05 REPORT

今後の課題と将来への期待

2016年01月21日

今後の課題と将来への期待
 
大学院理工学研究科生命科学専攻博士課程前期課程一年 針ヶ谷 優生
                      (埼玉県立熊谷高校)
 
 
4th International Conference on Nitrification (and Related Processes)(第四回硝化に関わる国際会議)
2015年6月28日-7月1日
アルバータ大学(エドモントン・カナダ)
 
 
 私は修士課程一年の六月末に、カナダのエドモントンで開催された国際学会「4th International Conference on Nitrification」で研究成果を発表しました。この国際会議は硝化(微生物によるアンモニアの亜硝酸、硝酸への酸化反応)に関わる研究をしている世界の第一人者が一堂に会し、議論を行う場です。前回の2013年は、本学諏訪教授が主催して後楽園キャンパスで開催した、我々にとってゆかりのある国際会議でもあります。国際会議での発表は、私にとっては、いわば長い間の夢であり、また、研究室に配属されて初めに掲げた目標の一つでした。査読された講演要旨の受理通知を受け取った時は大変うれしく、初めての学会発表、しかも英語でのプレゼンテーションに向けて身の引き締まる思いでした。
 私は廃水処理プロセスにも用いられている嫌気性微生物によるアンモニア酸化(anammox)に対する化学毒性の研究をしています。先輩である中村知喬さん(修士二年)が、重金属や有機溶媒などのanammoxに対する毒性の定量を可能としており、私とも共同して、精密で系統的なデータを得ました。更に、私はデータのモデル化に貢献しました。就活中の中村さん、諏訪教授、更に日立製作所の井坂、木村両先生の共同研究者全員からそれが認められ、発表の大役を任されました。
カナダでの発表ポスターを前にして

カナダでの発表ポスターを前にして

  私はこの学会への参加を通して二つのことを学びました。まず一つ目は、第一級の国際会議で十分通用する研究成果を出せたことです。この分野での第一人者である、早稲田大学やオレゴン州立大学、カリフォルニア州立大学の研究者からも高い評価をいただいたことも、今後の人生における大きな自信につながる経験だったと思います。二つ目は、国際舞台での「積極性」の大切さです。学会ではコーヒーブレークや食事などで、研究者同士が交流する時間が多く設けられています。日本人は日本人同士で集団を成す傾向があるようにも思いますが、ほかの国の研究者は、むしろ国籍に関係なく、専門分野の話だけではなく雑談をも通して、この機会に積極的にコミュニケーションしていました。共に時間を過ごすことこそが、ネット上では出来ない国際学会の目的なのです。学会初日にここに気が付くことが出来たことは幸運でした。以降は、発表以外の場でも意識的に海外の研究者との交流に心掛けました。つたない英語ではありますが、文法も忘れて会話が進んでいました。その結果、現在も研究以外の分野で交流を持つことが出来ています。
 この機会に、日々御指導いただいている諏訪教授、綿密な議論をしていただいた共同研究者の皆様、日々支えていただいている研究室のメンバー、家族に心より感謝いたします。今年の夏に開催される国際学会に参加するためにも、これまで以上にひた向きに研究に励みます。
 
 

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