05 REPORT

国際会議発表までの経緯とその成果

2015年10月02日

国際会議発表までの経緯とその成果
 
大学院理工学研究科精密工学専攻博士課程前期課程二年 藤澤 翔一
(東京都立大泉高校)

 
 
APCFS(Asian-Pacific Conference on Fracture and Strength)/SIF(Structural Integrity and Failure)2014(アジア太平洋材料強度会議及び構造健全性国際会議2014)
2014年12月9日-12日
シドニー大学(シドニー・オーストラリア)
 
 
修士1年の2014年12月、シドニーで開催された国際学会APCFS/SIF2014にて口頭発表を行いました。私は、軽量性で注目されているマグネシウム合金の微視組織の機械的性質評価に関する研究を行っています。添加する異元素によって化合物が形成され、合金全体の性能が変化します。その影響程度を実験及び解析によって定量的に明らかにすることが本研究の目的で、それを達成すれば、どんな元素を添加すれば合金全体が高い力学性能を発揮するかを予測出来、新たな微視組織の構造設計に役立ちます。この研究は研究室初のテーマであり、知見も技術も何も無い状態からのスタートでした。
初めは英語の文献などを熟読し、基礎的な内容から世界の先端的な領域まで幅広く勉強しました。この過程で、世界中には色々なアイデアを持った研究があることを知りました。しかし、研究を進める上では自分自身の能力のみでは、どうしても解決出来ないケースがあります。実験材料に関する知見は、共同研究企業と議論しました。一方、数値解析については、指導教員の先生の紹介でアメリカ・イリノイ大学UIUCの研究者に相談を持ち掛けました。メールでの議論でしたが、数値計算の境界条件や支配方程式の内容を細かく議論できました。したがって自分の卒論はさまざまな人との「共同」の上で成り立っています。
 
学会での発表風景

学会での発表風景

この成果は、国際誌への投稿を指導教員に勧められました。ここから一カ月は英語執筆との格闘で、もちろん専門家による査読の返答も英語であり、すべての質問に丁寧に返答することで、やっと論文採択をもらえました。こういった経験を通じ、英語の「ライティング」が身についていったと思います。しかし今度は英語の「スピーキング」が課題であり、英会話の経験が乏しかった私は英会話教室に通い、研究の話や学会発表も含めた英会話を勉強しました。
以上の努力や成果が認められ、指導教員から国際学会への参加を勧められました。学会発表になると今度は「競争」です。研究者が、自分のアイデアを主張する場であり、聴講者はそれに対して批判する、それを英語で議論する場所でした。私の口頭発表では多くの質問が出てさまざまな議論をすることが出来、最終的には質問時間がオーバーするほどの達成感に満ちた経験を出来ました。しかし、想定内の質問であったにもかかわらず、正確に答えられなかった部分もあり、英語をもっと正確に話せていればという悔しさもありました。
以上のように、私の研究では、海外研究者と「共同」すると共に「競争」する場であったと思います。日本のみならず、自分と同じような研究の専門家とたくさん議論出来、自分の研究を進化させるには英語が不可欠でした。英語を使って何を議論出来るのか、何を世界へ発信出来るのかが大事であり、これからも自分の課題であると考えております。最後になりますが、学会発表の機会を与えてくださった米津先生や多くの援助をしてくださった中央大学には強く感謝しています。
 

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