05 REPORT

ラオスに渡航して

2014年08月11日

竹田 響  総合政策学部 国際政策文化学科3年   
(私立桐光学園高校出身)

プログラム名:JICA大学生 国際協力フィールド・スタディ・プログラム
渡航期間:2014年2月17日~3月6日
渡航国:ラオス人民民主共和国ビエンチャン特別区、チャンパサック県

住民へのヒアリング

住民へのヒアリングの様子―通訳と共に

この春、私は「JICA大学生 国際協力フィールド・スタディ・プログラム」の第一期生として、2014年2月17日~3月6日までの18日間、ラオスに渡航する機会を得ました。

このプログラムは、3泊4日の事前研修と18日間の渡航期間、帰国後の2泊3日の事後研修で成り立っています。事前研修と事後研修はJICAの二本松訓練所で行われました。

事前研修では、参加者一人ひとりがラオスの現在の状況について発表して意見交換をするとともに、PRAといった農村調査手法などの具体的方法を学びました。

実際に現地に渡航してからは、まず首都のビエンチャンに入り、ラオス政府や国連機関のラオスオフィスで働く方々、NGO職員、JICA専門家などからの講義やフィールドサイトの視察を行いました。現地の医療水準や環境へのインパクトを知るために、大小様々な規模の病院やごみ処分場を訪問するなど、このプログラムでなければ訪問できないところも多く見学しました。企業の面からは、ニコンやツムラの現地工場を見学しました。

プログラム2週目からはラオス南部にある第二の都市パクセーに移動し、地方行政機関やJICAのプロジェクトサイトを訪問した後、農村に入りました。ここはJICAが以前調査を行ったことがある村なのですが、3つの村にホームステイをしながら、事前研修で学んだ農村調査手法を使って、村民がどのような暮らしをしているのかについて調査を行いました。調査では英語―ラオス語の通訳を介して、住民に直接生活状況に関するインタビューを行ったり、模造紙に絵を描いてもらったりしながら、現地の人々がどのような生活を送っているのか、ヒアリングと観察による情報収集体験を行いました。ホームステイでは、豚肉と野菜の炒めものや卵焼きの中にいもむしと死に切っていないアリが入っている昆虫食を食べるという貴重な機会に恵まれました。(見た目は正直あまりよくなかったのですが、美味しかったです!)

学部生の内にこのように現地におけるフィールド調査を行える機会はあまりなく、とても有意義な18日間でした。

ラオスは人口が670万人程度と言われています。これは埼玉県の人口より少し少ない程度なのですが、それに対して国土は日本の本州と同じくらいなのです。670万人が日本の本州に散らばって住んでいるため、人口密度がとても低く、現地でも人の少なさが衝撃的でした。現在ラオスは後発発展途上国として国連開発経済委員会に認定されていますが、2020年までの脱却に、国をあげて取り組んでいます。また、2015年にはASEAN経済共同体(AEC)が構築されることになっており、ASEAN10ヵ国内において関税をゼロにすることが決まっているのですが、周辺国よりも所得水準が低いため、関税が撤廃された時の国内へのインパクトも大きな懸念点の一つとなっています。21世紀に入ってから急激な経済発展をしてきている内陸国ラオスに今渡航できたことは、とても貴重な経験であったと感じています。

もう一点、一生の宝になったのが、仲間の存在です。今回ラオスには22人が渡航したのですが、皆それぞれ住んでいる場所も専門分野もバラバラ。北は北海道から南は宮崎在住までおり、このプログラムがなければ出会うことがなかったかもしれない仲間との絆が出来ました。専門も看護、農業、歯科…といったようにバラバラなのですが(私は平和構築と人道支援に関心を抱いています)、皆国際協力の分野に関心を抱いており、それぞれの専門を生かして、一人では見えなかった様々な見方でラオスという国を知ることが出来たと同時に、私たちの自国である日本についても深く学ぶことが出来ました。共にラオスに渡航した仲間は、今はまた全国に散っていますが、帰国後も定期的に連絡を取り合っています。日本各地に志を共にする仲間が持てたことは、一生の宝となりました。

今後も、学内でのアカデミックの学びと、学外での実地での学び、両者の機会を最大限に生かしていきたいです。

ホームステイした村の様子

ホームステイした村の様子―チャンパサック県ノンブン村

町中での朝の光景―托鉢

町中での朝の光景―托鉢

前へ

次へ