05 REPORT

【第11回IW実施報告】TICAD7 開催記念 写真展
「アフリカ、胎動する大陸」 ~ 世界銀行×中央図書館

2019年12月23日

インターナショナル・ウィーク   第11回 アフリカ・アジア諸国
 中央図書館は、第11回インターナショナル・ウィーク(テーマ:「アジア・アフリカ諸国」)の特別企画として、2019年11月18日(月)~22日(金)、多摩キャンパス中央図書館1F展示ホールにて、第7回アフリカ開発会議(TICAD7)開催記念 写真展「アフリカ、胎動する大陸」を開催しました。
 これは、TICAD7(2019年8月、横浜市で開催)を記念して開催した世界銀行グループの写真展の作品を借り受けて展示したものです。世界銀行東京事務所のご厚意により、同行の写真展の初めての巡回展として開催する運びとなりました。  

▲連日、多くの学生が鑑賞していました。このテーマへの関心の高さがうかがえます

 展示された数々の作品は、アフリカを舞台に、世界銀行職員のドルテ・ヴェルナー氏が撮影した作品と、日本ジャズ界レジェンドの渡辺貞夫氏が撮影したものです。広大なアフリカ大陸の美しい大地と自然、たくましく生きる人々の姿からはアフリカのエネルギーが感じられました。

 会場には多くの学生や教職員が来場し、足を止めて、じっくりと鑑賞していました。中央大学文学部(英語文学文科専攻)2年の中村優里さんと福場友香さんは、「授業(世界の英語文学)で、この展示が課題のひとつになったので見に来ました。素敵な写真ばかりで感動しました。アフリカは第三世界で未発展な地域のイメージがあって、さまざまな思いを感じながら見ました。授業で接している文学作品は文字から読み取るものですが、写真には文字がないため、被写体の表情や風景から伝わるものを感じ取ります。文章とは伝わり方が違うと思いました。視野が広がったような気がしました」と、感想を話しました。

展示された作品と写真展の様子

第7回アフリカ開発会議(TICAD7)開催記念
写真展「アフリカ、胎動する大陸」について~世界銀行からのメッセージ

 アフリカは広大な大陸です。そこには驚くべき多様性、限りない美、豊かな文化遺産、そして膨大な天然資源が存在します。またアフリカは、人口の43%が15 歳未満で、世界で最も若い大陸でもあります。この人材が、アフリカの最良の資産と言えるかもしれません。本展の写真から、アフリカの多面性の一端、そしてその潜在能力を感じていただけるのではないでしょうか。
 
 本展は、世界銀行職員のドルテ・ヴェルナーの撮影した写真に加え、日本のジャズレジェンドの渡辺貞夫氏のご好意により渡辺氏が撮影された写真を展示しています。芸術は社会の中で重要な地位を占めており、芸術を通じて私たちは、私たちが暮らす現実世界についての理解を深めることができます。世界銀行グループにとりまして、本写真展を開催できることは大変に光栄です。
 
 2019年8月28~30日に横浜で第7回アフリカ開発会議(TICAD7)が開催されました。世界銀行は、日本政府、国連、国連開発計画(UNDP)、アフリカ連合委員会(AUC)とともに、共催者としてTICADに貢献する栄誉に浴しています。多年にわたり、TICADはアフリカが直面する課題を議論し、アフリカ諸国の意見と懸念を共有する場を提供してきました。その結果、平和と繁栄を希求するパートナーたちの協力も得ながら、アフリカ諸国自身が責任持って主導する、持続可能で全ての人々に恩恵をもたらす開発・発展を推し進めてきました。
 
 世界は新たな機会と課題に満ちています。アフリカも例外ではありません。本展の写真は、アフリカが解決しなくてはならない課題の一端を現わしていますが、より重要なことは、アフリカの持つ機会と未来への楽観をも映しているということです。本展は、胎動するアフリカ大陸を示して、アフリカの創造性、多様性、強靭性、そして強い意思を称賛するものです。
 
主催:世界銀行グループ 
協賛:富士フィルム株式会社

撮影:ドルテ・ヴェルナー(提供:世界銀行グループ)

撮影:渡辺貞夫(提供:世界銀行グループ)

写真家プロフィール

ドルテ・ヴェルナー (Dorte Verner)
世界銀行 食糧・農業グローバルプラクティス 主任農業エコノミスト。ラテンアメリカ・カリブ海地域、中東・ 北アフリカ地域、アフリカ地域における融資プロジェクト業務及び調査分析業務に従事してきた。農業・経済開発、気候変動適応、労働市場、脆弱な若年層、貧困削減等に関する著書・論文も多数出版している。世界銀行入行前は、経済協力開発機構(OECD)開発センターに勤務。イタリアの欧州大学院、フランスのパルテノン・ ソルボンヌ大学の研究員も歴任。欧州大学院にてマクロ経済学・エコノメトリクス博士号、デンマークのオーフス大学で修士号を取得。デンマーク出身。写真家としても活躍しており、ニコンフォトコンテスト2016-2017 グランプリ、国際フォトアワード(IPA)2018最優秀賞・優秀賞、同2017最優秀賞・優秀賞など、受賞歴も多数。
渡辺貞夫(Sadao Watanabe)
1933年宇都宮生まれ。高校卒業後に上京、秋吉敏子のコージー・カルテットをはじめ数々のバンドに参加。 バークリー音楽大学への留学等を経て、日本を代表するトップミュージシャンとして、ジャズの枠に留まらない 独自のスタイルで世界を舞台に活躍。2005年“愛知万博”では世界中から集まった子供達400人と、国境や 文化を越えた歌とリズムの共演という長年の夢を実現させ、その活動は海外へ広がる。2016年4月、オバマ 前米大統領夫妻がホストとなり、ホワイトハウスで開催された「International Jazz Day 2016」に日本を代表して 参加。国内のみならず、海外に於いても精力的に演奏活動を行う生涯現役プレイヤーのその姿は、世界中の 老若男女に勇気と感動を与えている。また写真家としての顔も持ち、1985年西ドイツ・ウェラー市ライカギャラリーでの写真展「マイシャ」を皮切りに、1992年富士フォトサロンでの渡辺貞夫写真展La festa Mille Miglia~ミッレ・ミリア~等、今日まで20回を超える写真展を開催。企業広告に使用された作品の数々は、日経トレンディ広告賞最優秀賞などを受賞。写真集は6冊を数える。

写真展開催のご挨拶 

  図書館のパネル展が、2019年度も「インターナショナル・ウィーク(IW)」のプログラムの1つとして開催されました。本年度のIWは、2019年8月に横浜で開催された第7回アフリカ開発会議(TICAD : Tokyo International Conference on African Development)を意識して、「アフリカ諸国」に注目しています。
 
 TICADは、1993年に日本政府のイニシアティブで始まりました。本年のTICADでも、アフリカ諸国をはじめ、国連、世界銀行、アフリカ連合委員会等の国際機関・地域機関、ドナー諸国、NGOs、民間企業等多くのステークホルダーが集まり、アフリカの開発について議論しました。
 植民地化された歴史をもつアフリカ諸国は、1960年前後から独立を達成してきたものの、ポール・コリアーが指摘する「紛争の罠」、「天然資源の罠」、「内陸国の罠」、「ガバナンスの悪さの罠」という4つの罠に陥ってしまったためか、現在でも貧困者比率の最も高い地域に分類されています。しかし、同時に、ルワンダ、エチオピア、セネガルのような高成長国の存在や13憶人を抱えるアフリカ大陸の市場の大きさが、世界の企業をひきつけるようになってきています。
 
 本展示「アフリカ、胎動する大陸」では、世界銀行職員のドルテ・ヴェルナー氏と日本のジャズ奏者、渡辺貞夫氏が撮影した、アフリカの光と影をとらえた素晴らしい写真を数十点展示しました。これらは、TICAD7を記念して世界銀行が開催した写真展に出展されたもので、同行のご厚意により、貸与していただきました。世界銀行東京事務所には、この場を借りて、心より感謝申し上げます。ご観覧された皆さまには、これらの作品から、アフリカの熱気や魅力を感じとっていただけるものと確信しています。
 
 中央大学経済学部教授 林  光洋
 

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