02 GLOBAL PERSON

グローバル・パーソン メッセージ vol.010

専門性だけでなくマネジメント力も磨き 国の組織の一員としての責務を果たす

横田 憲治さん | 独立行政法人 国際協力機構(JICA)
資金・管理部 市場資金課 調査役

中央大学法学部 国際企業関係法学科 2001年度卒業
[掲載日:2013年4月1日]

大学3年次にイギリスへ長期留学

横田 憲治さん

私は父の仕事の関係で3歳から8歳までアメリカで過ごしました。その経験からずっと海外には関心がありました。

大学入学時には、国際的な仕事がしたいと考えるようになり、3年の夏から1年間、イギリスのヨーク大学へ留学しました。当時は、ちょうどコソボ紛争が勃発した時で、NATOが介入したために、イギリスの世論は荒れ、学内でも議論が白熱していました。そこから急速に難民問題に興味を持つようになったのです。日増しにコソボの現場をこの目で見てみたいという気持ちが高まってきたのですが、素人の私が行って何かできるような状態ではありませんでした。
そこで、留学期間が修了したその足で、NGOのインターンとして、2カ月間クロアチアのボスニア難民キャンプに行き、難民の子ども相手の活動や食糧配給のお手伝いなどをしました。

日本に帰国後の夏にもマケドニアを訪れ、コソボからの難民支援インターンに携わりました。この頃から、本格的に将来、人道支援や開発支援の分野でキャリアを形成するにはどうしたらよいかを考え始めました。

ミクロからマクロレベルで仕事をするために

横田 憲治さん

卒業後は、プラント・エンジニアリング会社に就職しました。主要マーケットを海外に持ち、若いうちから経験を積ませてもらえるところに魅力を感じたためです。ここでは、主に石油精製所の建設に必要な機器を世界の市場から調達する仕事に携わっていました。

その後、研究機関で1年間過ごし、イギリスの大学院へ留学、開発学の修士号を取得しました。

大学院卒業後は、スーダンへ約2年、NGO職員として赴任しました。自分の裁量で案件を動かすことができ、住民に寄り添う形の事業が面白かったのですが、次第にマクロのレベルで開発援助に携わりたいと感じるようになりました。

そこで、2008年5月に国際協力機構(当時国際協力銀行)に転職し、現在に至ります。
JICAは、さまざまなスキームを用い、さらに分野横断的な支援を行うことを通じ、開発途上国の経済成長や貧困削減あるいは平和構築の促進に向け、総合的に取り組むことができるのが魅力です。

リーダーとしての資質も磨く

現在は、資金・管理部で債券の発行などに携わっています。金融機関や投資家との日々の対話を通じ、有償資金協力業務のための市場からの資金調達につき、検討を重ねる毎日です。私はこれまで現場の仕事中心でやってきましたが、こうした組織を支える業務も非常に重要で、とても面白いと感じています。

JICAの職員として求められるのは、専門性とともにマネジメント力です。ここではコンサルタントや専門家など、さまざまな人が働いているので、こうした人たちと協力し、円滑に業務を遂行していくことが必要です。私もJICAで働く以上、現場だけにこだわらず、リーダーとしての資質も磨いていかなくてはならないと思っています。

あえてuncomfortableな環境に身を置く

大学時代にヨーク大学へ留学しなければ、私が今の仕事に携わることもなかったと思います。まさにこの留学は、人生を変える体験となりました。

大学では居心地のよい仲間とだけで過ごすのではなく、自分と違う考えを持つ人たちと積極的に関わっていくことが大切です。留学をすると、強制的にそうした環境に身を置くことになるので、日々の生活の中で驚いたり、衝突したりすることで、自分の常識や考えを広げていくことができます。若いうちにこのような経験を積んでおけば、実際に社会に出たときに役立ちます。海外に行くことだけが答えではありませんが、あえてuncomfortableな環境に身を置くとよいと思います。

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