02 GLOBAL PERSON

グローバル・パーソンを目指す中大生 vol.30

尊敬できる先生方に勇気づけられ、頑張ることができたアメリカ留学

前田 晋吾 | 【商学部】英語圏1セメスター留学

商学部 経営学科 4年
専門演習:木立真直ゼミ
[掲載日:2019年03月12日]

共に学ぶ仲間と語り合い、好奇心旺盛に何かを追求したい。
世界中の国から、さまざまな人種の学生が集まるボストンに
そんな夢を描いて留学を決めた。
 
しかし、待っていたのは、英語力不足による大挫折。
落ち込んで自分自身を見失っていたときに、
先生方はアドバイスをくれて明るく見守ってくれた。
その言葉を信じて、これまでにないほど勉強に打ち込み、
ネイティブの友達づくりにも力を注ぎこんだ。
その努力が実を結んで、自分自身を取り戻すことができた。

苦しかったけれど、出会いと実りの多い留学だった。
この経験を、これからの成長に、人生に役立てていきたい。
 

英語が苦手でも、海外留学に挑戦したくて

 私が本気で海外留学を目指したのは、2年次の夏に学内で開催された「留学対策英語講座」がきっかけでした。以前から、留学には憧れていましたが、英語に苦手意識があったため、実力を付たくて受講しました。一生懸命に取り組みましたが、講座後に受けた試験ではTOEICが600点(990点満点)、TOEFLも53点(120点満点)という散々な結果に、とても落ち込んでしまいました。 

 この講座は、海外留学・進学サポートを専⾨とする留学予備校が学内に来て指導をしてくれるものでした。英語力不足で留学を半ばあきらめ気味だった私に、留学予備校の担当・鈴⽊先⽣は、「前⽥くんには良いところがあるよ、英語⼒は優秀とはいえないけれど、正直でコミュニケーション能⼒もある。⼈との会話を通じて信頼を得られるのだから海外留学しても⼤丈夫︕」と励ましてくれました。「⾃分にも留学できるだけの⼒がある」、その⾔葉から留学への希望が⾒えてきたような気持ちになりました。

 鈴⽊先⽣はアメリカ・コロンビア⼤学を卒業し、現在はアゴスジャパンで講師をなさっている、とても素晴らしい経歴の方です。しかし普通の⼤学⽣に対してとてもフラットに、また、先⼊観も持たずに接してくれたことに驚きました。そのような凄い⽅が、なぜこんな⾃分に親⾝に接してくれるのか、なぜそこまでポジティブな影響を与えられるのかずっと疑問に思っていました。
 ある日、ご飯をご一緒した時に先⽣は、“教養のある⼈=相⼿の⽴場に⽴てる⼈“ということをおっしゃっていました。教養のある⼈というと、秀でた研究分野を持っていたり、勉学が極めて優秀な人というイメージを持っていましたが、先⽣は違いました。その日から、先⽣のように「広い⼼と視野を持ちたい」と考えるようになりました。

 そして、この「教養のある人」を目指し、2017年を海外経験の1年と決めて、3年次の春に東南アジアの旅、夏の⽊⽴ゼミ︓オーストラリア合宿、後期は海外⼤学へ1セメスター留学するというスケジュールを⽴て、チャレンジをスタートしました。
 

東南アジアそしてオーストラリアへ

 3年次の始まる少し前、約1か月半をかけてベトナム、カンボジア等、東南アジアをバッグパック1つで旅しました。カンボジアではボランティアとして日本語学校の先生を1か月ほどしてきました。さらに、旅先で出会った人と一緒にご飯を食べたり、家に泊めてもらったこともありました。皆がとても親切で良い人で運がよかったから、そのような楽しい旅ができたのだと思います。

 3年には、木立真直先生のゼミ活動がスタートしました。このゼミを選んだのは、先生の専門に興味があるだけでなく、海外研修にも惹かれたからです。研修前には、自分たちで訪問する企業を選び、訪問計画づくりやアポイント手配までを行います。ゼミのメンバー18人はいくつかの班に分かれて活動をするのですが、私がゼミ全体の代表になり各班の橋渡し役という大役を担いました。そして、3年の夏休みの終わり、オーストラリア・メルボルンでの合宿研修では、約1週間の滞在中に現地の日系企業を中心に訪問し、マーケティング実態についての調査を行いました。ワインメーカーや飲料メーカー等さまざまな企業を訪問することができて、とても良い経験ができました。 
 

世界中から留学生が集う街・ボストン

▲ボストンで大人気の大学アイスホッケーの試合

 合宿からの帰国後すぐに、1セメスター留学のためにボストンへ出発しました。本来なら、ゼミ合宿の帰国後は調査レポートのまとめや報告などを行う大切な時期でしたが、大役を仲間が代わりに担当してくれたので、安心して向かうことができました。

 商学部の「英語圏1 セメスター留学」は、アメリカのサンディエゴ州立大学(ALI)とボストン大学(CELOP)の2校から選べます。両校を想像したとき、サンディエゴでは思いっきり「遊ぶ」イメージの自分が浮かんできました。留学は挑戦ですから、日本以上に「勉強する環境に身を置こう」と、自分に厳しくしようと世界中からの留学生が集まるというボストン大学CELOPを選びました。

 
憧れの大学で味わった大挫折

 CELOPのカリキュラムは、午前中にレベル別にクラス分けされた英語の授業、午後はエレクティブクラスという受講科目を選べる内容でした。人前で話すということは、比較的、得意な方だし、プレゼンテーション力を磨きたいと考えてビジネスクラスを選びました。

 やる気をもって出たビジネスクラス、しかし、そこで大きな壁にぶつかってしまいました。英語でのプレゼンテーションの際に緊張は最高潮に達し、頭が真っ白になってしまったのです。さらにほかの授業では、挙手した人が回答したり、先生が学生を指名して答えさせるというようなケースで、「質問されたらどうしよう」「手をあげるのが怖い……」とさえ、感じるようになっていったのです。また、あるクラスに遅刻したとき、いつもならあまり気にしないで静かに入室して座るのですが、このときは、前の方の席しか空いていなくて、前に座るということがすごくて怖くて教室に入れずに、廊下で30分もうろうろと…。

 授業後のサークルはビジネス系のプレゼンテーションクラブを選んでいたのですが、英語での自己紹介でつまづいた上、メンバーの英語力についていけません…。いつしかサークルへは面倒になって通わなくなりました。
 

▲授業でビール工場を訪問してきました

 これまでの人生の中でこのようなことは初めてで、ここまで消極的になってしまった自分にも驚きました。 ネガティブ行動の原因となったのは、英語力の無さから生まれた「恐怖心」だったことはあきらかです。

 困り果てて、留学サポート担当の先生に相談しました。そこで先生から次のようなアドバイスをいただきました。
① 「アメリカ人の発音」を体に叩き込むように身に付ける。
②  「発音練習」を鏡の前でひたすら行う。
③ 「アメリカ人」と話すことを心がける。


 それからの1か月半は、授業のない時は外に遊びに出ることをやめて、部屋にこもってひとりで英語の集中学習に徹しました。鏡を見て、表情を作り発音をマスターできるよう努力すると同時に、アメリカ人(ネイティブスピーカー)の友人を探しました。ボストン大学には、世界各国からの留学生が多く、日本人留学生もたくさんいます。私は日本人と過ごすことを避けて友人づくりに徹しました。
 アメリカ人はフレンドリーなイメージがありますが、友人というのは簡単に作れるようで、意識すると自然に出会うのは難しいものです。食堂で食事する人に、芝生でくつろいでいる人に積極的に話しかけ、友だちづくりのアプリも利用したり……。ありとあらゆる手段を活用し、ようやくボストン大学生とハーバード大学生の友だちができました。彼らと食事をし、一緒に過ごすしていくなかで、自宅学習の効果も出てきて次第に英会話に慣れていきました。

 アメリカの大学は、日本の学校と比べると先生との距離が近いように感じました。日本人は、上下関係や先生・生徒の関係に対して礼儀作法に気を遣いますが、アメリカの先生はフランクな感じで話を聞いてもらえるので、とても話しかけやすかったです。担当のAdrianne先生やMaria先生をはじめ、そのような先生方がいたから、心を折れずに、自分との闘いを続けられたのだと思います。
 

留学の後半戦~アメリカで初めての就職活動

 留学生活も後半に差しかったころ、 “ボストンキャリアフォーラム”(※)に参加しました。日本でも3年生の就活が本格的になる時期です。アメリカでこんなイベントに出られるのも、良い機会です。思い切って挑戦してみました。

 私は、この留学は勉強に打ち込むことをメインに考えていたために、キャリアフォーラムの準備はあまりしていませんでした。しかし、当日に会場で気になった企業にエントリーできる「ウォークイン」というシステムを利用して面接を受けたり、企業の方からグローバルに働くことについてお考えを聞いたりと、とても充実した時間を過ごすことができました。

ボストンキャリアフォーラム

“ボストンキャリアフォーラム”(※)=1987年からボストンで開催されているアメリカ最大級の日米企業の就活イベント。近年200社の企業が集うため、海外の大学や学院で学ぶ留学生やバイリンガルの学生に絶好の機会となっている。

挫折の苦しさを乗り越えて、自分らしさを発揮できた留学後半

▲ボストンの図書館前で

 1セメスターという短いボストン大学CELOPでの毎日は、授業も、サークルも、大挫折から英語を一生懸命学んで這い上がったことも、日本では経験できないような良い経験ができたと思います。

 苦しいなかでも気晴らしできる時間がフットサルでした。大学内のスポーツ施設だけでは解消できない気晴らしの一つで楽しかったです。イスラムや中国人、日本人、ヨーロッパ系の留学生ばかりのサークルに参加していました。ボールを追いかけるだけで英語力が身に付くわけではありませんでしたが、サッカーという共通のツールを通じてコミュニケーションできる楽しさを味わうことができました。サッカーに限らず、そういうツールを持っていてよかったと思っています。

 帰国まであとわずかとなったクリスマスは、大学を離れて、ニューヨークで1週間を過ごしました。ブロードウェイでミュージカルを観たり、観光もしました。中でも思い出に残っていることは、ゲストハウスでした。
 ここには世界各国からの人たちが宿泊していて、卓球・ビリヤード台やテレビがあるラウンジに宿泊客が集まってきます。ヨーロッパ、中東、南米等、さまざまな国からの人と出会いました。CELOPで英語に慣れたとはいえ、まだまだ苦手意識もありましたが、英語が母国語ではない人が多く、英語力も自分と同じようなレベルだったこともあり、安心感を覚えて意気投合し、一緒に観光したり、たくさん話をしました。彼らと英語で会話のできる楽しさを心から味わうことができました。アメリカに来て初めて、自分らしく過ごすことができたように思います。

 留学挑戦のきっかけをくれた鈴木先生の言葉「自分の良さ、コミュニケーションできる自分、人と人を繋ぐことができる自分」を、このゲストハウスで取り戻すことができたと実感しました。きっとボストンで挫折を味わいながらも自分と戦って、努力できたからこそ、味わえる楽しさなのでしょう。アメリカ最後のホリデーを心から満喫してきました。
 

ボストンで学んだことを将来に活かしてゆく

 現在は、卒業研究として「流通マーケティング BOPビジネス(途上国)」について研究をするほか、キャリア支援のボランティアも行っています。これから就活活動をする3年生にアドバイスをしたり、相談に乗ってあげるというものです。カンボジアでもボランティア活動をし、アメリカではボランティアは当たり前の活動として多くの学生が行っていました。今、自分のいる場所にサポートを必要としている人がいるのなら、自分ができる範囲で力を貸したいと思いようになり、キャリア支援のボランティアをするようになりました。
 
 アメリカ留学の経験を振り返ると、3つのことが思い浮かんできます。
・英語の実力をあげるために努力して成長を実感できた。
・グローバルな感覚をつかむことができた。
・奉仕活動を普通に行うアメリカ社会を見て、社会貢献や慈善活動する姿勢を学ぶ。

 これからの自分の軸として、大切に成長させていきたいと思っています。
 

 卒業後は、専門商社に勤務する予定ですが、海外勤務ができることを目指し、これからもアメリカで身をもって学んだことを活かし、さらに英語力にも磨きをかけ、自分が尊敬できるような人との出会いも楽しみにしています。そしてさまざまな経験と出会いを成長につなげていけるように頑張ります。

 そして何よりも、決して安くない学費を二つ返事で支払ってくれた両親には本当に感謝しています。この留学経験を糧に、グローバル人材になることが何よりの恩返しになると思っています。

商学部の授業科目<英語圏1セメスター留学のここが良い!~ボストン大学CELOP編>

・語学の授業はそれぞれの英語力に合わせたレベル別授業でじっくりと学ぶことができる。
・現地には、親身に相談に乗ってくれる担当教員が常駐している。
・自分次第でいくらでも成長できる。

<前田さんの海外活動経歴>

・2017年3月(約1か月半)=自費旅行・海外ボランティア:ベトナム・カンボジア・タイ
・2017年8月(1週間)=木立ゼミ海外研修:オーストラリア(メルボルン)
・2017年9月~12月(1セメスター )=商学部・英語圏1セメスター留学:ボストン大学(CELOP):アメリカ

前へ

次へ