02 GLOBAL PERSON

グローバル・パーソンを目指す中大生 vol.17

困難な状況下でも楽しく! 国際協力の現場で強みを活かす

市川加奈さん

文学部人文社会学科フランス語文学文化専攻4年
[掲載日:2015年4月3日 ]

市川さんが国際協力に興味を持ったのは、中学生の時。
担任教諭が見せた、青年海外協力隊の動画がきっかけだった。
大学では「海外に行くなら、今しかない!」と、
国際協力への参加を心に決めていたと言う。
大学1年生で初海外。
旅行会社がフィリピンで企画したボランティアに1週間ほど参加し、
子どもたちと触れ合うものだった。

単発ボランティアでの力不足。支援を見直す転機に

 楽しかったです。だけどボランティア期間が短すぎて、「何かの役に立ったのかな?」って疑問を感じてしまいました。もっと持続可能な支援がしたい。そう思い特定非営利活動法人TABLE FOR TWO International(以下TFT)の中央大学支部で活動を始めました。TFTの支援では、1食が売れるごとに20円を開発途上国に寄付し、子どもたちの学校給食に充てています。このシステムなら、たとえTFTを知らなくても、食事をするだけで継続的に給食が子どもたちへ届きます。多くの企業や団体がこの支援に賛同していて、中央大学もサークルとして参加しています。私は2014年12月まで、このサークルで4代目の代表を務めていました。代表ごとに活動スタイルの特色があって、私の代では外部との提携に力を入れていました。これまではCスクエアのリーフカフェでTFTを導入してもらっていましたが、私たちはより寄付を集めるために近隣の飲食店にも導入を呼びかけました。店へのプレゼンテーションのために資料を作成し、データを店主にお見せしながら参加を呼び掛けました。「メリットを感じない」と、賛同してもらえる店がなかなか見つかりませんでしたが、ようやくご了解いただいた橋本にある「カフェこたつ」には今でも参加いただいています。

↑Cスクエアにあるリーフカフェと協力し、TFT用のメニューを開発。

↑メニューは月ごとに入れ替わる。タコライスは特に人気!

ケニア、バングラデシュ……現状を自分の目で確かめる

↑1ヵ月間に渡るケニアでのボランティア活動。
体力があったおかげで、元気にワークをやり遂げた。

 TFTに参加してから湧いた「支援地の状況はどうなっているのか?」という疑問。実態が分からないままお金を送っているのが嫌で、文学部にある学外活動応援奨学金を活用してTFT支援地のひとつ、ケニアでボランティアに参加しながら現状を視察しました。活動地には電気、水道、ガスがなく、水汲みに毎日2時間以上かかる環境です。日本人スタッフはおらず、ケニア人スタッフ指揮のもとで現地の人と小学校での交流・支援活動を手伝ったり、植樹をしたりしました。

 時には一緒にワークをしていたケニア人同士が殴り合いのケンカをはじめ、仲間がマラリアでばたばたと倒れていく……。日本ではありえないことの連続です。「活動中、コレを頑張りました」というよりは、ワークをやり遂げたこと自体が頑張った証と感じています。支援に行ったはずなのに助けられることも多く、現地の小学生からサトウキビを買ってもらったことも! ここで生活している人たちには、笑顔が溢れていました。私自身も、結局は「楽しかった」という思い出ばかりです。文学部への報告書には、「同情する支援ではなく、共に開発する支援活動をしたい」と記しました。

  こうしたTFTやケニアのボランティア活動を経験したことで、「もっと大きな支援を継続的にできるようになりたい!」と思うようになり、国際協力プログラム(FLP)のゼミに参加。ゼミでは「ひとつの物事でも、立場によっていろんな見方、意味がある」と改めて考え、問題意識を持って多方面から物事を見つめるようになりました。FLPでの研究・調査をまとめたフォトストーリーがJICA「グローバル教育コンクール2014」写真部門に入選できたことについても、これが誰かの、何かのきっかけになればと思いますが、まずは自分でいろんなところに行ってスキルを吸収することを大切にしたいと思っています。社会に出てビジネススキルを身につけ、また違った視点から国際協力にチャレンジしていきたいです。

↑in ケニア

↑in ケニア

↑in バングラデシュ
FLPでバングラデシュを訪問。




←in バングラデシュ
障害者たちの自然災害に対する認識を研究・調査した。


学生生活は短い。とにかく行動を起こして!

 困難な環境でも楽しく活動できていた理由ですか!? ほかと比べないことでしょうか。開発途上国にいる時は、日本と比べない。日本が好きな人なら、比較すると「日本だったら~なのに!」と不満を感じてしまうと思うんです。「郷に入りては郷に従え」と言うように、日本を忘れるくらい現地の生活に馴染むことを意識していました。だから、ケニアでの活動も「楽しかった」という思い出ばかりなんだと思います。確かに、日本での生活の方が安全だし便利です。でも現地へ行かなければ分からなかったことを何度も体験できたので、皆さんにも是非、海外へ行ってみて欲しいです。

 私の場合、国際協力に取り組む際は、行く場所を決める前にまず勉強したい問題に焦点を当てていました。例えば、貧困問題や女性のジェンダーについて興味があるとしたら、どこで勉強できるだろうかとフィールドを考えます。それから、学生である今しか行けないような場所、私の場合は海外でしたが、そこに目的地を定めて出かけていました。休みの時期には目的を持って活動していたせいか、振り返ってみるとやり残したことはそれほどないかな?と感じています。
 大学生活はあっという間。とにかく行動することです。迷ったらまず行動することをおすすめします。
 

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