05 REPORT

初めての国際会議で得られたこと

2015年03月19日

長尾 顔写真

 大学院理工学研究科物理学専攻博士課程前期課程2年
長尾 有紀(私立関東学院
校)

SCTE2014 - 19th International Conference on Solid Compounds of Transition Elements(第19回遷移金属化合物国際会議)

2014年6月21日-26日

ボルサ宮(ジェノヴァ・イタリア)


 二〇一四年六月下旬に、イタリアのジェノヴァで開催された遷移金属化合物に関する国際学会に参加しました。ジェノヴァは海がとても奇麗な港町でした。学会は六日間にわたって行われ、私は初日にポスター形式で発表しました。国際学会への参加は大学一年生からの夢であり、大学院に入ってからの目標でした。なぜなら自分の研究を通して世界中の人々と触れ合いたいと考えていたからです。そのため自分の指導教授である佐藤博彦先生に参加の提案をされた時は非常にうれしかったです。私は国際学会で研究発表をしたことで二つのことを学びました。

会場と町の雰囲気(右が会場であるボルサ宮)

会場と町の雰囲気(右が会場であるボルサ宮)

 まず一つ目は、自分自身の研究に対する理解が深められたことです。学会の発表準備をしていて自分自身の研究を深く理解出来ていなかったことを痛感しました。毎日の実験生活は非常に充実していたのですが目の前の実験だけに集中し、最終目標を忘れていました。しかし佐藤先生と議論を重ね、実験データを整理し考察することで目標を明確にし、より良い発表資料を作ることが出来ました。このような発表の準備をすることで自分の研究を改めて見詰め直すことが出来ました。研究の最終目標を考え研究に対する理解を深められたことは、その後の実験生活にも良い影響を与えました。

 
 二つ目は、自分の研究に取り組んでいる世界中の研究者と触れ合い研究に対する情熱の重要性を学びました。今回参加した学会は日本で行われる学会とは違い、和やかな雰囲気で行われました。毎回発表後には白熱した議論が行われ、温かい拍手が発表者に送られました。ランチではさまざまな国の人たちとコミュニケーションを取りました。学会のスケジュールの中に含まれていたジェノヴァ観光では、ドイツの大学院生と海で遊ぶほど仲良くなりました。ポスター発表では、参加者全員がコーヒーを飲みながら自由な雰囲気で行われ、多くの人たちにポスターを見てもらうことが出来ました。複数の方から研究内容について質問をされました。聞き取れない英単語もありましたが、筆談や英語辞書を使いながら一生懸命説明をしました。私の英語力では十分に理解出来る説明が出来ず、知識不足や英語力の未熟さを実感しました。しかし、最後に「面白い研究だ」と言ってもらった時はとてもうれしかったです。

 学会発表の経験を経て受けた刺激は日本に帰ってからの研究活動の原動力になっています。研究室で実験をしていただけでは得られなかった多くのことを国際学会で発表することで得ました。ここで得たことを生かして今後も研究活動に取り組み、研究の発展につなげたいと思います。

 最後に、このような機会を与え発表の指導をしてくださった佐藤博彦教授、初めての国際学会への参加で頼りなかった私を支えてくれた研究室のメンバー、また学会への参加を応援してくれた家族に心より感謝しています。本当にありがとうございました。
 

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