02 GLOBAL PERSON

グローバル・パーソンを目指す中大生 vol.24

インドネシアに出会い、大学で学びたいことや目標が見つかりました

竹井錬弥さん | 【総合政策学部】Field Studies&外国語研修に参加

総合政策学部 政策科学科2年
[掲載日:2018年11月05日]

入学後に学びたいことを探していたときに、
目にしたのが、履修科目の「インドネシア語」の文字。
そういえば中学時代に、父がインドネシアの話をしてくれたっけ。
何だかおもしろそう、興味あるなあ……
そんな少しの思いがインドネシアへ踏み出す一歩になりました。

1年次の夏に、加藤教授・仲間と訪れた初めてのインドネシア研修。
1年の終わりから2年次にかけての語学研修や夏のフィールドリサーチで再びインドネシアへ。さらにスピーチコンテストや語学検定にも挑戦。
経験を積み重ねるたびに、次の目標へとつながっていきます。
と同時に、インドネシアへの想いも深くなっていきます。

「今はまだ通過点」、高みを目指して、毎日を頑張っています。

 
 

大学で見つけたインドネシア行きのレール
先生や留学プログラムに出会って、列車が動き始めました

▲インドネシアの首都ジャカルタを走る鉄道の車両は日本から輸送されたもの。パサールミングー駅にて

 総合政策学部に進学し、これといって学びたいことが決まっていなくて、でもいろいろなことを学べるといいなと、迷いと期待で揺れていました。できることなら他の人とは違うことをやってみたい、自分の強みを持ちたいと模索しているときに、カリキュラムに「インドネシア語」を見つけました。そのとき、中学生時代に父から聞いた話を思い出したのです。

 父は塾の講師をしていて、当時、半年ほどインドネシア・ジャカルタで日本人向けの塾で指導するために、インドネシアに単身赴任していました。父の帰国後に、インドネシアのこと、インドネシア人の性格や日本の鉄道車両が走っていること等を聞いて、初めてインドネシアという国のことを知りました。
 
 日本では、インドネシアはあまり知られていない国です。アルバイト先の塾で中学生に尋ねると、インドネシアとインドの違いが分からなかったり、バリ島がインドネシアにあるのを知らないことにも驚きました。でも、自分も父の影響がなければインドネシアのことを意識していなかったかもしれません。中学生との話をきっかけに、「インドネシアという国について学べるチャンスが大学にある! 何かを見つけることができるかもしれない」と閃き、希望と意欲が湧いてきたのです。

 さらに、父や先生方からは英語はできて当たり前、他の言葉を習得することも必要と言われていました。インドネシア語は、他の人とは少し違う、そんなプレミアム感があるようにも感じて、「インドネシア語」の学習に思い切って挑戦することにしました。
 
 

加藤先生と出会い、Field Studiesに参加し、
インドネシアの奥深さに惹かれた

▲ボロブドゥール遺跡にて。参加した学生と加藤先生と共に

 インドネシア語の履修に加えて、インドネシアについて研究している加藤久典先生の「基礎演習」を履修しました。「基礎演習」は、3年次から始まる研究ゼミの一歩手前のゼミです。「インドネシアのことを学べるんだ、おもしろそう」と、気軽な感覚で授業を受けてみると、文化や宗教など、中学や高校で深く学んでこなかった内容がとてもおもしろくて惹かれていきました。
 
 さらにその年から、基礎演習を受けている1年生が参加できる「Field Studies」がスタートしました。学部から補助費もいただいてインドネシアに行けるプログラムです。良い機会だからと、「皆で行ってみよう」と、30人程のゼミ仲間と一緒に参加することにしたのです。まさに、中央大学に入学し、インドネシアへのレールを見つけて、そのレールに乗っかって列車が動き始めるような瞬間でした。

 

初めて訪れたインドネシアで味わった挫折感

▲スラウェシ島のマカッサールからみた夕日

 「Field Studies」では1年次の9月初めに約1週間、インドネシアに滞在しました。初めてのインドネシア訪問で、宗教、文化、歴史、経済に触れることを目的とし、ナショナル大学で発表をしたり、ガルーダ・インドネシア航空の方の講演を聞く機会をいただきました。

 インドネシア語を学び始めてからまだ数か月しか経っていないから、とにかくたくさん話して早く語学を上達させようと考え、現地ではできる限りインドネシア語で話すことに努めました。例えば、空港では警備員さんに、仲間がお土産を買っている間には店員さんに、食堂でも積極的に話しかけて会話をしました。
 しかし自分の意気込みに反して、想像以上に伝えたいことが伝わらないし、訪問先で質問をしたくても言葉が出てこない。インドネシア語だけならまだしも、高校時代に頑張ってきた英語も出てこなくて…。非常にもどかしい思いを何度もしました。特に英語については、受験英語と会話するための力には違いがあるということを痛感しました。

 この研修は非常にもどかしくもあり、楽しくもあり、今後を考える意味での収穫は大きかったです。また、個人旅行では行くことのできない様々な場所に調査で出かけられたし、日本と異なる文化や景色を見て、もっとインドネシアのことを深く知りたくなりました。そして、これからインドネシアだけでなく、他の分野であっても研究・調査のために必要な語学力を身に付けることの重要性を強く実感しました。

総合政策学部の授業科目<Field Studiesのここが良い!>~インドネシア編

・インドネシアに造詣の深い教授の指導のもと、渡航。
・リサーチの方法等を現地でじっくりと身に付けることができる。
・それまで学んできた成果を試すことができる。
・学部からの旅費等補助費が支給される。

インドネシア語で過ごし、語学力の上達を実感した3週間

▲インドネシアのナショナル大学にて。研修を受けた中大2年生の学生たち、日本語学科の先生方、加藤先生と共に



 2年次に進級する春、「外国語研修」を利用して、3週間インドネシアに行きました。初インドネシアとなった「Field Studies」では、話せなくて悔しい思いをしたこともあり、今回の大きな目的は語学力を向上させることでした。

 ジャカルタのナショナル大学でインドネシア語を学びながら、企業、シンクタンクを訪問したり、ときにはフィールド調査にも行きました。一日の大半をインドネシア語で過ごしていると、最初の頃は分からなくて困ったこともありましたが、徐々に理解できる言葉が増え、インドネシア語に慣れていき、語学力の上達を感じられるようになりました。

 

▲kota tua(コタトゥア)は、オランダ占領期の建物で、白を基調としており、歴史や建築技術を感じられる場所でした。


 「Field Studies」との違いは、ナショナル大学の日本語学科で学ぶ現地大学生と友達になれたことです。彼らは僕たちが学ぶ期間に、いろいろとサポートをしてくれました。また、オフの時間に遊びに行ったり、宿題を一緒にしたり、現地の暮らしを見せてくれることもありました。彼らと共に過ごしたことで、旅行では知ることのできないインドネシアの生活や文化に触れ、より身近な国になりました。

 大学では、日本語学科以外の大学生と接する機会もありました。話をすると思っていた以上に、彼らは日本のことをよく知っています。それに対して、日本ではインドネシアに対する認知度があまりに低い、そのギャップに驚きました。それは、自分が将来、日本でインドネシアを広められるようなことをしたいと思えるきっかけになりました。

 
 3週間は長いようで短いような時間でしたが、様々なことを経験し、大変充実した研修でした。自分自身の語学力向上という目標も少しはレベルアップできたし、語学力を身に付けたことで新しい幸せが広がっていくのを感じられました。また、加藤先生からは、「この語学研修で学んだことに磨きをかけて、後輩たちに語学や体験したことを教えられるように、もっと力を身に付けなさい」と、応援していただけるようになりました。その言葉は、「もっと自覚を持って学ぼう」という原動力になりました。

総合政策学部の授業科目<外国語研修のここが良い!>

・大学などの語学学校に通いながら、その他の時間を利用してその国の文化を学ぶことができる。
・履修している外国語のモチベーションが向上する。
・大学からの旅費等の補助費が支給される。

スピーチコンテストとインドネシア語検定を目標に、自主学習を日課にする

▲神田外語大にて行われたインドネシア語スピーチコンテスト。スピーチを行った学生や社会人、審査員、先生方と

 語学研修から戻ってきてからは、それまで以上にインドネシア語の自主学習に力を入れるようになりました。軟式野球部に所属しているため、日々の練習や休日の試合等もあって時間を取れないときもあります。しかし、スピーチコンテストやインドネシア語検定という目標ができてからは、計画を立てて学習をする習慣が身に付きました。

 さらに、会話力に加えて、読み書きにも力を入れ始めました。日本の情報を海外向けに発信する放送局のサイトにインドネシア語版があり、スマートフォンでも見ることができるのでよく利用しています。ニュースがインドネシア語で書かれていて、日本で報道される情報と同じ内容なので、とても理解しやすいのです。ニュースを書き写して日本語に訳して、辞書で調べて……。その作業はとても勉強になっていて、少しずつ語彙力も増えています。
 
 その自主学習の効果もあり、7月に受験した「インドネシア語技能検定」では、6段階のうち下から2番目の級に合格。さらに、同月に開催された神田外語大学「インドネシア語スピーチコンテスト」では、インドネシア語学習2年以内の大学生が対象の部門で、18人の中で最優秀賞を受賞することができました。受賞は大変光栄なことですが、全部門から選出される総合優勝を夢見ていたので、それに届かなくて少し悔しかったです。年明けには「インドネシア語技能検定」があるので、一つ上のレベルに挑戦し、大学在学中にはさらに上位の通訳レベル級の合格を目標にしています。スピーチコンテストでも、来年は上の部門で良い成績を取りたいです。そのために今後も学習を継続して、ますます力を付けていきたいと思います。

 

加藤ゼミでインドネシアを学び、
3度目の訪問で、ますます夢中になる

▲ジャカルタにて。加藤先生から日本企業の進出についてのお話を聞いているシーン。ここではMRTについて学びました

 大学入学前には、こんなにインドネシアの世界に夢中になるなんて想像していませんでした。1年次には右も左も分からない手探りの状態で、悔しい思いをしたりすることもありました。しかし、「Field Studies」、「外国語研修」でインドネシアを訪れ、基礎演習から履修している加藤先生のゼミで本当に多くのことを学んでいます。時には、駐日インドネシア大使や元大統領夫人を講師にお招きした講義を受けたり、インドネシア大使館を訪問する経験もしました。


 さらに8月には、加藤ゼミの合宿で3回目となるインドネシアへ行きました。一般の旅行で行けないような施設などを訪問してフィールドリサーチをするなど、貴重な経験ができたこの合宿で、ますますインドネシアの魅力に夢中になっています。

  3回目の渡航は今までとは違い、上級生(3年生)もいる中でインドネシアに赴きました。先輩たちは積極的に質問しており、質問の内容も自分が見習わなければならないことばかりでした。私も積極的にインドネシア語で質問してみましたが、学術的な単語が全く出てこず、またもや語学の重要性を感じる訪問となりました。

▲夏に行われたゼミ合宿で訪問したCNN Indonesiaにて。ゼミ生(2.3年生)、加藤先生、アナウンサーと共に

 インドネシアについて学ぶようになって気になることが、日本人のインドネシアに対する目線です。日本は高い技術力を持ち、経済力もあることから、日本人はインドネシアやアジアの中の、発展途上といわれるような国に対して上から目線で見てしまう傾向があるようです。しかし一方で、日本ではその技術力や経済社会を支える多くの大人たちがストレス社会の中で疲弊しています。

 加藤先生は、「多種多様な人種、宗教、価値観を持ちながら共存を目指す東南アジア、特にインドネシアから学べることが多い」と、先生の研究の成果を私たちに話してくれます。私も先生の研究に共感し、学び始めてからもっと身近な国となったインドネシアやインドネシア人の穏やかな性格など知りたいことがたくさん生まれました。加藤先生のもとで、語学だけでなく、宗教、社会・経済のことなど、いままでよりも深くインドネシアについて学び研究してみたいです。

 また、ゼミには、お手本となるようなたくさんの先輩がいて、素晴らしいリサーチをして結果を出したり、学部のプロジェクト奨学金を受賞する方もいます。先輩たちのように成長するためにも、ますます努力して学んだことを発信していけるような人になりたいと思っています。

 

将来に向けて~大学生活での活動、それぞれに100%かける

▲ホームステイ先のお子さん、別グループの子どもたちとロッテルダム要塞にて

 まだ大学生活は半分以上残っているので、卒業後のことまではあまり考えていませんが、できれば総合商社のような企業で、インドネシアと日本を繋ぐことができるような仕事をしてみたいと思っています。
 なかでも興味を持っているのが鉄道の分野です。インドネシアを走っている鉄道車両は、日本国内で引退したお下がりの車両ばかりで、実際に乗ってみて心配になるほど古びた車両もありました。インドネシアの人々には、安心して乗れる車両に乗ってもらいたいし、新幹線のように優れた最新の鉄道が走ってくれたらうれしい、そのようなサポートができるような仕事にも憧れています。

 高校野球部の恩師の教えの言葉、「部活100%、勉強100%」「人生とは積み重ね」「死ぬまで成長できる」を常に意識しています。
 インドネシア語を検定やスピーチコンテストに向けて勉強し、賞もいただきましたが、今はまだ通過点なのだと思います。語学はあくまでもツールであって、ゴールはそのまだまだ先。だから部活でも勉強でもすべてを100%で頑張る。忙しいけれども、それ以上に楽しく頑張れる毎日を過ごしています。学部では多くのことを学べる環境にあるので、それを100%活かして成長していきたいです。

 

<竹井さんの活動経歴>

●1年次:2017年9月 Field Studies(1週間)=インドネシア・ジャカルタ
●1年次:2018年3月 外国語研修<マレー・インドネシア語>(3週間) =インドネシア・ジャカルタのナショナル大学
●2年次:2018年7月 インドネシア語検定 D級に合格
●2年次:2018年7月 「第12回インドネシア語スピーチコンテスト」(神田外語大学主催、インドネシア共和国大使館後援) グループA部門(インドネシア語学習2年以内の大学生対象)で、最優秀賞を受賞
●2年次:2018年8月 加藤ゼミのフィールドワーク合宿(1週間)=インドネシア・ジャカルタ

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