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【実施レポート】ダイバーシティ推進「HeForShe」シンポジウム

2015年10月13日

中央大学・文京区共同企画
国連創設70周年記念・UN Women日本事務所開設記念
ダイバーシティ推進「HeForShe」シンポジウム
* プログラム *
開催の辞
【司会】加藤俊一 中央大学副学長
主催者挨拶
酒井正三郎 中央大学総長・学長
来賓挨拶
成澤廣修 文京区長
根本かおる 国連広報センター所長
基調講演
瀬谷ルミ子 日本紛争予防センター理事長
(中央大学総合政策学部OG)
パネルディスカッション
【パネリスト】
瀬谷ルミ子 日本紛争予防センター理事長
成澤廣修 文京区長
福嶌香代子 UN Women 日本事務所長
根本かおる 国連広報センター所長
佐藤博樹 中央大学ビジネススクール
(大学院戦略経営研究科)教授
【ファシリテーター】
武石智香子 副学長・国際センター所長
閉会の辞
【司会】加藤俊一 中央大学副学長
 2015年9月23日(水・祝)、後楽園キャンパス3号館小ホールにて、ダイバーシティ推進「HeForShe」シンポジウムが開催されました。
 当日は成澤廣修 文京区長、根本かおる 国連広報センター所長の祝辞に続いて、日本紛争予防センター理事長・瀬谷ルミ子氏が「平和構築に求められる多様性:紛争の現場での女性の役割」をテーマに自身の経験を踏まえた基調講演を行いました。
 その後のパネルディスカッションでは、瀬谷氏のほか成澤廣修文京区長、福嶌香代子UN Women 日本事務所長、根本かおる国連広報センター所長、佐藤博樹中央大学ビジネススクール教授を交え、「『世界で活躍するアクティブ女子の育ち方・育て方』 - HeForSheの役割 -」について意見交換がなされました。
 会場には学生や本学関係者だけでなく一般の方たちも多数来場したほか、森 まさこ 参議院議員をはじめ各界から祝辞が寄せられ、盛大なシンポジウムとなりました。また、シンポジウムが同時中継された多摩キャンパスGスクエアも、多くの来場者で賑わいました。

「HeForShe」に賛同……本学は2010年6月より、国連と世界の高等教育機関を結ぶ「国連アカデミック・インパクト」に参画しており、世界では1000以上、日本では約40の大学に広がっています。なお、本学は情報共有・発信のためのサーバーを提供するなど日本国内での情報のハブの役割も担当しています。UN Women「HeForShe」キャンペーンには、「国連アカデミック・インパクト」の一環として賛同しました。

 
 

基調講演

瀬谷ルミ子 日本紛争予防センター理事長
「平和構築に求められる多様性:
       紛争の現場での女性の役割」

(コメントを抜粋)
 紛争の根本には経済的、社会的格差に対する不満があります。紛争を起こす人々は人種や性別、国籍や宗教といった文化背景の違いを紛争の理由に挙げがちです。このちぎれてしまった多様性を繋ぎ直し、復興支援、平和構築をするのが私の仕事です。
 日本が戦後70年を迎えるまでに世界では500を超える戦争が起きており、その主な犠牲となっているのが女性。性的暴力、物理的暴力に晒されています。しかし、支援のために現地の人と集会を開いても、集まるのは男性ばかり。その一方、女性たちは水汲み場などでの雑談を通じて、既に情報を共有し合っています。私たちはそうした場に出向き、女性の視点から見える社会の問題、格差を聞き出して支援に繋げています。
 「誰にも話せなかった悩みを、女性であるあなただから話せた」と現地の人から打ち明けられたこともありました。女性だからこそ、表に見えない女性の求めに手を差し伸べることができる。表に出ていなかった社会の課題に、何らかの対策ができる。そんな立場にいるんだと実感させられました。
 私が思う現場で求められるグローバルな人材は、ボーダレスに活躍できる人。国境を超えるという意味だけでなく、所属、役職、性別、人種を越え現場でポジティブな変化を生み出せる人間がグローバルに活躍できる人材だと思います。そのうえで性別や人種を見つめ直すと、それらを使い分けながら効果的に活動ができるようになります。それを理解しないまま突き進むと、かえって対立を生む負のサイクルにおちいってしまう。しかし、こうした視点をしっかりと持てば、世界で活躍することを最初から目指さなくても気が付いたら世界で活躍できる人材になり、自分で満足いく活躍ができると思います。

パネルディスカッション

「世界で活躍するアクティブ女子の育ち方・育て方」
 - HeForSheの役割 -

 武石副学長の進行のもと文京区、国連機関、NGO、大学からの視点を交えたパネルディスカッションが行われました。
ディスカッションではHeForSheに対する理解だけでなく、女性が活躍する社会に向けた課題、グローバルな人材を目指すさいのアドバイスなどが語られました。
 (コメントを抜粋)
瀬谷ルミ子 日本紛争予防センター理事長

 世界の課題をどれだけ自分と関わりがあると捉えられるか、日本にいる自分が世界とどう繋がっているかを考えることにより将来の選択肢が広がると思います。関心があることを起点にしながら、自分の手の中にある生き方の選択肢を大切にする必要があります。今は選択肢があり過ぎてどこに進んでいいか分からなかったり、やった方がいいと分かっていても面倒、怖いという理由で一歩を踏み出せないことがあると思います。しかし、今、手の中にある選択肢が1年後、2年後も同じようにあるとは限りません。選択肢には使用期限があります。逃したら戻ってこないかもしれません。そうしたことを意識しながら行動に優先順位をつけることが、いろんな分野での活躍に繋がると思います。
 
成澤廣修 文京区長

 HeForSheに対する理解を、“男性には何ができるのか”に留めてはいけません。SheForHeであることも大切です。一部の高学歴な女性だけでなく、多くの女性と男性が輝くための変革を社会で促すために、パラレルな関係でいる必要があるでしょう。
 アクティブ女子を育てる近道は、働き方の見直しを社会全体で行うこと。子どもは女性にしか産めませんから、その大切な役割を果たしていただくために何ができるのか。現在の男性社会を基準に女性の働き方を合わせようとすると、必ず子どもが犠牲になってしまいます。女性が社会で活躍できる働き方を作っていく必要があります。
 
福嶌香代子 UN Women 日本事務所長

 UN Womenはジェンダー平等と女性のエンパワーメントのための国際機関です。政府や市民社会と協力して、国際的な基準を実行するために必要な法律やプログラム、サービスの設置などに取り組んでいます。
 ジェンダー平等と女性のエンパワーメント実現には、男性の理解、サポートが欠かせません。子育てをしながら外務省で働いていた時、子どもが急に体調を崩して帰宅しなくてはいけないことが何度かありました。いずれも男性上司でしたが、仕事を代わってくれたり周囲でサポートすると言ってもらえたことが、大変ありがたかったです。
 世界で活躍する女性の育て方に関しては、職場、教育現場を含めて環境を整える必要があります。学生の皆さんは、いろんな機会を捉えて、勇気を持ってチャレンジすることが世界で活躍できる人材へと成長する第一歩だと思います。
 
根本かおる 国連広報センター所長

 海外へ出るだけがグローバル人材ではありません。日本にもさまざまなグローバルな種があるので、日頃から目を向けること。同時に、今、感じている違和感、疑問を大人になってからも大切にしていくと、社会に出てからも問題意識が培われグローバルな方向に繋がると思います。私の場合、それが外国人の権利やマイノリティの問題であり、今の仕事に繋がっています。
 ノーベル平和賞を受賞したマララ・ユスフザイさんは、特別な家庭で生まれたわけではありませんでした。しかし、暴力に遭いながらも女性への教育の必要性を訴え続け、ノーベル平和賞を受賞しました。これが何を意味するかというと、マララさんにできることは皆さんにもできる、というこうと。一歩を踏み出すことが大切です。エマ・ワトソン UN Women 親善大使も言っていましたが、ジェンダー平等を達成した国はまだありません。今、頑張れば日本が一番早く達成できるかもしれません。
 
佐藤博樹 中央大学ビジネススクール(大学院戦略経営研究科)教授

 国際機関の仕事を目指すにしても、日本の企業で経験を積むことは大切だと思います。経験もなく国際機関に入るのは、なかなか難しいのではないでしょうか。
 ダイバーシティは海外に行かずとも国内で理解することができます。日本人同士であっても、実は違う。「自分と違う」ということを、理解しようとする姿勢が肝心です。
 可能性に限界はありません。まずはアクションを起こす。自分を枠にはめない。今持っている可能性を活かす取り組みを、ぜひやっていただきたいです。

 

PHOTO

■最終確認 打ち合わせ

酒井総長・学長ら登壇者たちと石井 靖 理工学部長ほか大学関係者が集まり、シンポジウムの最終確認が行われました。

多摩キャンパスの様子

後楽園キャンパスで開かれたシンポジウムの様子を、多摩キャンパスGスクエアのマルチスクリーンで同時中継(写真左)。
後楽園キャンパスの会場でも、Gスクエアの様子を中継しました(写真右)。

懇親会

シンポジウム後は、登壇者のほか関係者たちが出席する懇親会が開かれました。

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