05 REPORT

絶壁の学会発表から得られたもの

2017年03月02日

絶壁の学会発表から得られたもの
 
大学院理工学研究科電気電子情報通信工学専攻博士課程前期課程1年
中村 将大(愛知県立岡崎北高校・普通科コスモサイエンスコース)
 
International Conferences of the Asian Union of Magnetic Societies 2016
(アジア磁性国際会議2016)
2016年8月1~5日
国立成功大学(台南、台湾)
 
 
 
 私は、昨年の8月に台湾で開催されたアジア磁性国際会議に参加しました。国際会議への参加は私にとって大学院での大きな目標の1つであり、学部生の頃から積極的に実験に取り組んできました。今回の国際会議は、指導教員である二本正昭先生から実験データの豊富さを評価してくださり、参加の提案をしていただきました。参加が決まると発表に向けての準備が本格化します。しかしながら、私は9月までに国内外の学会など公の場での研究発表が6件ほどあり、すべて異なるテーマでの実験を同時並行に進める必要から十分に準備ができないまま発表日が迫りました。日本を出発する2日前になってようやく発表で用いるポスターが完成し、発表原稿を考えながら飛行機に乗り込みました。私は今回の発表までに学部生の頃から4回ほど国内学会などで発表しているため、研究内容に対する不安や発表そのものに対する不安はそこまで大きくはありませんでしたが、初の海外での発表で英語を用いて外国人と議論できるのだろうかと不安でした。
授賞式での様子

授賞式での様子

 学会会場に到着すると、ここで更に不安要因が増えます。受付で配られた用紙のうちの1枚が最も良いポスター発表者を選ぶ投票用紙となっており、学会参加者全員に配られました。この投票結果を考慮して審査員が賞を決めるため、より多くの参加者と活発な議論をすることが有利になります。学会に参加したからには賞を取りたいと思っておりましたので、数時間のコアタイムだけの発表ではなく、ポスターを掲示する3日間の発表となり、当初想定していた何倍もの発表時間に不安は増大しました。更に、実際にポスターの掲示が始まると周りでは台湾の学生の方が英語で堂々と発表しており、不安と緊張が増します。しかしながら、他の学会の準備もある中でこの学会に力を入れてきた努力を無駄にするわけにはいかないという気持ちのもとで、思い切って立ち止まっていただいた方に声を掛けました。するとつたない英語ではありましたが、私の伝えたいことが伝わったようで、英語で議論ができたことに自信が持てるようになりました。その後、発表回数を重ねるごとに不安が徐々に英語で議論ができるという喜びに変化していきました。
 そして、1日最大7時間の発表時間に疲労を感じながら迎えた受賞者発表では、私の名前が掲載されており、驚きとうれしさと達成感で満たされ、先ほどまでの疲労感が吹き飛びました。この経験は一生忘れることはないと思います。
 今回の学会発表では専門分野の情報だけではなく、英語を自由に使うことができるスキルの必要性や自分が取り組んでいることに対する意識の持ち方などを学びました。この経験を今後の研究活動や就職後に活かしていきたいと思います。
 最後に、研究についてご指導いただきました二本正昭教授、大竹充助教にこの場をお借りして感謝申し上げます。

前へ

次へ