05 REPORT

短期留学で多くを学ぶ

2015年06月23日

 
2014年3月大学院理工学研究科土木工学専攻博士課程後期課程修了
              銭 潮潮
 
 
 私は、2011年11月10日から12月21日の間、大学院理工学研究科博士課程後期課程短期留学支援制度を利用して米国イリノイ州のUniversity of Illinois at Urbana Champaign(UIUC)のDepartment of Civil and Environmental Engineering(CEE)にあるHydrosystem LaboratoryにVisiting Scholarとして留学しました。私にとって二回目の留学である今回の留学経験を通じて、多くを学び、多くのかけがえのない財産を増やしました。
 私は前述の制度の支援対象として採用され、指導教授の山田先生の推薦の下、自ら米国の受け入れ大学と受け入れの先生(研究室)を確定し、それから留学の日程や留学期間内の内容を相談しながら確定しました。最後に、受け入れ大学が要求するビザ(私の場合はJ1ビザ)の申請・取得をし、それを持って米国へ渡航しました。これらの手続きはすべて初めてでした。
 前述の制度は専門分野の研究活動の質の向上及び多様性を図ると同時に英語プレゼンテーション、ディスカッション能力の涵養を目的としているため、私は留学の間に特に専門分野の研究について出来るだけ留学先の多くの先生や大学院生とのディスカッションや研究グループ内のプレゼンテーションを行いました。私が所属した研究グループ内のメーンパーから進行中の異なる研究テーマを10ほど説明され、これらについて、来る日も来る日も議論をし、グループメンバーらの学問へ真摯で謹厳な姿勢はとても印象的でした。ライバルとはこのような人だと感じました。彼らは水滴が高所から地表に落ちた際の地表に対する微小な圧力の分布から地球全体の水循環や火星の水・大気環境まで、どれも全身全霊かつ楽しく取り込んでいました。もちろん、説明も常に自信やプライドを持ったものでした。工学なのに、どこでどう使えるかも分からないようなものをなぜ一生懸命やるのかと聞くと、「面白いから。面白いことをやらない理由はないだろう」との即答でした。「使い方は後で考えれば良いし、誰か考えれば良いし」と付け加えてくれました。確かに学問はそういった要素も大きいと気付かされました、いや、思い出させられたと言った方が正確かも知れません。説明は常に自信とプライドを持ったものでしたが、意見に対しては真摯そのものでした。必ず納得するまで、何の妥協もなくその意見を処理していました。グループ内のゼミ風のリサーチミーティングは10時間ほど続くものもありました。
 私は自分のグループ内の研究討論以外にも、ほかのグループの発表会に参加しました。そこで一番驚いたのは、発表後の活発な議論はもちろん、参加者全員の実名入りのフィードバックシートです。発表者が最後事前に配布した全員のフィードバックシートを回収し、きめ細かに分けられた項目を埋めたシートを確認し、シートに書いた意見について、必ず回答者と発表後に議論をしていました。記入した意見に記入者は必ず責任を持つことになります。アンケートは生きた素晴らしい学術コミュニケーションのツールになっていたと思いました。
 研究発表会やミーティング以外に、私は大学院の他学科(数学)の授業にも出ました。河川工学の浮遊砂問題に近いと思い、「偏微分方程式」という授業のワントピック「ブラウン運動の確立過程とそのモデル化」の授業に出ました。授業の際に思ったほどの議論はなかったですが、その後は一時間以上も議論が続きました。聞いたところ、「これ(長く議論すること)は普通だよ」と熱論する授業現場をかなり久しぶりに経験しました。
 UIUCでの休日は研究室も空っぽになります。人がいてもたまに現れる勉学熱心な中国からの留学生でした。私はすべての休日を自分なりに大事にしました。頭を研究室と同じ空っぽにし、友人と隣町、隣の州までプチ旅行をしたり、ホームパーティーに行ったり、ホストとしてパーティーを開催したり、そこで友人と夢を語り合ったりしていました。そのうちに私が留学の最終日が近付き、大学も冬休みに入り、アメリカではとっくにクリスマス一色になっていました。私のUIUCでの指導教授Prof.Parkerが私を含むグループのメンバーを自宅に呼んで、フェアウェルパーティーをしてくれました。そこで、Parker教授の奥様の豪華な手作り料理を楽しみました。
 今回の留学を通じ、英語のコミュニケーション能力向上や純粋な学術交流以上に、私は多くの友人が出来ましたが、彼らは友人であると同時にライバルでもあります。人の輪が広がることで、自分の世界が広がったと実感しました。このような素晴らしい機会を提供していただいた本学大学院理工学研究科、UIUCのProf. Parker,及びUIUCのCEEに深く感謝します。
「偏微分方程式」の授業を行った建物

「偏微分方程式」の授業を行った建物

筆者のフェアウェルパーティーで

筆者のフェアウェルパーティーで

前へ

次へ