05 REPORT

ピサ大学への留学について

2017年05月29日

 大学院理工学研究科数学専攻博士課程後期課程3年

 谷口 晃一


 

 私は短期留学支援制度を利用して、2016年10月1日から約1ヶ月間、イタリア共和国トスカーナ州にあるピサ大学に留学しました。ピサ大学は、イタリアで最も歴史ある大学の一つであり、ガリレオ・ガリレイが学び教鞭をとった大学としても知られています。今回、指導教官の松山登喜夫教授の紹介で、数学科のVladimir Georgiev教授の研究室に留学する機会に恵まれ、多くのことを経験し学ぶことができました。
  今回の留学の目的は、Georgiev先生と共同研究を行い、専門的な知識や手法を身につけることでした。Georgiev先生は偏微分方程式論を中心に様々な分野に通じており、多くの研究者と共同研究を行っています。これは自分が理想としている幅広い視野をもつ研究者像であり、この留学を通して、専門的な知識や手法の獲得、さらに研究者としての姿勢や心構えを学びたいと思いました。
 共同研究を行うため、専門分野である偏微分方程式に関する問題をいくつか準備し日本を出発しました。研究打合せ初日に、Georgiev先生に問題を提案しその中で、物質中の熱伝導や拡散現象を記述する基礎方程式である、熱伝導方程式の解の挙動に関する問題に関心を持っていただき、そのテーマで研究を行うことに決めました。週に4回ほど研究室を訪ね、お互いのアイデアや計算・証明を話し、それらに関して議論をしました。議論の中でGeorgiev先生は私が知らない様々なアイデアやアプローチを提案され、その中には世界中の研究者と共同研究を行っているからこそ知り得た情報やアイデアもあり、幅広い知識や人脈、またそれを獲得する姿勢の重要性を再認識しました。現在、Georgiev先生との共同研究を継続して行っており、解の挙動に関する研究をさまざまな方向に発展させていくつもりです。
 

 研究以外にもピサで様々な経験をしました。ピサは古い歴史をもつ都市で、ピサの斜塔を始め数々の世界遺産、ローマ時代の遺跡があり、散策するだけでも十分楽しむことができます。休日には、友人とレストランやバーに行き食事をしたり、列車に乗りフィレンツェまで行き一日中観光をしました。また、イタリアでは食事後や休憩の際には必ずコーヒーブレイクがあり、エスプレッソを飲みながら他学科・他学部の先生とも交流することができました。
 今回、航空機代と宿泊費を短期留学支援制度から援助して頂いたことで、留学することができました。今後、この留学の経験を活かして海外の研究者とも活発に交流をし、自分の研究の質を高め、幅を広げられるよう精進していきたいと思います。このような機会を与えて下さった中央大学大学院理工学研究科に深く感謝申し上げます。

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