05 REPORT

【第8回IW実施報告】メキシコ大使講演会

2017年02月08日

インターナショナル・ウィーク
第8回 メキシコ
 インターナショナル・ウィークの中核を担うイベントのひとつとして、在日メキシコ大使館よりカルロス・アルマーダ駐日メキシコ大使を招き、講演会が開催されました。2016年12月1日(木)に多摩キャンパス8号館で行われ、講演前には総長・学長 酒井正三郎との懇談やキャンパス見学の時間も設けられました。
 講演会では副学長・国際センター所長 武石智香子より開会が宣言されると、外交官としてメキシコ駐箚特命全権大使の経歴を持つ法学部教授 目賀田周一郎より、アルマーダ大使が紹介されました。アルマーダ大使からは、自身が大学で教官を務めた経験の紹介のほか、メキシコと日本の間における学術交流に力を入れており、本日、大学に来るのを非常に楽しみにしていたといった挨拶がありました。スピーチは「墨日二国間関係(歴史的観点と現状) Mexico-Japan bilateral relations (from the historic perspective and current state)」をテーマに、メキシコと日本の良好な友好関係の歴史や近年の経済協力が語られました。
 本講演は一般からの聴講も可能で、学生のほか多くの教職員たちも出席。会場は立ち見が出るほど聴講者が集まり、関心の高さがうかがえました。
講演会に先駆け、総長・学長 酒井正三郎との間に
懇談の席が設けられた。
在日メキシコ大使館より、
カルロス・アルマーダ駐日メキシコ大使、
エミ・カメタ三等書記官、三好 勝翻訳官。
本学からは総長・学長 酒井正三郎、法学部教授 目賀田周一郎、
商学部教授 高松英樹が同席。
懇談後にはキャンパスを案内した。

墨日二国間関係(歴史的観点と現状)
Mexico-Japan bilateral relations (from the historic perspective and current state)
 

成長を続けるメキシコ。日本から直行便も新たに就航

 北米大陸に位置するメキシコは、ラテンアメリカであります。国土面積は約200万㎢で世界第13位の広さ、人口は1億2700万人おり日本とほぼ同規模です。経済規模は新興経済国の中でトップクラス、世界では第15位です。我々は自由貿易を推進しており、世界46か国と11のFTA(自由貿易協定)を締結。日本とは2005年に経済連携協定を発効しています。
 平均年齢は27歳と若い層が多いです。観光客数は2015年に年間3210万人に達し、世界第10位を記録する観光大国でもあります。世界遺産の登録数は34件で世界第7位に位置します。メキシコの伝統料理は、2010年に無形文化遺産に登録されました。
 来年の2月にはメキシコと日本を結ぶ直行便が毎日、運航します。2015年には日本からメキシコに訪れる観光客が10万人を数えており、メキシコから日本に訪れる観光客も年々増加傾向にあります。

 

メキシコと日本、現代に続く友好のきっかけは帆船

 メキシコと日本の歴史を振り返ってみたいと思います。1609年、ロドリーゴ・デ・ビベーロ団長率いる帆船が、フィリピンから母国ヌエバ・エスパーニャ(現メキシコ)を目指す途中で、現在の千葉県御宿町沖に座礁しました。村人たちが乗組員300名以上を救助したことが、今日まで続くメキシコと日本の長い歴史を紐解く、最初の出来事となりました。その後、日本の鎖国によって交流が途絶えますが、1874年にディーアス・コバルビアス率いる観測隊が金星の稀な天文現象を観測するため、メキシコから横浜にまいりました。彼らは明治維新によって近代化を始めていた日本の姿に感銘を受け、メキシコ政府に日本との国交早期樹立を提唱しました。これが功を奏し、1888年に修好通商航海条約が締結。日本にとって西洋諸国と結んだ初めての平等条約でありました。明治天皇は感謝のしるしとして、外交を行う領事事務所を永田町の一角に与えてくれています。

 

急増する日系企業。経済連携協定が、両国のプラスに働く

 1952年、終戦に伴い国交が回復します。1974年にはメキシコシティに日本メキシコ学院が設立されました。1923年に日本で関東大震災が発生しましたが、メキシコは愛情ある支援を行い、1985年にメキシコシティで大きな地震が発生した際には、日本から素晴らしい支援をしていただきました。メキシコと日本の経済は常に補完関係にあり、競合するのではなく補い合う関係にあると感じています。2005年に結ばれたメキシコ日本経済連携協定では両国に恩恵をもたらし、二国間貿易総額は2014年の時点で221億2900万ドルを達成。2005年からの約10年で70%の伸びをみせ、協定はサクセス・ストーリーであることが実証されています。当時、メキシコに進出していた日本企業が340社にすぎなかったものが、現在は1000社を越えました。メキシコは2020年には自動車生産数が世界第4位に躍進すると予想されていますが、わが国にはトヨタや日産、ホンダやマツダが進出し、大きな支援となっております。

 

未来の友好に繋がる、学術・教育間の交流も活発


 大学間の交流についても触れておきたいと思います。今日に至るまでに、メキシコと日本の大学間には100件以上もの学術交流が存在し、学生たちはダブル・ディグリーによってメキシコと日本、それぞれの留学先でアカデミックプログラムの修了が可能となっています。来年秋には広島で、3回目となる両国間の学長サミットの開催も予定しています。これまでメキシコでは自動車分野における技術が強く需要されていましたが、現在は再生エネルギーや航空宇宙、エレクトロニクスなど成長性の高い分野にも要望が拡大しています。
 また、政府主導の「メキシコ日本戦略的グローバル・パートナーシップ研修計画」では、これまで4000名以上の若者が両国で研究や技術訓練等を目的に研修を行っています。
 これまで2国間の関係をさまざまな側面から語ってきましたが、要約しますとメキシコと日本は互いに敬意を払い、友好関係を強化してきたと言えます。日本には素晴らしいものが数多くあることを、我々は承知しています。皆さんには観光あるいは留学生として、必ずメキシコへ来ていただけると思いますが、メキシコと日本は異なる側面もありながら驚くほど似ている部分もあることを見出していただければ幸いです。
 我々はいつでも皆さんを歓迎しています。
 

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