05 REPORT

「中央大学SENDプログラム(日本語教育)」4期生による海外実習報告会を実施しました

2016年12月01日

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 2016年11月24日(木)、多摩キャンパス3号館の教室にて、「中央大学SENDプログラム(日本語教育)」4期生による海外実習報告会が開催されました。
 「中央大学SENDプログラム(日本語教育)」は文学部が主催するプログラムで、日本語・日本文化および異文化を深く理解し、将来、日本と外国の架け橋となるエキスパート人材を育成することを目的としています。
 4期に参加した34名の学生は、2015年~2016年の間に2度の留学を経験しました。1度目の留学ではイギリスにて日本語教育に関する専門科目を履修、2度目の留学では各海外協定校に分かれ、現地の学生たちに日本語・日本文化を日本語教師アシスタントとして紹介しました。
 今回の報告会では、2度目の留学先での実習の様子を、ポスターを使って発表しました。
 4期は「中央大学SENDプログラム(日本語教育)」が執行される最終年度でありますが、4期生たちは同プログラムに参加した先輩たちのアドバイスを受けながら実習の準備を進め、より充実した体験を得ることができました。
 SENDプログラム委員会委員長である文学部教授 若林茂則からは学生たちに向け挨拶があり、「日本語教育だけでなく、いろんな面で日本と外国の架け橋になったと思います。この留学は、経験として皆さんの身になりました。これをステップに様々なことにチャレンジして、なりたい自分を目指して輝いてください」と報告会を締めくくりました。
 なお、ポスターは2016年11月29日(火)~12月9日(金)の期間、3号館文学部事務室前にて掲示しています。海外留学等に興味のある方は是非、ご覧ください。

中央大学SENDプログラム(日本語教育)

【プログラムは全4段階】
1段階(9~2月)…中央大学で基盤となる科目(6単位)を履修
2段階(2~3月)…英国国際教育研究所(IIEL)にて専門科目を履修
3段階(4~8月)…中央大学で日本語教育・異文化理解教育に必要な科目(6単位)を履修
4段階(8~9月)…海外協定校で日本語教師アシスタントとして日本語教育・日本文化紹介の実習

派遣先大学および報告者

ハワイ大学ヒロ校(アメリカ)
植元英子(文学部哲学専攻3年)、岡田花子(文学部英語文学文化専攻2年)、
金子充希(文学部日本史学専攻2年)、村越美帆(文学部英語文学文化専攻2年)

 日本語1、2年目のクラスのアシスタントと実習を担当させていただきました。学習者は主に日本のアニメや文化に興味がある人、日本で英語の先生になるのが夢と語ってくれる人などです。学生たちにはカルタや神経衰弱等のゲームを通して、日本語に触れてもらいました。みんな夢のために一生懸命に日本語を学んでくれる姿がとても印象的でした。このハワイ大学ヒロ校のほか、ヒロ高校と本願寺日本語学校でもアシスタントをさせていただきました。小学生~大学生までの日本語学習者と接することができたのは、ハワイ研修の大きな魅力だと思います。ハワイには盆ダンスなどもあり、私たちが想像するよりはるかに多く、日本を感じるものがありました。
アデレード大学(オーストラリア)
大野日菜(文学部社会情報学専攻3年)、神田奈々(経済学部経済学科3年)

 私たちが参加した日本語の授業は週4回ありました。アデレード大学の学生は普段英語で説明を受けていましたが、私たちはほとんど日本語で授業をしました。ゆっくりはっきり話すことやパワーポイントにイラストを入れること、2人で実際に会話をしてみるなど、指導担当の米山先生にアドバイスを頂きながら工夫し練習を重ねました。何と解説すればいいのか戸惑うこともたくさんあり、母語を教えることの難しさを改めて感じる毎日でした。あの手この手を使ってコミュニケーションを図ることはもどかしくもありましたが、通じ合えたときの喜びや充実感は忘れられません。とても素敵なアデレードの3週間、SENDプログラムの1年間でした。
メルボルン大学(オーストラリア)
小野寺香乃(総合政策学部政策科学科3年)、時国翠(文学部国文学専攻3年)、
橋本えりな(文学部教育学専攻3年)、福代莉々子(文学部国文学専攻3年)

 2人ずつに分かれて、初級から上級までのクラスに参加しました。クラスは、レベル2.4.6.8.トランスレーションのクラスで分かれています。レベル2は1番初級のクラスで、主に文法と漢字の学習でした。レベル8になると講義を聞き、その内容に基づいてディスカッションをしました。講義内容は「日本とオーストラリアの比較」や「オーストラリアにいる移民」についてなど、考えても答えが出ないものばかりでした。私たちは到着日から活動があり、かなりハードなスケジュールでしたが、だからこそ有意義で学びも多く、本当に充実した日々を送ることが出来ました。このプログラムに参加できて、良かったと思います。
オーストラリア国立大学(オーストラリア)
柴崎達也(法学部政治学科3年)、寺田真莉(文学部国文学専攻3年)、
三宅李佳(文学部英語文学文化専攻3年)、
山上枝里子(総合政策学部国際政策文化学科3年)、渡部朱香(文学部哲学専攻3年)

 最初の1週間で好きな授業を見学し、実習したいクラスを自由に選ばせてもらいました。同じ内容の授業を2~4回やらせてもらい、それぞれ成長を感じながらの実習となりました。spoken Japanese 4という「話す日本語」の中上級クラスでは、紫式部や源氏、日本食について考える授業を行いました。written Japanese Dという「書く日本語」の中上級クラスでは、筆ペンを使って俳句と川柳を書いてもらいました。私たち5人はそれぞれ別の家にホームステイしたため、休日は別行動。ホストファミリーと過ごすこともあれば、1人で出かけることもありました。言葉の壁を抱えつつも、5人それぞれが違った特別な思い出を作ることができました。
アテネオ・デ・マニラ大学(フィリピン)
粕谷奈央(法学部法律学科3年)、森岡真葵子(経済学部国際経済学科2年)

 私たちからお伝えしたいテーマは、ずばり出会いです。今回の派遣によって、私たち自身の距離も一気に近づき強い信頼感が生まれました。フィリピンでもたくさんの人と出会い、時間を共にすることで輪が広まったと思います。まず学校・実習についてですが、4つのレベルの授業に参加させていただきました。初級クラスは現地語であるタガログ語と英語のほか日本語が使われており、上級クラスになるほど日本語の比率が上がっていました。授業後には日本語や日本文化に興味がある学生を対象に、日本語クラブを開催。毎日来てくれる人たちもいて、言語や文化を超えて深い絆を築くことができました。休日は積極的に外出。現地の人たちの優しさに助けられ、素敵な経験になりました。
フィリピン大学ディリマン校(フィリピン)
神林寿明(文学部英語文学文化専攻3年)、藤巻直倫(文学部哲学専攻3年)

 1週目はさまざまなレベルの授業を幅広く見学しました。日本語による直接法よりも、英語を使う方が多かったです。タガログ語もありました。フィリピン大学の学生は非常に真面目で、居眠りなどほとんどありません。勉強熱心で日本語に対する関心、意欲、態度が大変素晴らしく、その姿勢に見習うべきことが多くありました。2週目は授業見学に加え、「能面」をテーマに日本文化紹介をしました。3週目はいよいよ模擬授業です。反復練習や仮定法について、ゲームやアニメを取り入れて練習しました。このほか、現地大学でお世話になった先生方や学生の皆さんに食事へ連れて行ってもらいました。これをきっかけに皆さんと仲良くなり、フィリピンの避暑地や先生の別荘へ連れて行ってもらいました。
マレーシア工科大学(マレーシア)
橘田彩(文学部国文学専攻2年)、塩田麻祐子(文学部東洋史学専攻3年)、
平井祥子(文学部教育学専攻2年)、深田悠以奈(文学部西洋史学専攻2年)

 初めの1週目、English Collegeと呼ばれる日本の中学校にあたる学校で、1時間半の授業を2回担当しました。行く・来る・帰るや昨日・今日・明日といった時間を、黒板や絵を用いて教えました。翌週はマレーシア工科大学で、2時間の授業を6回担当しました。すべて初級クラスでしたが1年生から大学院生まで年齢は様々でした。日本語は自由選択科目に含まれますが、教育学部は日本語が必修科目です。初級を終えた段階で、最低でも日本語能力試験のN5が取れるレベルのカリキュラムを組んでいました。日本語を現地の学生に教えに行かせていただくという立場でしたが、イスラム文化や多文化共存など学ぶことが多くあり、私たちの成長につながりました。
ダナン大学(ベトナム)
梅沢貴裕(総合政策学部国際政策文化学科3年)、
加藤千春(文学部教育学専攻3年)、楠本由布子(商学部経営学科3年)、
曽田竜耀(文学部国文学専攻3年)、山本菜月(文学部社会学専攻3年)

 現地に到着し、まず目に飛び込んできたものはバイクでした。主にHONDAやSUZUKI製のものがベトナムでは主流のようです。現地の学生には様々なところに連れて行ってもらいました。リンウン寺や五行山は大小さまざまな像があり、特に五行山からの眺望は海が一望できる素晴らしいものでした。古都ホイアンは日本との歴史的関わりも深く、日本橋なるものもあります。現地滞在中には季節柄、雨や雷が多く様々なトラブルもありました。実習は一人で授業を行いましたが、学生たちのサポートにより、皆が無事に終えることができたと思います。Japan Dayというイベントでは、学生たちと一緒に着物や書道、華道、茶道、アニメやダンスなど日本の文化を紹介することもできました。
上海理工大学(中国)
天野夏海(文学部社会学専攻3年)、岡村里美(文学部英語文学文化専攻3年)、
笠本詩織(文学部国文学専攻2年)、片瑞菜(商学部経営学科3年)

 理系学部がメインの大学ですが、外国語学部もあり日本語学科には120名ほどの学生が在籍しています。また、日本語学科とは別に大学内に日本文化交流センターがあり、日本文化を体験したり日本への留学を支援したりしていました。1週目は日本文化交流センターの学生と交流したほか、「初級日本語能力訓練」という2年生の日本語の授業を見学。学生の前で、日本文化の紹介もしました。2週目からは「総合日本語教程」という4年生の授業に混ぜていただき、3週目には単独授業に備えて準備を進めて最終日は私たちだけで授業を行いました。教科書を使った授業では私たちでも難しいような文章を扱っていて教えるのも大変でしたが、こちらも皆が熱心に聞いてくれていたように思います。
大連大学(中国)
檜田龍一(法学部法律学科2年)、八木田好葉(文学部教育学専攻3年)

 1週目は授業見学と学生との交流が中心でした。主に見学したのは、2~4年生の授業です。2、3週目にはそれぞれ1回ずつ90分の実習があり、急遽「うちのクラスでも授業して」と言われた1回を加えると、全部で3回の実習をしました。2年生のクラスは、日常会話が自然にできる学生も多くいました。3、4年生のクラスで驚いたのは「同時通訳」という授業です。NHKのオンラインニュースを聞いて、その場で中国語に通訳していました。私たちが話したことを交代で通訳するという実践的なことも取り入れていて、本当に刺激を受けました。土、日、祝日と平日の午後は自由時間だったので、たくさん観光の時間がありました。学生たちをはじめ、大学院生や日本人留学生とも楽しく充実した時間を過ごしました。

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