05 REPORT

【第11回 IW実施報告】JICAボランティアセミナーを開催しました

2020年02月04日

インターナショナル・ウィーク 第11回 アフリカ・アジア諸国
 2019年12月3日(火)、多摩キャンパス3号館にて第11回インターナショナル・ウィーク(テーマ:アフリカとアジア諸国)の一環となる『JICAボランティアセミナー』が開催されました。このセミナーは2010年から実施しており、JICAボランティア事業の目的やしくみ、JICA海外協力隊を経験した中央大学OB/OG(今回は現役学生)の体験談を通して、 国際協力や国際交流について考えるきっかけを提供することを目的にしています。
 本セミナーには、JICA海外協力隊の経験があり現在はJICA東京に勤務する佐久間 大樹さん、同じくJICA海外協力隊経験のある橋本 翔さん(中央大学文学部4年)をお招きしました。佐久間さんによるJICAボランティアの事業説明、橋本さんの海外協力隊体験談報告、質疑応答の三部構成で進められました。

JICA海外協力隊について

 JICA東京の佐久間さんからは、JICAボランティアの制度およびサポート(派遣前研修、派遣時の待遇、福利厚生、安全対策等)の説明がありました。JICAボランティア事業に参加することにより、コミュニケーション、異文化適応、柔軟性・協調性、課題対応、精神力、企画・調整、リスク管理等、非常に多くの能力が育まれるそうです。
 
 佐久間さん自身も、学生時代に1か月間、JICA海外協力隊(短期派遣)でアフリカ・ジンバブエに、大学卒業後の2017年6月~2019年6月に青年海外協力隊として中米・グアテマラにスポーツ分野(野球)で派遣され、野球競技の普及や指導者の育成を目指す活動を行いました。ボランティア活動中には、日本とは全く異なる地で多くの戸惑いや苦労を経験しましたが、活動を通して国際協力に貢献したと同時に、自身が大きく成長できたことなどを参加した学生に語りました。

●JICAボランティア事業の3つの目的
(1)開発途上国の経済・社会の発展、復興への寄与
(2)異文化社会における相互理解の深化と共生
(3)ボランティア経験の社会還元

●JICAにはどんな仕事がある? 
 JICA海外協力隊には、青年海外協力隊、シニア海外協力隊、日系社会青年海外協力隊、日系社会シニア海外協力隊などの種類があり、長期派遣に加えて、短期派遣の制度もあります。また、計画・行政、農林水産、人的資源、保健・医療、社会福祉などの多岐にわたる分野で、120以上の職種があります。例えば、PC関連のスキルを活かしたPCインストラクター隊員、ボーイスカウトやボランティアの経験を活かせる青少年活動隊員、野球・サッカー・空手等の経験を生かしたスポーツ隊員など、専門分野で働いた経験がなくても、「自分の技術・知識や経験を開発途上国の人々のために生かしたい」と、意欲をもって取り組める仕事があります。

【 JICAのデータより 】~2019年11月現在
・1965年の派遣開始以来、52,000人以上を派遣。
・現在73か国で、2,295人が活動中。
・派遣地域(人数が多い順):アフリカ、アジア、中南米、大洋州、中東、欧州
・職種(人数が多い順):コミュニティ開発、コンピュータ技術・PCインストラクター、
            理科教育・数学教育、日本語教育、青少年活動など

中央大学OB/OG(現役学生含)の派遣実績  :  430人(2020年春に8名派遣予定)

※仕事や案件、募集の時期、説明会の日程など詳しくは、JICA海外協力隊のホームページからご確認ください。

橋本 翔さん(文学部4年)の海外協力隊体験報告

 橋本さんは現在、中央大学文学部人文社会学科で東洋史学を学ぶ4年生です。所属する卓球同好会で1年次に宮城県気仙沼市で卓球ボランティアに参加し、3年次に旅行会社の主催するスタディツアーでフィリピンを訪れたことがきっかけで、海外ボランティアに興味を持つようになりました。さらに本セミナーに参加したことで、自身の経験を活かしながら成長できるというJICAの事業を知り、3年次にJICA海外協力隊に応募し合格しました。そして、大学を休学し2017年3月から2019年3月まで、中米・コスタリカへスポーツ分野(卓球)要員として「コスタリカ代表コーチとして子どもから大人までを指導、また指導者に日本式の指導方法を伝えること」を目的に派遣されました。

▲コスタリカの子どもたちに卓球を指導する橋本さん(右)

 スペイン語という初めての言語に加えて、卓球選手の育成という任務に戸惑いもあったようです。語学のほかにもコスタリカの文化、国民性、慣習、宗教に至るまでを事前研修で学んでから渡航しました。
 
 熱意をもって、コスタリカでの活動がスタートしますが、日本とはまったく違う言葉、食事、国民性、生活環境に馴染むのにはとても苦労を要し、引きこもりそうな時期もあったようです。それでも先輩隊員やJICA現地事務所のサポートもあり、また現地の人々にも支えられながら活動を続けました。任期中に、指導をするコスタリカ卓球代表チームが大会で勝ち上がって中米代表になり、日本で行われた世界選手権に出場。指導者として選手と共に一時日本に帰国した、という素晴らしいエピソードも披露してくれました。

 自分の熱意がコスタリカの人々に通じたこと、サッカーが盛んな国にもかかわらず、マイナースポーツの卓球普及に貢献できたという大きな収穫を得て、2年間の任期を終えました。大学に復学してからの現在は、現地で経験して学んできたことを生かして、卒業と就職に向けて力を注いでいきたいと、後輩たちに熱く語っていました。


 報告後に行われた質疑応答のコーナーでは、活動中の困難やそれをどうやって克服したのか、派遣参加後どのような進路を考えているか等、さまざまな質問に対して、佐久間さんと橋本さんは熱心に、自らの経験を踏まえて回答していました。会場に集まった100人を超える多くの学生たちも熱心にメモを取るなどしていました。

▲会場の様子。このセミナーでは、経済学部/FLP国際協力プログラム 林光洋ゼミの学生たちが会場運営をサポートしました

▲質問に答える佐久間さん(右)と橋本さん(左)。ほぼ同じ時期に派遣され、年齢も同世代という2人の息はピッタリでした

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