05 REPORT

外務省「JENESYS2015」マレーシア派遣に参加しました!

2016年04月27日

↑「JENESYS2015」マレーシア派遣団および大使館の方との集合写真。

プログラム概要
日 程 2016年3月14日(月)~23日(水)
派遣国 マレーシア
対象者 マレーシアに興味・関心があり、科学技術について学んでいる、または興味・関心がある大学生・大学院生
内 容 在マレーシア日本国大使館、マレーシア政府教育省、大学訪問、訪問先の大学で日本を紹介するプレゼンテーション・実演、相手国学生から相手国を紹介するプレゼンテーション、一般家庭へのホームステイ・ホームビジット、日系企業訪問
 日本政府が推進する対日理解促進交流プログラム「JENESYS2015」のマレーシア派遣に合格した理工学研究科2年の小見山裕太さん、加田悠真さん、経済学部4年の岡 大樹さんの3名が、2016年3月に実施された約10日間のプログラムに参加しました。
 同プラグラムは科学技術について学んでいる、または興味・関心がある大学生・大学院生を対象としており、日本の魅力や外交姿勢を海外へ積極的に発信し、日本のイメージ向上や持続的な関心の増進に貢献する、日本に対する理解を促進させ、将来の親日派、知日派の創造を目指すことを目的としています。
 小見山さんたちは今回、派遣された5大学、計23名の学生・大学院生たちの一員として、マレーシアにて科学技術の観点から日本の魅力を伝えたほか、現地工場等を視察しました。
 今回の派遣を終え、小見山さん、加田さん、岡さんから報告が届きましたので、下記にご紹介します!
 

← マレーシアプトラ大学(UPM)で行った
レクリエーション活動での時のひとコマ。

「JENESYS2015」マレーシア派遣 報告レポート

小見山裕太(理工学研究科2年)、加田悠真(理工学研究科2年)、岡 大樹(経済学部4年)

↑ マレーシアプトラ大学で、自動車について発表。

現地の大学で感じたマレーシアの多様性
 プログラムでは、2日間にわたり現地の大学を訪問しました。日本の学校では日系の学生がほとんどですが、マレーシアではマレー系、中華系、インド系といった、背景がまったく異なる学生たちが、同じ教室で講義を受けていたことがとても印象に残りました。また、お昼の時間にはモスクでお祈りをする時間が設けられているなど、それぞれの宗教に配慮されていました。

日本の自動車ビジネスが
マレーシア人学生の関心を集める
 訪問先の大学では、マレーシアの学生たちに向けて日本の技術と文化を紹介しました。技術面では日本の自動車産業が世界的競争力を保持していること、その理由として日本製品の環境負担が小さいことを伝え、高いエネルギー変換効率を誇る日立のモーターや、水素で作った電気で走る燃焼電池自動車「MIRAI」を紹介しました。
 このほか日本の楽器文化として、リコーダー、カスタネット、鍵盤ハーモニカで、マレーシアでもっとも有名な日本の曲のひとつ、kiroroの「未来へ」を演奏しました。琴といった伝統楽器の実演も考えましたが、それよりも、日本では幼稚園や小学校で一度は演奏する楽器を日本の文化として紹介することで、マレーシアの人たちが日本に来た時の話題のひとつになればいいなと思い、この楽器にしました。
 マレーシア人学生の反応としては、彼らが理系だったこともあり、私たちの自動車に関する発表に高い関心を示し、特にMIRAIに関して多くの質問をいただきました。「未来へ」の演奏では、マレーシア人学生たちが一緒に口ずさんでくれ、自分たちにとってとても感動的な演奏となりました。
 反省点としては、プレゼンテーションと実演の時間、各40分ずつを5大学で分担するという限られた時間での発表だったこともあり、プレゼンテーションでは技術的分野の紹介に時間を割かれ、ビジネス的な視点での話があまりできなかったことです。マレーシア人学生の質問はビジネスに関するものが多く、相手の興味を前もって想定しておけばよかったと感じました。
 

↑ マレーシアプトラ大学で日本文化を実演しました。
鍵盤ハーモニカ、アルトリコーダー、ソプラノリコーダー、カスタネットを紹介後、鍵盤ハーモニカを用いてkiroroの「未来へ」を演奏。
プログラムに一緒に参加した東北工業大学の学生が、カスタネットで協力してくれました(写真右)。

 ↑ 地元の方が利用する一般的なスーパーマーケットで日本製品を発見。(写真は派遣副リーダーとMammy Poco)

日本車は高価でも人気。日本のブランド力を実感
 プログラム全体を通じて印象に残ったことは、日本というブランドが今もなお高く評価されているということです。街中には多くの日本車が走っており、スーパーマーケットでは日本の生活用品を多く見ることができました。実際、Hondaの工場に訪問した時、マレーシア人工場長が語った「日本車を所有していることは私たちにとって誇りとなる」という言葉がとても印象に残りました。マレーシアでは国産車が150万円なのに対し、日本車は税が掛かるため400万円と比較的高価です。こうしたなかでも日本車が多く走る街並みを見て、日本のブランド力の強さを改めて感じることができました。

ホームステイでは、宗教・文化の違いを体感!
 ホームステイを通じて感じたことは、家族の繋がりの強さです。3世帯で暮らしている方が多く、なかには4世帯家族の方もいました。イスラム教を信仰するマレー系の家庭にお世話になったのですが、1日に5回のお祈り時間が設けられていたことや、お風呂は温かいシャワーではなく、溜めてある冷たい水をすくって体を洗い流したことなどに日本との違いを感じました。なお、住宅は高床式であり、暑い気候に対応したものでした。

↑ ホームステイ先の食卓にて。
箸を使わず手で食べるなど異文化体験ができました。

↑ ホームステイ先の家の写真。
日本とは違い、1階部分がピロティになっています。

10日間を共に過ごし、帰国後には再会する仲間ができた
 本交流プログラムには、日本各地の大学から学生が参加していました。大学がそれぞれ遠距離に位置していたこともあり、プログラム開始前にはテレビ電話での話し合い以外、直接交流する機会はありませんでした。しかし、マレーシアへ派遣される時には、コーディネーターの方の配慮により往復の飛行機内の座席、宿泊先のホテルの部屋割りなどは他大学と混合でした。そのため、大学に関係なく交流が活発となり、私たちがプレゼンテーションで曲を発表する時には即興でカスタネットを演奏してくれた学生もいました。
 日本人学生同士の交流で特に思い出深いのは、マレーシアの2つの大学で各1回、プレゼンテーションと実演を行った時のこと。1回目の発表ではスタンバイにもたついたり、大学間の連携が上手くいかず時間を大幅に超えてしまったりして、いい発表ができませんでした。そこで、帰りのバス内ですぐに反省会を開き、それぞれの考えや意見を率直に話し合いました。その結果、大学間の絆がより深まり、二度目の発表では事前の打ち合わせよりも格段によい発表が行えました。こうしたエピソードもあり、日本に帰国後も連絡を取り合って再会する仲間ができました。
日本の技術力を、英語で海外にPRできる人材を増やす!
 今後は大学内や附属高校で、本プログラムの参加報告やプレゼンテーションの場を設けたいと思っています。日本の技術が今でも世界で高く評価されていることや、マレーシアには世界大学ランキング上位の海外大学が分校として多く存在するのに対し、日本にはそのような機関が少なく、その一因として日本の大学は英語ではなく日本語での授業が一般的で外国人が日本で学ぶ時のネックになっていること、その事実から私たちが感じた英語力不足への危機感などを共有したいと考えています。日本製品に対する高い評価と英語力に対する危機感を共有することで、科学技術に興味を持つ学生が一人でも多く海外へと目を向け、日本の技術力を強くアピールできるようになればと考えています。
 当然、私たちも今回感じた力不足をバネに、研究・英語学習を精力的に進めていきます。
「JENESYS」に興味を持った学生たちへ、メッセージ……
小見山:英語を使ってコミュニケーションをはかることや、異文化体験に興味を持つ方は、こうした交流プログラムに応募してみてはどうでしょうか!
加田:マレーシア人学生との交流ももちろんですが、他大学の日本人学生との交流も楽しかったことのひとつ。このような交流プログラムに積極的に参加する学生たちなので、実際、とても刺激を受け、勉強になることが数多くありました。旅行や留学では行けないような大使館、省庁に訪問できたことは、外務省プログラムの強みであると思います。ぜひ、積極的に利用しましょう! 決してハードルは高くありません。
岡:現地での買い物も楽しかったです。チャイナタウンではお店の人がとても積極的で、印象に残っています。また、現地学生とのレクリエーションを通じて、「コミュニケーションしたい」という気持ちと最低限の英語力があれば十分に相手と交流できると感じました。共通の話題が見つかると、自然と会話ができていました!

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