってみたかったからです。 

カナダに留学して思ったことは、自分は明らかにマイノリティだということ。日本では周りに合わせていればそれでよかったのですが、カナダでは何をするにも自分で考えて動かなければなりません。ホームステイ先ではブラジル人学生と一緒でしたが、自らどんどん話しかけ、家族の中に溶け込んでいくのを見て、私はまだまだだなと思いました。

国際インターンシップ 訪問先のNGOの子どもたちと

2年生の夏には法学部の「国際インターンシップ」プログラムでインドへ行きました。NGOや国際機関、総領事館などを訪れ、それぞれの機関がどういった役割でどのような業務を担っているのかを見学してきました。困っている人々のニーズを汲んですぐに動くことができるNGOはやりがいがあると思いましたが、その一方で、働いている人たちの善意によっている部分が大きく、資金調達や持続可能性の面において限界があるように感じました。やはり問題が起きている根本を何とかしないと解決しないのでは?と考えた時、政府機関で働きたいという思いが強くなりました。

国際社会で通用する人間になるために

帰国後、2年生の秋には外交研究会の先輩の勧めで、国際人道法模擬裁判大会に出場しました。この大会は、4人1組のチームで、武力紛争下における捕虜の取り扱いや無差別兵器の使用など、国際人道法の遵守に関わる設定問題に対し、検察側と弁護側に分かれて英語で弁論するものです。弁論の際には書面も準備しなければならず、かなり大変でしたが、同志社大学のチームと戦って準優勝を勝ち取ることができました。

赤十字国際委員会主催・国際人道法模擬裁判でチームメイトと

留学先のイギリス・マンチェスター大学

しかしながら、この大会を機に英語力のなさも痛感したので、アカデミックな場面で戦えるような英語力を身につけようと、3年生の夏から1年間、イギリスのマンチェスター大学へ長期留学をしました。 

留学生活は楽しかったと言いたいところですが、実際は苦労のほうが多かったです。イギリスにはいろいろな国から人が集まって仲良く暮らしているイメージでしたが、人種や国文化ごとの壁は思った以上に厚く、最初のうちは友だちを作るのも大変でした。

 また、ゼミもかなり厳しかったです。ネイティブに囲まれた中で議論がどんどん進んでいくと、英語を聞きとるだけで精一杯で、自分の意見が言えなくなります。話さないでいると、だんだん誰も自分と目を合わせてくれなくなって孤立状態に…。日本では意見を言わない人に対して「ディスカッションに参加しないなら、いる価値はない」くらいに思っていましたが、自分が今、その“いる価値のない人間”になっていることに愕然としました。

幾度となく心が折れそうになりましたが、いろいろな人に相談し助けてもらったことで、頑張り続けることができました。苦しくても何だかんだもがいていると、だんだん目の前がクリアになってきます。最終的にはレポートで最高評価をいただくことができました。自分なりに目に見える成果が出せると、辛いことがあっても乗り切れると思います。

留学中には、国際海洋法裁判所長の柳井俊二先生(元中央大学法学部教授)ともお会いでき、ドイツ・ハンブルクの国際海洋法裁判所を見学させていただくことができました。また、ロンドン白門会にも訪問して、パワフルなOB・OGの方々から叱咤激励をいただきました。中でも防衛省にお勤めの方から言われた言葉にははっとさせられました。公務員試験を受けるべきかどうかの相談をしたところ、「自分の気持ちに素直になるべき」と―。確かに挑戦してもいないのに自分で自分の限界を決めるのはおかしい。ならば、本気で国家公務員を目指そうと決心しました。

国家公務員総合職に合格! 環境省への入省が内定

翌年6月に帰国後、8月の終わりから予備校に通い、国家公務員採用総合職試験に向けて猛勉強を開始しました。その後、無事試験に合格し、官公庁訪問へ。最終的には環境省への入省が決まりました。環境省への訪問時には、水俣病問題に携わっている方からお話を聞くことができ、とても感銘を受けました。その方は、仕事のやりがいだけでなく、自身が悩みもがいていることについてもストレートに話してくださいました。自分の迷いまで他人にさらけ出せる人はなかなかいません。行政官として働く上での覚悟を見せられた気がしました。 

大学生活全般を通して一流の社会人の方と知り合う機会が多かったのは自分にとって非常に有益でした。OG・OBの方々も常に後輩を気にかけてくれ、就職の話などいろいろと相談に乗っていただきました。大学に入ってからロールモデルを探すのは難しいと感じていたので、そうした先輩方が身近にいると視野が広がります。

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