渡米して20年。私は現在、アメリカの首都、ワシントンDCで弁護士として働いています。ひと言でいえば、日本企業の米国進出や事業展開を法律面から支援するのが仕事ですが、アメリカ人のものの見方、考え方についての理解を日本のクライアントと共有し、何をどう伝えるか、検討や交渉を重ね、相手方との合意を形成していく作業の繰り返しが日常です。
人種の坩堝といわれる米国で、「アメリカ人は・・・」といっても十把一絡げにはできませんが、「我々日本人は・・・」と語るのと同様に、アメリカ人にはアメリカ人らしい物事の受け止め方があります。ですから、もっともやりがいを感じる瞬間というのは、日米のものの見方、考え方の違いを上手く整理・調整し、ここで合意することがお互いの利益だといえる地点を見つけることができた時です。もちろん、常に上手くいくとは限りません。米国側の説得に失敗することもあれば、日本側の理解を得られずに終わることもあります。ただ、韓国勢や中国勢が存在感を増す米国市場で、日本の強味や美点を地道に伝えていくことに、全力を尽くすことが米国で弁護士をすることの意義だと思っています。