05 REPORT

駐日インド大使による法学部講演会
「変化する国際情勢と印日パートナーシップ」を開催

2017年07月12日

 2017年7月6日(木)、法学部教授 目賀田周一郎の授業「外交と国際法1」にて、スジャン・R・チノイ駐日インド大使をゲストスピーカーとして招き、法学部講演会を実施しました。元外交官である目賀田教授が、チノイ大使と駐メキシコ大使として交流があったことから本講演会が実現しました。
 チノイ大使は、東アジアとアジア太平洋地域の国家安全保障を専門分野としており、10年間滞在した中国では国境地域における平和と平穏の構築、信頼醸成の交渉に携わっています。
 「変化する国際情勢と印日パートナーシップ」と題した今回の講演会では、国家安全保障のエキスパートであるチノイ大使が、混迷する国際情勢に対してインドがどのように評価・対応しているか等を語り、学生たちはアジア太平洋地域が抱える課題について理解を深めました。
  講演初めには、チノイ大使より「映像を通じてインドを感じ、行ってみたいという気持ちになっていただけることを願っています」と、パワーポイントや動画を使ってインドの美しい自然や建築など多様な風景や文化を紹介しました。
 続いて、ナショナリズムが台頭する現在の世界情勢やインド太平洋地域で拡大しつつある課題について説明。同地域で海底資源が注目を集めるなか、現状を力で変えようとする一方的な行動が信用や信頼の欠如に繋がっていると指摘し、「合意形成や対話から解決にあたることで、アジアのより良い未来を創ることができます。世界で二番目に大きい民主主義国家であるインドが、安全保障や経済の構築において日本とともに重要な役割を果たすと信じています」と、両国には地域全体の利益を実現するため協力する道が開かれている現状を説きました。
 また、インドと日本の間の歴史的絆や文化的な繋がりなど伝統的友好関係について触れ、今日では、両国は、共有する価値観――民主主義、法の支配の尊重、平和へのコミットメント――に基づく「印日(日印)特別戦略的グローバル・パートナーシップ」の関係にあり、政治、経済、人的交流の面で関係強化が図られていることを強調しました。特に、経済面では、2018年にはインドのムンバイとアーメダバード間に日本の新幹線システムが導入された高速道路が着工するなど、印日両国の緊密な関係を象徴する事例を多数紹介し、インドと日本の深化する協力関係が、アジアとインド太平洋地域における平和、繁栄、安定の推進に貢献するとの期待を述べて、講演を締めくくりました。

スジャン・R・チノイ駐日インド大使
Ambassador of India, H.E.Mr. Sujan R. Chinoy


マハラジャ・サヤジラオ大学にて、最優秀学生として英文学学士号を取得。グジャラート大学で経営学修士取得。1978年には日本の追手門学院大学に交換留学。1981年、インド外務省へ入省すると同時に香港中文大学にて中国語を専攻し、ディプロマを取得。香港や北京、上海などの公館に勤務。ニューヨークの国際連合インド政府代表部では武装解除・国際安全保障担当参事官、在サウジアラビア大使館においては政治担当参事官など、要職を歴任。在メキシコ大使を経て、2015年12月より駐日大使を勤める。
チノイ駐日インド大使一行と総長・学長 洒井正三郎ら本学関係者

チノイ駐日インド大使一行と総長・学長 洒井正三郎ら本学関係者

左から総長・学長 洒井、チノイ駐日インド大使

左から総長・学長 洒井、チノイ駐日インド大使

左から法学部教授 目賀田、チノイ駐日インド大使

左から法学部教授 目賀田、チノイ駐日インド大使

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