02 GLOBAL PERSON

グローバル・パーソンを目指す中大生 vol.16

人種のるつぼ、ハワイで言語研究に励む

山口裕貴さん

文学部文学科英語文学文化学専攻3年
[掲載日:2014年7月25日]

高校時代の2年間、両親の仕事の関係でカナダに住んでいました。海外にいたことで、逆に日本語や日本について興味がわいてきて、英語と日本語の比較もしてみたくなり、日本に戻って、中央大学文学部文学科英語文学文化学専攻に入学しました。ここで言語学の基礎的な知識を学んだことで、日本語との違いだけなく、共通する部分なども見えてきました。一般的には、日本語と英語は全く別ものだと思っている人が多いと思いますが、同じ人間が話す言語ですから、意外と共通する部分も多くあるのです。

ハワイ大学へ長期留学

2014年1月からは、ハワイ大学に1年間の長期留学をしています。ハワイ大学には自分が専門とする言語学の研究者がたくさんいるからです。授業中、頻繁に言語学に関わるアンケートがまわってきたり、校内には日本語母語話手で中国語のわからない方というような条件付きで被験者を応募する紙がたくさん貼ってあったりします。ハワイは人種のるつぼといわれるだけあって、第二言語研究が盛んなのです。 

英語力に関しては、カナダに住んでいたので大丈夫だろうとタカをくくっていました。しかし、実際来てみたら全然ダメで…。遠慮なしに話されるとついていけず、相手が本気で喋ってくれなくなってしまうのです。逆に専門的な話の方が日本である程度の知識を身につけていたので大丈夫だったのですが、日常会話でフランクな英語でベラベラ喋られるともうわかりません。いちいち話の流れを止めてしまって、自分も悪いなと思い、わかったふりをしてしまうという悪循環です。

アメリカの大学のシステムも日本とはだいぶ違います。例えば、日本では授業は基本週1回、1週間にとれる授業数も多いのですが、アメリカはそれほど種類が多くなくて、同じ授業が週3回あるいは2回あります。ものすごい量の宿題が出るので、ただそれをこなすだけで頭に残り、自然と身になるのを実感しています。

また、留学生が多くて、いろいろな国籍の人たちと話すことで学ぶことも多いです。メインランドからの学生も多くいます。私は中央大学SENDプログラム(日本語教育)などにも参加して、いろいろな国々に行きましたが、それでも考えが狭いなと感じました。当たり前のことですが、国ごとに事情があり、個人差があります。実際に会ってみるとその違いがわかります。ステレオタイプな見方は捨てるべきです。

言語学の魅力

言語は人間が話すものですから、少し不完全なところがあります。それでいてきっちりしているところはきっちりしている。だからコミュニケーションの道具になれるのだと思います。例えば、英語の名詞では、ネイティブが数えられる物体として認識しているかどうかで可算名詞か不加算名詞かが決まってきます。これは時代によっても変わっていて、そんなところがディープで面白いと感じています。 

将来は言語学の研究者になりたいと思っています。ただ、ストレートにその道に進むかどうかは迷っています。就職してお金を貯めて大学院に行き、最終的に研究者になるのもよいかもしれません。自分が知っている中央大学の教授の中にも、一度他の仕事に就いて、30~40代になってから大学院に行き、教授になっている方も結構いますから。

ハワイ大学の留学生たちとの会話でも、将来どうするかという話がよく出てきます。彼らの話を聞いていると、やりたいことがちゃんと定まっていて、自分はまだまだだなと思います。留学期間は1年。これから大学の中だけでなく、ハワイのいろいろなところを訪れて、様々なことを吸収していきたいです。

中央大学パシフィック・オフィスがオープン

ハワイ大学に中央大学のオフィスができたことで、やはり安心感があります。特にハワイ大学に留学しているのは自分だけで心細い状況でしたから。自分はカナダに住んでいたことがあるので、外国人と話すのにはそれほど抵抗がありませんでしたが、ハワイに短期留学中だった後輩の一人からは、「やはり外国人の方と話すのは難しい」という声も聞きました。初めは皆、そうした状況に陥ると思いますので、オフィスがあると、スタッフの方に日本語でいろいろ相談できて心強いと思います。英語だけだと大事なことを見落としたりもするので、そういう面で確認できるのもありがたいと思います。

中央大学パシフィック・オフィス開所式に際して実施されたワークショップでのディスカッションにて

ワークショップ後には、ハワイ大学に短期留学中の学生たちも交えて全員で記念撮影

レセプションでは、中大生を代表して挨拶

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