02 GLOBAL PERSON

グローバル・パーソン メッセージ vol.013

記者として、また支局長として世の中に役立つ情報の発信を目指す

岸本 邦彦さん | 株式会社時事通信社 ロンドン支局
支局長

中央大学法学部 法律学科 1988年卒業
[掲載日:2013年4月1日]

2回目のロンドンは支局長として赴任

ロンドン勤務は今回で2回目です。1回目は1995~1999年の4年間で、取材と原稿執筆を担当していました。今回は支局長として赴任し、取材・原稿執筆に加えてセミナー運営を主に行っています。取材に関して、私の担当は政治と王室で、最近はキャメロン政権やキャサリン妃の妊娠などを追いかけました。セミナー運営は、ロンドンにある300社以上の企業のトップ陣を集め、講師を招いて政治経済などの講習会を行っています。支局長という立場上、自身の担当分野だけをやればよいというわけではなく、スポーツなど別ジャンルも無視できませんし、給料振込などの事務作業など何でもやらなければならないので、毎日忙しく過ごしています。

自分の書いた記事が紙面やネットで注目を集めた時はもちろん嬉しいのですが、たとえば紙面でボランティア活動を紹介して、支援の輪が広がったという話を聞いた時など、その記事が読まれたことにより、内容が読者の実際の行動に結びついた時は、自分の仕事が世の中の役に立ったと実感できてやりがいを感じます。

岸本 邦彦さん

法学部での学びやマスコミ就活講座等で仕事に役立つ考え方を身につける

私は法学部だったので、たとえば「宗教の自由」とは、どんな宗教を信じることも自由だという文字通りの意味のほかに、どの宗教も信じない自由もあるという側面も同時に併せ持っていることを学び、言葉や物事には、文字通りの意味だけではなく裏の意味もあることを知りました。このことは、記者会見やインタビューで質問をする時、相手の発言の意味を考える上で役立っています。

また、大学のマスコミ就活講座で、相手の目線に立って語りかけることが大切だと教わったことも印象に残っています。子どもと話す時はしゃがんでゆっくり話すように、相手に何かを伝える時は、読んでくれる人の目線が今どこにあるのかを意識して伝えることが大切だということを学びました。

マスコミに行きたいという思いは当初からありましたが、学生時代はあまり海外で働くことは考えていませんでした。ただバブル期で、世の中の目が外に向いている時期ではありました。英語に関しては、学生時代から嫌いではなかったものの、政治で使われる英語は授業で習った英語とは違うので苦労しました。入社後に、当時高かったレコーダーを自己投資と思って奮発して購入し、自分で勉強して身につけました。

岸本 邦彦さん

何事にも「意識」して取り組むこと

今後は、海外勤務経験や英語力、今までいろいろな人に会った経験などを活かし、国内外問わず、何か面白いことを積極的にやっていきたいと考えています。

皆さんにも、学生時代にいろいろなことを「意識」して取り組んでもらいたいと思います。意識して行動することで、物事を考える力がつきます。自分は将来こういうことがしたいからこれをやるとか、逆にやりたくないからやらないとか、やらないという選択に対しても「意識して」物事を考えて行動してほしいと思います。何をどう考え行動したかをきちんと意識し、それを相手に伝えるコミュニケーション能力が大切です。

100%の答えがない、自分の常識が実は別の国では通じないということが起こる時代なので、自分自身で考え、なぜそうした行動をとったのかを説明できないと相手に理解してもらえないことを、日々の仕事の中で感じています。こうした思考回路を身につけると同時に、日本語以外の言葉でも説明できるようになると世界が広がります。日本の外と中を分けて考える必要はありません。何かきっかけがあれば目が外に向くと思います。自分も国内社会部希望でしたが、外信部配属 がきっかけとなり、目が外に向きました。ただ、言葉は若いうちのほうが早く身につくので、少なくとも1つは外国語を身につけておくことをおすすめします。

前へ

次へ