05 REPORT

経済学部・FLP国際協力プログラム林光洋ゼミの学生が
「ユニセフ・ウィーク」を実施

2017年12月22日

 経済学部教授 林 光洋のゼミナールに参加する経済学部およびFLP(ファカルティ・リンケージ・プログラム)国際協力プログラムの学生が、「UNICEF WEEK 2017 -ユニセフとともに考える国際協力-」という全体のテーマを設定し、そのもとで3回にわたってイベントを実施しました。
 
「UNICEF WEEK 2017 -ユニセフとともに考える国際協力-」
2017年11月28日(火) 経済学部特別公開授業「世界の子どもたちの現状とユニセフの活動」
2017年12月5日(火) UNICEFスペシャルセミナー2017
「水で奪われる子どもたちの未来 -私たちにできること-」
2017年12月6日(水)~12日(火) 募金活動「途上国の300人の人たちに1年分の安全な飲み水を」

 ユニセフ・ウィークが企画されたきっかけは、2016年12月26日(月)にユニセフハウス(日本ユニセフ協会本部事務所兼学習・展示施設)で開かれた大学生向けワークショップです。このワークショップには、東京大学、上智大学、明治学院大学、中央大学の学生が参加し、「ユニセフのことを大学生にもっと知ってもらうためには」というテーマで企画を競い合い、中央大学の林光洋ゼミが「ユニセフ・ウィーク」を提案して優勝しました。このアイディアをもとに約1年の歳月をかけて実現したのが、今回の「ユニセフ・ウィーク」です。

 学生たちの「中央大学の学生や教職員、地域の方々に開発途上国の現状を知り、関心を持ってもらいたい。そして行動に移す1つのきっかけ、手段として、募金の機会を提供したい」という意思から企画された「ユニセフ・ウィーク」。ただ募金のボランティア活動を行うだけでなく、開発途上国の現状を知ってもらう場として、授業とセミナーも併せて開催しました。

 この授業とセミナーは、本学国際センターが主催する行事企画「インターナショナル・ウィーク」を兼ねて実施され、多くの学生たちが国際協力について考えるきっかけとなりました。

 下記に「ユニセフ・ウィーク」の様子をご紹介します。

経済学部特別公開授業「世界の子どもたちの現状とユニセフの活動」

高円氏が教壇に立ち、講演

 経済学部『国際開発論』の講義にゲストスピーカーとして招かれた日本ユニセフ協会 学校事業部の高円 承子 氏が、ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)や日本ユニセフ協会の活動を紹介しました。

 詳細は、下記Webサイトをご覧ください。

UNICEFスペシャルセミナー2017「水で奪われる子どもたちの未来 -私たちにできること-」

ゼミ生たちがクイズを出題

 「安全な水にアクセスできないことで奪われている命がある」という現状を、ユニセフの活動から学ぶセミナーで、日本ユニセフ協会学校事業部より高円 承子氏が講演者として参加しました。
 セミナーの前半では、アイスブレイクとしてゼミの学生たちがクイズを出題。その後、水の問題とその解決策をグループで話し合いました。セミナーの後半は高円氏による講演が行われ、開発途上国における水の問題とユニセフの支援内容が紹介されました。


 

クイズ

  林 光洋ゼミの学生が水をテーマに、開発途上国の現状やユニセフの活動をクイズ形式で説明しました。一例をご紹介します。
人間が生きていくためには、1日に何リットルの飲み水が必要でしょうか?(生活用水は含まない)
① 4リットル ② 8リットル ③ 10リットル
答え  ① 4リットル
ユニセフの洗浄剤1錠で綺麗にできる水は何リットルでしょうか?
① 2リットル ② 4リットル ③ 8リットル
答え ② 4リットル
(1錠で、1人1日分として必要で安全な水が作れます)
世界にはどれぐらいの人が安全な水にアクセスできないでしょうか?
① 3人に1人 ② 5人に1人 ③ 8人に1人
答え ③ 8人に1人
(1Km以内に、1人1日20リットルの水を確保可能な場所がない割合)

グループワーク

グループワーク中、各グループを巡り意見を聞く高円氏

 クイズの後には、ユニセフが提供する動画「アイシャの1日」を視聴しました。エチオピアで暮らす13歳の少女、アイシャが毎日8時間を費やし茶色い水を汲む様子が描かれています。
 世界中の女の子や女性たちが、水汲みに費やす1日当たりの時間の総計は2億時間。学生たちは、こうした現状を知ったうえで、水および水汲みに起因してどのような問題が起こっているか、もしくは起こるかをまず個人で考えました。
 続いて行われたグループワークでは、個人で考えた問題を解決するために、どのようなアプローチ方法があるか話し合いました。
 各グループからは、「太陽光発電でトロッコを動かし、水を汲みに行く」、「水を汲みに行く道中で勉強をする」、「シフト制にする」、「レディースデーを設け、その日は男性に水汲みを任せる」など、様々な案が発表されました。
 それらの案に対して高円氏は、「ユニークな案が多数上がった」と、ユニセフの実際の取り組みを紹介しながら感想を述べました。

講演

グループワークの意見を踏まえて行われた高円氏の講演

 その後、高円氏が水に焦点を当てて、講演を行いました。
 『ミレニアム開発目標(MDGs)』に続く国連の国際的な開発目標『持続可能な開発目標(SDGs)』として設定された17の目標のうち6項目目には「安全な水とトイレを世界中に」が掲げられています。
 講演の中では、世界の1億5,900万人が河川や湖から汲んだ未処理の水を飲んでおり、なかには家畜のトイレとなっている場所の水を飲んでいる場合もあることを紹介。下痢を起こし、栄養不良により子供たちが命を落としていると言います。
 さらに、栄養不良により脳や体の発達が妨げられ、学習にも影響。「ユニセフでは近年、お腹を壊すことと教育の相関関係についても議論されています」と高円氏。このほか、水に関する支援は地域の人と一緒に行っていること、イノベーションにより新たなプロジェクトや開発が日夜進んでいることが説明されました。

質疑応答

 講演の後の質疑応答で高円氏は、大学生ができる支援について「奨学金制度や青年海外協力隊を利用して現地で活動したり、ユニセフのコンテスト等を通じて新しいアイディアを支援の現場や周囲に届けたりするといった方法がありますが、なにより、大学生は大学生に対して発信する力があります。募金箱におカネを入れて協力することもできますが、ボランティアとして募金を集めたり、途上国の現実を説明したりするという支援もできるのではないでしょうか」と、答えました。

募金活動「途上国の300人の人たちに1年分の安全な水を」

 スペシャルセミナーの翌日、林 光洋ゼミの学生たちは「300人分の浄水剤、1年分を開発途上国に届ける」ことをスローガンに、ユニセフ募金の活動をスタートさせました。

【活動日程・実施場所】
2017年11月28日(火)~12月12日(火) 中央大学生協レジ横に募金箱設置
2017年12月6日(水)、8日(金)、12日(火) 中央大学生協催事場にて募金活動
2017年12月7日(木)、11日(月) 多摩センター駅前ペデストリアンデッキにて募金活
※生協催事場では外国コイン募金も同時開催
 募金の協力者には、使途や結果の報告方法などの情報を載せた「Thank youカード」を配布しました。
 開発途上国の女児や女性たちは水汲みを強いられ、重労働を課せられているという現状があり、それを知ってもらおうと、大学生協の催事場には水の重さを体験する水瓶を設置。現地の様子を疑似体験できるVR(バーチャルリアリティー)も貸し出し、学生たちの関心を引きつけました。


中央大学生協で募金のボランティア活動を行う林ゼミの学生たち

水を満タンに入れると、
水瓶の重さは約15キロにも!

水に困っている開発途上国の
村の様子をVRで体験

多摩センター駅前で、開発途上国の水問題の現状を説明し、募金への協力を呼びかけた

日本ユニセフ協会での贈呈式
(向かって左から、林ゼミの学生の髙木さん、須藤さん、
日本ユニセフ協会専務理事の早水氏)

 2017年12月15日(金)、集めた寄付を林 光洋ゼミの須藤さん(経済学部4年)と髙木さん(経済学部4年)が、全額、日本ユニセフ協会に届けました。

【募金結果】
浄水剤対象募金合計額:173,010円
外国コイン募金(生協催事場のみで実施)合計額:紙幣4枚、硬貨5枚

 当初の目標であった1年分の浄水剤300人分を大きく上回る842人分の寄付金が集まりました。

 学生たちは「ゼミ生ができることを自分たちなりに考えて実行したに過ぎませんが、皆さんのおかげで当初の目標を上回る募金額を集めることができました」と中央大学林光洋ゼミのブログを通じて、中央大学の学生、教職員、地域の方々に感謝を述べ、「1人でも多くの皆さんに途上国の現状について関心を持っていただくことができたのであれば幸いです。また、募金に限らず、今後、途上国への協力、支援を行動に移していただけるようであれば、なお嬉しいです」と「ユニセフ・ウィーク」の活動を振り返りました。

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