02 GLOBAL PERSON

グローバル・パーソンを目指す中大生 vol.19

私を成長させたのは、憧れの存在に近づくための努力! 途上国の環境支援に向けて――。

周藤潤香さん

総合政策学部政策科学科プロフェッショナルコース3年 ※早期卒業制度により2015年3月に卒業
[掲載日:2015年6月3日]

今年の3月に早期卒業し、
9月からイギリス・リーズ大学大学院へ通う周藤さん。
中央大学に入学した時から、
3年で卒業して大学院へ行く、と決めていたという。
その決意の奥には、
「座学で学ぶだけでなく、少しでも早く現場に立ちたい」
「社会に貢献できる仕事がしたい」という熱い思いが込められている。

尊敬できる仲間・先輩との出会いが、原動力になった

 英語が好きになったのは友達の影響です。中学生の時、すごく仲がよく尊敬していた友達が英語の勉強を頑張っていたので、「じゃあ、私も勉強する!」と。一緒に勉強するのが楽しかったですし、分かってくるとより楽しくなりました。そんな私の姿を両親が見ていて、高校1年生の時にイギリスへ16日間、ホームステイをさせてくれました。現地の語学学校には、スペインやロシアなどから英語の勉強に来た生徒たちの姿も。最初は同じ国同士で集まってしまいぎこちなかったのですが、その空気を次第に英語という共通語が打ち消しました。理解できなかった人たちのことが、英語を使うだけでこんなにも分かりあえる。それが私にとって面白くて、「もっと英語を使いたい」、「いろんな人と話したい」という気持ちにさせました。英語を言葉として使う大切さを経験したことで、学問として学ぶより、コミュニケーションのツールとして使いたいと思うようになったんです。
 「英語を使って人に貢献できる仕事に就きたい」と考えるようになった高校生の頃、学校の企画でOB・OGへインタビューすることになりました。調べるうちに知ったのが、紛争解決、平和構築のために活動している瀬谷ルミ子さんです。経歴を見ると、私と同じ群馬県桐生市の出身。「これはすごい巡り合わせだ!」と思って、瀬谷さんにインタビューを申し込みました。高校時代のことや将来に向け頑張ったことなどを伺ったほか、瀬谷さんの講演会も聴きに行き、質問をしたりしていました。
 「追いかけたい、瀬谷さんのようになりたい!」と思って彼女の後をたどり始め、瀬谷さんが卒業している中央大学総合政策学部に入学。大学へ入学するさいに先生や両親からは、「大学は通過点」と言われていたので、何を学ぶかは大学のその先を見て考えました。

国際交流を通じて身に付けた、発言する力

「KAKEHASHI Project」

↑「KAKEHASHI Project」にて。ニューヨーク市立大学ラガーディア校の学生と市内観光をした。

 大学生になって、学生たちから第5回アフリカ開発会議(TICAD V)に提言する学生プロジェクトに参加しました。これは日本人学生とナイジェリアやケニア、モロッコなどアフリカから訪問している学生たちが10日間を一緒に過ごし、社会開発や経済発展、平和安定について学んで話し合うものです。印象深かったのは、日本人とアフリカ人の価値観の違い。また、アフリカの中でも国による発展の差や国際機関の援助に対する思いの違いがあり、現地の生の声が聞けました。何事も固定観念を持ってはいけない、自分の経験や自分の目で見たものが大切だと感じた出来事です。
 その後、日本と北米の交流プロジェクト「KAKEHASHI Project」に参加。アメリカに対しては読んだ本の印象が強かったので、実際はどうか興味があったんです。10日間の日程でニューヨークやロサンゼルスを巡り、日本の文化を学生たちに紹介しました。交流を通じて、予想通り巨大な国だと感じた一方、アメリカ人は自由奔放だと思っていたけれど、それも人によると分かりましたし、土地によって雰囲気が違うという一面にも気付かされました。
 こうした国際交流を経験して、誰とでも気兼ねなく話せるようになったと思います。他人に対して怯まなくなりました。日本だと、言わなくても察してくれたりしますよね。しかしイギリスやアメリカでは、意見を言わないと全部が相手の意見に流されてしまい、言わないと動いてもらえません。「自分の意見はちゃんと言わなきゃ」と意識するようになりました。また、いろんな立場の人と交流してきたことで視野も広くなり、「この人の意見が分かる、共感できるよ!」と思えるようにもなりました。
「KAKEHASHI Project」

↑「KAKEHASHI Project」にて。
はっぴを着て、アメリカ人学生の前でプレゼンテーション。

「KAKEHASHI Project」

↑「KAKEHASHI Project」にて。
マウント・セント・メアリーズ大学の学生と、大学構内でランチ。

「自分だけの将来の目標を見つける」という新たな試み

↑瀬谷さんの講演が行われた第4回インターナショナル・ウィーク。
「高校時代に瀬谷さんにインタビューしたことをお話しすると、
覚えていてくださいました。
それが凄く嬉しくて、更なるやる気に繋がりました!」と周藤さん。

 将来は環境面で途上国の開発に関わりたいと考えていて、大学院では環境学、開発学を学ぶ予定です。環境・開発学は、イギリスの大学が有名。なかでもリーズ大学は、環境学で歴史があります。瀬谷さんがイギリスの大学院に通われていたことも、私の進路に影響していることは確かです。瀬谷さんの言葉で印象深かかったのは、「同じことをしても才能がある人にはかなわない。だったらまだ誰もやっていない分野の仕事をしよう」です。その考えのもと、女性の立場でありながら、紛争解決に携わっているそうです。私も瀬谷さんを追いかけているだけでなく、自分だけのニッチな世界に行かなくてはいけないと思っています。
 これまでは瀬谷さんが辿ってきた道を目標に、そこに至るまでに必要なものを必死に掴み取ってきました。ですが、将来の職業が明確には見えていません。これから始まるイギリス留学では、自分で道を開拓していく必要があると感じています。

常に先を読み、目の前のチャンスを掴む準備をする

 大学生活には、やらなければいけないことが山積みです。目の前のことで手一杯になって、それを処理して満足しがち。しかし、常に先を読んでおかないと出遅れてしまいます。私は留学準備が遅かったうえ、目の前のことを優先させてしまうことが多くありました。本当は、もっと調べておかなくてはいけないことが、たくさんあったのに……。早期卒業制度を利用するにしても、一定以上のGPを取りながら大学院からオファーをいただかなくてはいけません。授業に出席して成績を安定させつつ、大学院に向けて勉強をし、院で何をやりたいか研究計画書を書く。さらに、申請や合格発表の期間も大学院によって異なるので、スケジュールを考慮した計画的な準備が必要になってきます。私がただ「勉強がしたい」という理由で大学院へ進もうとしていたら、指導してくださった教授からは「“勉強がしたい”だけではなく、その先の仕事やキャリアを考えて大学院の場所やレベルを考えなさい」と言葉をいただきました。大変ですが、“先を見ておかなければいけない”というのは、ひしひしと感じています。
 常にアンテナを張って、流れてきたチャンスを上手にキャッチできる余裕と好奇心を持つことが大事。ただし、広い視野を持ちながら、あくまでも自分の軸を持って、流すのか受け取るのか判断してください。自分への戒めのためにも、後輩にはそうアドバイスしたいですね!

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