瀬谷ルミ子 日本紛争予防センター理事長
「平和構築に求められる多様性:紛争の現場での女性の役割」
(コメントを抜粋)
日本が戦後70年を迎えるまでに世界では500を超える戦争が起きており、その主な犠牲となっているのが女性。性的暴力、物理的暴力に晒されています。しかし、支援のために現地の人と集会を開いても、集まるのは男性ばかり。その一方、女性たちは水汲み場などでの雑談を通じて、既に情報を共有し合っています。私たちはそうした場に出向き、女性の視点から見える社会の問題、格差を聞き出して支援に繋げています。
「誰にも話せなかった悩みを、女性であるあなただから話せた」と現地の人から打ち明けられたこともありました。女性だからこそ、表に見えない女性の求めに手を差し伸べることができる。表に出ていなかった社会の課題に、何らかの対策ができる。そんな立場にいるんだと実感させられました。
私が思う現場で求められるグローバルな人材は、ボーダレスに活躍できる人。国境を超えるという意味だけでなく、所属、役職、性別、人種を越え現場でポジティブな変化を生み出せる人間がグローバルに活躍できる人材だと思います。そのうえで性別や人種を見つめ直すと、それらを使い分けながら効果的に活動ができるようになります。それを理解しないまま突き進むと、かえって対立を生む負のサイクルにおちいってしまう。しかし、こうした視点をしっかりと持てば、世界で活躍することを最初から目指さなくても気が付いたら世界で活躍できる人材になり、自分で満足いく活躍ができると思います。