05 REPORT

【Diversity Days 2022】Rap × Diversity を開催しました

2022年08月24日

Rap Session , Talk & Discussion + Rap 制作のワークショップ
  中央大学ダイバーシティセンターでは、ダイバーシティについて知る・考えるイベントとして、例年6月に、”Diversity Days”を実施しています。昨年に引き続き、”Diversity Days 2022”と題し、2つのイベントを開催しました。
 そのうちのひとつ「Rap × Diversity」が2022年6月30日に開催されました。この企画は、「Rap(ラップ)」をベースに、ダイバーシティについて考える新しいスタイルのイベントです。
  ゲストに、Rapper/詩人のFUNI(フニ)さんとアーティストの矢野マイケルさんをお迎えし、二部制で行われました。第一部ではRapライブとトークを融合したスタイルのパフォーマンスを、第二部では、参加した皆さんが第一部で感じたことをヒントに、自らラップを作り上げて表現するというワークショップを行いました。

 会場となったGlobal Gateway Chuo7階の会議室には、満席に近い約60人が参加しました。ふたりのアーティストによるトークとRapパフォーマンスやワークショップを通じて、自分のルーツを振り返ったり、自分の身の回りを考えたりしながら、ダイバーシティについて体感し理解につながる貴重な経験ができたようです。

 以下で、イベントの様子をご紹介します。
 

〔第一部〕Rap&TALK LIVEセッション 〔第二部〕ワークショップ

<第一部> Rap&TALK LIVEセッション

▲司会を担当した総合政策学部教授 李里花(ダイバーシティセンター・グローバル部会委員)が挨拶とイベントのテーマについて説明をしました

  最初にRapperのFUNIさんが登場。Rapパフォーマンスに自身の経験や思いをのせるという形で、学生らへ熱いメッセージを伝えました。在日コリアンとして川崎に生まれ暮らすこと、地元への思いや差別やヘイトスピーチのこと。社会人となり起業して大成功を経て、世界各地を旅して現地で見聞きしたり体験し肌で感じたこと。Rapとの出会い、家族ができて父となり日々感じていること等……。回想から未来までの思い、怒りや悲しみ喜び、そしてアイデンティティをRapとスクリーンに映し出される写真に込めて披露しました。
 FUNIさんの言葉とメッセージは、Rapのリズムに合わせてするすると参加者の心に届いたようでした。FUNIさんは中央大学経済学部を卒業したOBでもあります。「ちゅ~だい」と参加者とコールを掛け合う様子は、参加した皆の心がひとつになったようでした。
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 次に登場した矢野マイケルさん。これまで歩んできた自身の人生や思い、家族のこと等を写真で紹介しながら語りました。ガーナで日本人の父とガーナ人の母の元に生まれ、内戦などもある治安の悪い祖国での強盗の恐怖体験、10歳で家族と共に日本に移住してからの養護施設生活。中学時代にサッカーで活躍しドイツのユースチームに抜擢され、帰国後にはJリーガーとして期待されながらも、チーム移籍や挫折を繰り返したのちに引退。その後の音楽活動やキックボクサーへの転身等。ふたつの祖国やドイツで感じたミックスルーツをもつ人に対する人々の意識の違いや差別、同じミックスルーツ仲間たちのこと等に至るまで、壮絶な半生と生き方を語りました。
 そして、現在一緒に音楽活動を行っているアーティストで、同じようにグローバルなルーツを持つ槇島あるまゐら(まきしま)さんと新曲をデュエットしました。トークの内容が、ふたりの歌声にのり自然と参加者の心に届いたようでした。
 
<PROFILE>
●FUNI(フニ)/
Rapper、詩人、「Mewtant Homosapience」のMC担当。
中央大学経済学部卒業。2004年 ユニット 「KP」デビュー、2007年 SSWS グランドチャンピオン、少年院などでワークショップ開催。〔出演・監修作品〕「ヤミ川崎~もがきの境界線~(漫画)」ラップ監修、毎日新聞イベント「にほんでいきる」出演、NHK「ノーナレ(川崎サウスサイドラップ)」出演など。

●矢野マイケル/アーティスト
ガーナ生まれ(父:日本人、母:ガーナ人)
10歳日本へ移住。中学卒業後16歳でドイツに渡りWerder Bremanに在籍、帰国後はJリーグの清水エスパルス・ヴィッセル神戸、サガン鳥栖等に在籍。 引退後に「Double dogz Crew」で音楽活動をスタートし、2004年キックボクサーとしても活躍する。現在は「YANO BROTHERS」兄弟ユニットで音楽活動のほか、作曲・作詞家(玉木宏や後藤真希、数々のK-POPグループ等に楽曲提供)としても活動している。
 

▲「学生だった頃と今の学生の中大マインドは変わってない」とFUNIさん

▲矢野マイケルさん「ミックスルーツをポジティブにとらえていこう」

▲槇島あるまゐらさんの美しい歌声に参加者の皆さんは酔いしれました

<第二部> ワークショップ

 第二部では、参加者が5~6人のグループに分かれて、それぞれにRap制作に挑戦しました。
 グループは座席の近い人だったり、同じゼミに所属していたり、教職員だけのグループだったり、グループとは別に、個人ひとりで挑戦する参加者もいました。
 テーマを考え、言葉を選び、リズムに言葉をどうのせるか等を考える作業は新鮮な体験だったようです。FUNIさん、矢野さん、李教授のアドバイスを得ながら一生懸命に作り上げていました。さらに制作した作品は、会場の一角で録音。マイクに向かってチーム全員で歌いました。
 思いを音に乗せることの面白さ、思いを外に吐き出すことの爽快感、思いを伝えることの喜び、一緒に制作をすることの楽しさなどを、ワークショップで体験することができたようです。

▲FUNIさんもさりげなくアドバイス

▲恥ずかしい、緊張する~、いろんな思いにドキドキしながら表現します

イベント終了後の参加学生の感想や意見

イベント終了後のアンケートから、参加者の皆さんの意見をご紹介します

・ラップを通して体験談がわかりやすかった!(総政3)
・人生をラップを通して話してて面白かった!(法1)
・色んな人生があるんだなと思った。(法1)
・初めてライブを見て、とても楽しかった。(法1)
・すごい面白かったです。(文4)
・歌・ラップすごく良かったです。歌詞も配ってほしかった。(総政3)
・前向きなエネルギーに満ちた時間をありがとうございました。(法1)
・気楽な感じで参加しやすかったと思う。(総政3)
・自分のルーツや熱を語ってくれるラップや歌をきけることはとても新鮮で楽しかった。(総政2)
・突き刺さった。(法1)
・様々なルーツのお話を聞かせていただいたことにより、少し自分の住む世界についての見方が変わりました。(法2)
・日本におけるマイノリティの実情や彼らの思にいについて勉強できました。また、ハーフという少数者団体に対し、
より寛容的な態度で接する必要があると思いました。(法3)
・自分の生きてきた境遇と違い過ぎる方々のショッキングなお話を聞けて良かった。(総政3)
・実際に当事者の方の声を知ることができて非常に興味深かった。自分を見つめる良いきっかけになった。(法2)
・他ではなかなか経験することができないイベントで、多様性について考え直す良い機会となりました。(法2)

●ダイバーシティやインクルージョンを学んでいる総合政策学部 李里花ゼミナールのゼミ生の声  

▲Rap制作と録音を終えて、気分はラッパー中大生!

総合政策学部 李里花ゼミナールでは、ダイバーシティとインクルージョンを研究テーマに学んでいます。このイベントには李ゼミのメンバーが多数参加していました。ゼミ生の皆さんに感想をお聞きしました。

・多様なルーツを持つ人の苦難をラップにのせて知ることができた。
・実際に苦しんでいる在日外国人の方の経験を知り重大性をより理解できた。
・社会的構造を理由とした差別が印象に残りました。
・「英雄(ヒーロー)をひとり作るのではなく、みんなが英雄で
「みんなで世界を変えよう」という言葉が忘れられない。
・構造的な差別というものが根深いことを知った。
・多様性についての知識を増やしたいと思って参加した。ガーナでのマイケルさんの経験が衝撃でした。
・「子供の差別は残酷だ」というマイケルさんの話が印象的でした。
・悪気なく、しかし根深く傷つけてしまう子供の意識を変えなければと思いました。

総合政策学部3年(嶋盛涼子さん、橋本萌子さん、大宮悠希さん、奥澤千紘さん、翁佳君さん、渡邉涼太郎さん)

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