05 REPORT

国際会議に参加し感じたこと

2015年03月19日

谷口 顔写真

 大学院理工学研究科数学専攻博士課程前期課程2年
谷口 晃一(私立明治学院東村山
校)

Conference on Partial Differential Equations(偏微分方程式国際会議)
2014年5月28日-6月1日
ノヴァチェッラ(南チロル・イタリア)


  私は、修士二年の五月末にイタリアの南チロルのノヴァチェッラで開催された偏微分方程式の国際会議に参加しました。会場は、観光地として有名なノヴァチェッラ大修道院で、修道院の周辺には、緑に色付いた山々やぶどう畑が広がっており、自然豊かな素晴らしい場所でした。この会議には、世界二四カ国から偏微分方程式に関連したさまざまな分野の研究者や数学者が参加しており、発表内容は流体・熱・波動方程式などの実解析的あるいは数値解析的手法による研究が多かったです。私は四日目に、非線形波動方程式の散乱問題に関する研究について、二〇分ほどの口頭発表をしました。国際会議への参加、英語での口頭発表は私にとって初めての経験であり、何もかもが挑戦でした。今回私が経験したこと、またそれを通じて感じたことを書きたいと思います。

ノヴァチェッラ大修道院前で

ノヴァチェッラ大修道院前で

 この国際会議の話は、私が修士一年の時に私の指導教官である松山登喜夫教授と岩渕司助教からいただいたものです。国際会議で発表するために、修士一年の後期から、波動方程式の散乱問題に関する研究を始めました。修士一年の前期までは論文や本を読み、基礎的なことを勉強しており、この波動方程式の研究が私にとって初めての研究でした。先生方と何カ月も議論し、紆余曲折を経て研究結果を出しました。その数カ月間は、新しい研究結果を出すことの難しさを実感させられた期間でした。また、英語での口頭発表も初めてだったため、不安は大きかったです。一カ月以上前から発表練習を始め、先生方に何回も指導していただきながら、繰り返し練習しました。現地に到着してから発表直前まで気持ちが落ち着かず緊張し続けていましたが、自分の発表が終わって、最後に座長からの感謝の言葉と、聴衆の方々からの温かい拍手を受けた時、安堵し胸が軽くなりました。そして発表をやり遂げたことに達成感を覚えました。

 またそれと同時に国際会議に参加したことで、自分に足りないものを実感しました。口頭発表後の質疑応答の際、相手の質問に対して、言葉がすぐに出てこなく、うまく質問に答えることが出来ませんでした。また多くの数学者が活発に議論を交わしている中、自分は議論に加わることが出来ず、もどかしい思いをしました。今回、実際に国際会議に参加することで実感したことは、英会話の能力、そしてそれ以上に専門的な能力と知識・度胸を身につけなければ、国際会議の場で自分をアピールすることも活発な議論をすることも出来ないということでした。

 現在、国内の幾つかの研究集会や学会に参加し発表をしていますが、この国際会議で経験したことが、今の研究活動の土台になっています。今回の経験をいかしてこれからも精進していきたいと思います。今回、航空機代と宿泊費の大部分を中央大学の助成金から援助していただいたことで、この国際会議に参加することが出来ました。このような機会を与えてくださった中央大学と、松山先生、岩渕先生には大変感謝しております。
 

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